上 下
117 / 117
3章

113 デート編⑥レオナとシシエドへ

しおりを挟む
 翌日翔とレオナはレオナのリクエストでヒノクニ大陸シシエド領に来ていた。まずはシシエド領の温泉街を歩くことにする。ちなみの二人の格好は浴衣、下駄に上着を羽織ったTHE温泉客となっている。

 元々元シシエド国は豊富な鉱石と木材などの資材がある山から運び加工するために建国された。さらに山から湧き出る温泉にも目を向け観光名所にして栄えていった。
そのため土地は大きく3分割され山の麓(ふもと)の平原に作られた資材の運搬、加工を主とした商業区画、温泉の水源を保つために山を切り開いて作られた旅館区画、旅館区画と商業区画をつなぐように展開されている様々な店が立ち並ぶ温泉街区画である。
シシエド領の温泉街には何本もの小川が流れており、その小川の上をいくつもの橋でつなぎ小川に沿って様々な店が建てられている。

「あれは何?」

 レオナはある場所を指さす。そこには三角屋根の下に四角い枠があり、その枠の中には湯気が出ている液体が入っておりその周りを長椅子が置かれていた。何人かの温泉客がその湯気が出ている液体に足を入れている。

「あれは足湯っていって足だけで入る温泉だよ」

「なんで足だけ入るの?」

「そもそも風呂に入る理由は身体を清めるだけでなく、体の血流を良くして体の中に入っている無駄な物:老廃物を汗として排出しているんだ。だけど風呂に入ると血圧が上がったりして体力を消費して体に負担がかかるから、体が弱い人や心臓に病気を持っている人には厳しいんだ。だけど足湯ならその負担も最小限になって老廃物の排出もしてくれるんだ」

 翔とレオナは試しに足湯に入ってみた。湯を足につけてみると足から頭へと少しずつ体中が温まってきて血流がよくなり頬にも赤みが生じてきた。そうなると体の緊張も解けてきてゆったりできた。

「はぁーーー、いい気持ち」

「あー、そうだなあ」

しばし足湯を楽しむ2人だった。

 足湯を後にした2人は再度温泉街を見まわっていたらレオナはある場所で鼻をクンクンさせ匂いを嗅ぎだした。

「何?この甘い匂いは?」

 匂いの下に行くレオナについていくとあるお店に着いた。店頭には表面にシシエドと焼き印が押された一口大の茶色いパンみたいな物が置かれていた。店員のおばちゃんが近付くレオナと翔に気づき笑いながら話しかけてきた。

「いらっしゃい。シシエド温泉まんじゅう買っていくかい?」

「温泉まんじゅうですか?」

「ああ。薄い生地の中にあんこが入ったおいしいお菓子だよ。一個食べてみんさい」

 翔とレオナは試食用の温泉まんじゅうを食べてみる。一口食べるとしっとりしたあんこの触感と甘みが口に広がりサクッとした生地の触感がアクセントになっていた。

「おいしい。いくつかもらえますか?」

「まいどあり」

 温泉まんじゅうをいくつか買った翔とレオナは温泉街を見回るのを終え旅館に閾温泉に入るために歩き始めた。その二人の後を追う黒い影が




???

 俺はシシエドの温泉街を縄張りにするスリだ。シシエドが国だったときは街に見周りも少なく仕事がしやすかったんだが、オオエド国と合併した時に見周りが一気に増えやがった。そのせいでほとんどの同僚が捕まりやがった。だが俺はそんな間抜けじゃねえ。見周りの配置も考え標的を狙うから捕まりはしねぇ。今日も無防備に巾着を持った観光客を見つけたぜ。見周りも付近にいねぇ。さぁ仕事の時間だ。


 レオナの後ろから一人の男性が近付いてくる。翔もレオナも気づいているが知らないふりをする。すると男はレオナの横を通り過ぎる時レオナが貴重品を入れている巾着を奪おうと手をのばす。しかしレオナはその手をつかみ風魔法で空中に投げ飛ばした。男はそのまま空中に飛んでいくと近くの見回り兵の前に落ちていく (レオナはきちんと魔法で制御し男にけがはない)。レオナは特に気にした様子もなく翔に話しかける。

「じゃあ、温泉に行きましょ」

「ああ、でも本当に一緒に入るのか?」

「ええ、水着を着るから問題ないわ。約束でしょ?」

そう。レオナはデートが最後に回されるのを条件に翔に水着を着た温泉の混浴を約束させたのだ。

 翔は先に水着を着て温泉に入った。すでに太陽は月の光が辺りを照らしている。翔達が入った旅館の温泉は外にあり、石で囲まれた湯船に山の源泉から直接湯を取る源泉かけ流し式という方法で湯を溜めている。周囲には竹の策で囲まれて一本のモミジの木が植えられており、枝から落ちたモミジの葉が温泉に浮かんでいる。

「おまたせ、翔」

 黄緑のビキニを着たレオナが温泉に入り翔の隣に近寄ってきた。レオナの長い金色の髪は温泉の水にぬれ艶を増し月の光を浴びて輝いている。またもともとプロポーションもよかったレオナの身体は温泉により少し赤みがまし色気がましており、翔はその美しさに少しの間見惚れてしまった。

「?どうしたの翔?」

「!いや、別に。それにしてもいい湯だな」

 翔の少し慌てた返事に疑問を持ちつつ翔の隣に移動したレオナは空をも上げながらのんびりする。そして翔の肩に頭を乗せた。その行動に顔をより赤くした驚いた翔はレオナに話しかける。

「どうしたのレオナ?」

「別に理由はないわ。ただこうしたかっただけ。嫌だった」

 レオナは翔の肩に頭を乗せつつ暗線の熱だけではない理由で顔を赤らめ上目使いで翔に聞く。そんな顔で頼まれると翔の答えはひとつしかない。

「嫌じゃないよ」

そんな2人だけの時間はデート終了時間まで続くのであった。
しおりを挟む
感想 26

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(26件)

ラクス
2020.08.24 ラクス

デート編6が4話も同じ話が続いてる。

解除
AIG//
2020.03.30 AIG//

誤字,変換ミスが多すぎます。
あと、マヨネーズの作り方くらいはきちんと知っていてください。

解除
雷霆招来
2020.03.12 雷霆招来

49
創造神に頼んで信託でも ではなく 神託 では
信託を行いどうにか ではなく 神託 では
その隣に名波 ですが 前には奈波 と書いて有りましたが何方が正しいの?

解除

あなたにおすすめの小説

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

田舎暮らしと思ったら、異世界暮らしだった。

けむし
ファンタジー
突然の異世界転移とともに魔法が使えるようになった青年の、ほぼ手に汗握らない物語。 日本と異世界を行き来する転移魔法、物を複製する魔法。 あらゆる魔法を使えるようになった主人公は異世界で、そして日本でチート能力を発揮・・・するの? ゆる~くのんびり進む物語です。読者の皆様ものんびりお付き合いください。 感想などお待ちしております。

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜

自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成! 理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」 これが翔の望んだ力だった。 スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!? ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。