『Wonderful Mystery Marvel Island』

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61 アップデートからの職業選択

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「よう、険人」

 僕が通う地元の高校の1年の部屋に入り、机の上で授業の準備をしていると、一人の男が話しかけてきた。彼の名は荻野真二、中学校からの友達だ。

「おはよう真二」
「今日で『WMMP』のアップデートが終わるな。早く帰ってプレイしたいな」
「ああ、そうだな」
「やっとパーティープレイやフレンド機能が解放されるからな。険人も一緒に組もうぜ。春香とも一緒にプレイする約束はしてるんだ。そしてあの土猪を倒そうぜ」

 春香は真二の恋人でフルネームは一条春香、隣のクラスだ。真二とは『WMMP』について情報交換(道具の作り方など)しているがいくつか話していないこともある。まずヒミコたちの事。これは掲示板とかで調べてみたんだがいくつかの従魔の情報はあったが精霊については無かった。次に土猪ことガイア・レイア・バロゥフと大熊ことハウル・フォレスト・ベアーを倒したことについて。

 ヒミコ達に関しては条件が分からなかったし、ガイア・レイア・バロゥフ達に関してはヒミコ達と一緒に戦ったから説明が難しかった。ただこれからはたくさんのプレイヤーともかかわるから真二にも伝えることにした。

「真二、実は・・・」

 真二に詳しく話すと真二は驚いていたが

「確かにその理由ならしょうがないか。どこから情報漏れるかわからないし。もっと詳しく聞きたいけど今度の休憩時間にな」

キンコーンカンコーン

 予冷が鳴ったので真二は自分の席に戻っていく。さあ授業頑張ろう。

 そして昼休み、隣のクラスから来た春香と共に真二と弁当を食べながらさっきの話の続きをする。真二とは授業の合間の休憩時間中にも話していたがまとまった時間が欲しかったみたいで先ほどの話はしなかった。

「しかし土猪を倒してたなんて。だけど真似することは難しいな。だって【調合】【鍛冶】とかの生産スキル取ってない」
「私も【料理】スキルは取ってるけどそれ以外のスキルは取ってないわ」

 真二のスキル構成はバリバリの近接特化。春香は魔法攻撃型と聞いている。じゃあ僕は何かというとオールラウンダー悪く言えば器用貧乏型だ。

「だからいくつかポーション買わせてくれ。お金は払うから」
「ええ?普通に店で買えばいいんじゃないか?」
「いやアイテム作成の掲示板も見てるんだが険人ほどの効果は無かった。おそらく険人独特の作り方があるんだ」

 それは知らなかった。普通に調合してるんだがな。とりあえず今日はお互いアップデート内容を楽しんで明日会おうということになった。

 自宅に帰って宿題や家の手伝い、夕食その他もろもろを済ませた午後8時『WMMI』にログインした。

 僕はベッドの上で目覚めると隣にはヒミコ、シズク、ヒミコが眠っていた。ベッドに関しては4人で寝ても大丈夫なように大きなベッドを作った。僕が起き上がるとヒミコたちも目を覚まし

「お兄ちゃん」
「兄さん」
「マスター」

 僕に抱き着いてきた。3人の頭を撫ぜてつつアップデートの内容を確認する。この島は『アイリ・アイランド:AI』と呼び、『AI』から新エリア:惑星『ファースト』に行くにはアイテム『星空切符』を使えばいいらしい。『星空切符』といいつつ手の平に収まる青色の透明な球体な中に切符が入っていた。このアイテムは『AI』や惑星の安全地帯のみ使うことができるらしい。また職業を選ぶまで誰もつれてくることはできず、従魔たちは『AI』で待機するらしい。
 
 3人に伝え、早速『星空切符』を使ってみると地面に魔法陣が現れどこかに飛ぶ感覚を感じ目をつぶった。感覚が消えたので目を開けるとそこは白い石柱や石の壁でできた神殿に移動していた。
 
『アップデートによるチュートリアルを始めます。まず冒険者ギルドに向かって職業を決めてください』

 突然アナウンスが聞こえ、視界に一つのアイコンが出た。そのアイコンに向かうため神殿から出ると活気あふれる街並みだった。まず最初に目に入るのは大きな噴水、その近くにはいくつかのベンチが設置されている。この場所は四方へ大通りに繋がっており、レンガ造りの建物や出店などが並んでおり、多くのプレイヤーが歩いていた。プレイヤーもまだ同じような簡素な衣装を着ている者も多いが一部のプレイヤーは派手な服を着ている者もいる。更に従魔を連れている者もたくさんいた。僕の格好は目立ちたくないためウルフの革を用いたレザー装備一式となっている
 
 とりあえずチュートリアルに従って冒険者ギルドに向かってみた。冒険者ギルドは赤レンガでできた建物で、中に入ってみるとたくさんのプレイヤーがおりいくつかの掲示板や受付に群がっていた。僕はアイコンに従って一つの受付へ向かう。僕が近付くと受付に座っている女性が話しかけてきた。

「こちら職業受付です。何か御用でしょうか?」
「あの職業を選びたいんですけど?」
「初めてですか?」
「はい」
「ならばこちらへどうど」

 受付の女性の案内に従いある部屋の中に入るとその中央に水晶玉が置いてあった。

「この部屋ではあなたにあった職業を選ぶことができます。中央の水晶玉に触れてください」

 女性の指示に従い僕が水晶に触れると水晶が白く輝き白い空間に飛ばされる。すると目の前にいくつかの職業が現れた。

・戦士
・拳闘師
・魔法使い
・僧侶
・付与師
・木工職人
・鍛冶職人
・裁縫職人
・調合師
・釣り人
・テイマー
・・・・・・・

 この中から5つ選ぶのか。うーんどうしようか・・・。悩みながら僕が選んだのは下の5つ

・開拓者
 まだ誰も知らない場所や景色、謎、物を見るためにあらゆる場所に向かう特殊な職業
 専用スキル   【開拓者】

・素材採集家
 世界中にあるあらゆる素材を見つけ、集めるために活動する特殊な職業
 専用スキル    【素材採集家】

・異質なテイマー
 滅多になつかない種族を従魔とするテイマー職の亜種
 専用スキル    【異質なテイマー】

・???の錬金術師
 薬草、金属、魔物の素材などのあらゆるアイテムを使い、未知のアイテムを作り出す生産職。その中でも資格ある物にはさらなる可能性が
専用スキル      【錬金術】

・魔物牧場の主
 様々な野菜、果物、家畜だけではなく魔物とも共存できる生産職
専用スキル      【魔物牧場の主】

 うん。見てわかると思うけど多分全部ユニーク職を選んだ。普通なら戦士、魔法使いとかのわかり易い職種を選ぶと思うけどせっかくのゲームだからめずらしい職種を選んだんだ。職業にはそれぞれ専用スキルという特殊なスキルを覚えることができる。この専用スキルは職業レベルが上がることによりスキルレベルが上がる。職業レベルは戦闘やクエスト報酬、生産をすることで入手できる経験値により上げることができる。

 まず開拓者。説明文を読んだ感じ冒険家とか探検家と一緒かな。専用スキルの【開拓者】は開拓に便利なスキルを覚えるらしい。Lv1のスキルは【発見】というスキルを覚えた。【発見】は何かが見つかりやすくなるらしい・・・何かって何?

 次に???の錬金術師。錬金術師は大体のゲームにある薬品や道具を作る生産職。専用スキルは錬金術。Lv1のスキルは【成分抽出】。【成分抽出】は素材に含まれている『毒』『マヒ』などの成分を取り出し保管できるらしい。だけど???って何?

 次に素材収集家。説明文を読む感じ素材集めのプロって感じ。専用スキルは【素材採集家】。Lv1のスキルは【万能採取】。【万能採取】は採取時状態異常にならない・・・え?採取する時状態異常になるの?

 次に異質なテイマー。これってヒミコたちを従魔にしたからだよな。専用スキルは【異質なテイマー】。Lv1スキルは【フラグ通知】だ。【フラグ通知】は従魔関連で何かのフラグを達成したら通知が来る

 最後に魔物牧場の主。これはミルキーフライ達と友達になったからかな。専用スキルは【魔物牧場の主】。Lv1は【魔物との友好度上昇】だ

 とりあえずメインに開拓者、サブに素材収集家、???の錬金術師を装備して水晶の部屋から出てさきほどの受付まで戻った。すると先ほどの受付の女性が話しかけてくる。

「職業は決まりましたか?」
「はい」
「それはよかった。あの部屋についてはギルドの受付に言っていただければいつでも行くことができますからおっしゃってください。続いて冒険者ギルドの登録もしますか?」
「登録ですか?」
「はい。冒険者ギルドに登録すると冒険者ギルドでクエストを受けたり、身分証明の代わりになります。登録の仕方はこちらの板に手を置いてもらうと名前、職業などの情報が登録されます。情報については冒険者ギルド内でのみ扱い、その情報からあなたにあったクエストも進めることができます」

 女性は一枚の金属でできた板を差し出してきた。僕は登録するためにその板に手を置くと女性が何かを記録していく。

「名前はケン様、職業は・・・・え?」

カラン

 女性は僕の職業欄を見た後、驚いた声をあげた後、ペンを落とした。

「申し訳ありません。ちょっと一緒に来てくれませんか?」
僕の手を取ると奥の部屋に向かって進んでいく。何かのイベント?
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