上 下
109 / 117
3章

108 デート編①真保とオオエドの星海の洞窟へ

しおりを挟む
「ふう、今日はいい天気だな」

 翔は今オオエドに来ている。ちなみに服装は和服である。で、オオエドの何しに来たかというと・・

「そうね、じゃあ行きましょ、翔?」

 真保と遊びに来たのだった。なぜこうなったかというと・・


 昨日翔が部屋で本を読んでいると

コンッコンッコン

 と扉をたたく音が聞こえた。翔が本から目を離し扉の外に人物に声を掛ける。

「誰?」

「真保よ、翔今ちょっといい?」

「ああ」

 翔が返事をすると扉を開けて真保が入ってきた。どうやらお風呂に入っていたらしく服装は桜色のパジャマで髪が軽く濡れていた。

「で、どうしたの、真保?」

「明日、暇?」

「うん、特に用事ないけど」

「だったら明日オオエドを見回りたいから付いてきてくれる?」

「わかった」

 そして翔と真保のオオエドでのデートが始まった。


「何回かきて思ったんだけど翔と一緒に行った家族旅行の京都の映画村に似てるよね」

「ああ、あの時は映画のセットだったけどな」

 と翔と真保がのんびり街中を歩いているとチリ―ンチリ―ンと音が聞こえた。音が聞こえた方向にいってみるとそこには屋台があった。看板には『風鈴屋』と書かれ、無地のガラスの傘の風鈴の他に様々な模様の描かれていたり、猫や犬、カエルなどの形をした風鈴が並んでいた。その屋台に近づくと店員のおばちゃんが話しかけてきた

「あらいらっしゃい。よければ見て行ってお二人さん」

「じゃあ少し見ていこうか真保?」

「ええ、それにしてもこんなに風鈴は種類があるのね?ガラスの傘に模様を描いているのは見たことあるけど傘の部分の形を変えてるなんて初めて見たわ」

 真保の感想を聞いていた店員のおばちゃんは笑いながらあることを話してくれた。

「お嬢ちゃんは風鈴を知ってるんだね。うちの商品は全部おばちゃんの夫が作ってて最初は普通の風鈴を売ってたんだけどある日近所の子供に猫の形ができないの?と言われてね。夫が試行錯誤のうち猫型の風鈴を完成さしたのよ。そこからさまざまな動物の形をした風鈴も作っちゃったのよ」

「それはすごいですね」

「最近わね他の大陸の技術が入ってきて色ガラスが作れるようになって夫もすごく張り切ってるのよ」

 翔と真保は店員のおばあちゃんの話を聞きながらいくつかの風鈴を選び購入して屋台を後にした。

 いくつかの店を巡った後お腹がすいた翔と真保は食堂に入った。そこには

「あら、翔くんと真保ちゃんじゃない」

 サクヤとチグサが座っていた。どうやらサクヤがこの国に来ていて一緒に食事に来たらしい。翔達も席に着きサクヤ達と一緒に食事をした。

 ちなみにべリオス商会はヒノクニ大陸オオエド国首都オオエドにべリオス商店ヒノクニ大陸1号店を建て、この店を中心にレグルス大陸の商品や技術をこの大陸の商業ギルドに伝えていき少しずつ広めている。このお店にはメルトホルン本店といつでも行き来できる転移門(翔が転移魔法を付与した魔道具の名前)が備わっていた。

「今日は二人でどうしたんどす?デートどすか?」

「ええ、ちょっと観光にね。なにかいい場所はない?チグサさん?」

「そうどすな・・・だったら星海の洞窟なんてどうどす?」

 チグサさんに詳しく話を聞くとオオエドの東の方に洞窟がありその最奥にはとてもきれいな景色が見えるらしい。しかし洞窟内にはBランクの魔物が出るためなかなか人が寄らないらしい。翔と真保は詳しい場所をチグサに聞きその場所に向かった。

 オオエドの東には森が広がっており目的の洞窟はその中にあるらしい。翔と真保はメイカイフクロウのホウホウに乗り森の中を飛び進んでいた。道中魔物も見かけるがホウホウの姿を見て逃げていった。そして10分後目的の洞窟に着いた。

「ホウホウ、ありがとね。また帰りもお願い」

「助かったよ、ホウホウ」

 翔と真保はホウホウを撫でながらいたわった後【ゲート】でメルトホルンに送った。

「ここが洞窟なのね?」

 星海の洞窟は全体的に苔でおおわれており軽く塩の香りがした。

「チグサさんの説明ではこの洞窟は海とつながってる場所があってところどころに水がわいているんだって。で一番奥にきれいな景色が見れるってさ」

 翔と真保は洞窟の中を進みながら奥を目指した。途中魔物もよってきたが2人はなんなく倒していく。そして30分後二人は洞窟の奥に着いた。

 そこは空洞で中には池があり中央には丸い島が浮いていた。池の底には淡く緑色に光る水晶がありその部屋全体を明るくしている。天井を見れば小さい水晶が散りばめられており水晶の光を反射して幻想的な光景を作り出していた。二人は中央の丸い島へ歩いていく。

「すっごいきれいね」

「ああ、天井の水晶が光っててまるでプラネタリウムみたいだ」

(天井の水晶は海王石といい海底深くの地層で発見される水晶です。海王石には空気中の水分と魔力を吸収し青く光る性質があります。恐らくこの洞窟は本来海底深くにありましたが地殻変動などによりここまでせり上がってきたのでしょう)

 ナビの解説を聞きながらその光景をしばし堪能していると真帆が隣にいる翔の腕を取りながら方に顔をのせだした。


「ふふっ」

「どうしたんだ、いきなり笑って?」

「いろいろあったけど地球の時と同じように翔とこんな風に一緒に出掛けれてうれしいのよ。それにこんな光景を見られるなんてね」

 2人は夕食の時間になるまでこの場所でゆっくり過ごした。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜

九尾の猫
ファンタジー
サバイバルゲームとアウトドアが趣味の主人公が、異世界でサバゲを楽しみます! って感じで始めたのですが、どうやら王道異世界ファンタジーになりそうです。 ある春の夜、季節外れの霧に包まれた和也は、自分の持ち家と一緒に異世界に転移した。 転移初日からゴブリンの群れが襲来する。 和也はどうやって生き残るのだろうか。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~

飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。 彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。 独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。 この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。 ※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

元34才独身営業マンの転生日記 〜もらい物のチートスキルと鍛え抜いた処世術が大いに役立ちそうです〜

ちゃぶ台
ファンタジー
彼女いない歴=年齢=34年の近藤涼介は、プライベートでは超奥手だが、ビジネスの世界では無類の強さを発揮するスーパーセールスマンだった。 社内の人間からも取引先の人間からも一目置かれる彼だったが、不運な事故に巻き込まれあっけなく死亡してしまう。 せめて「男」になって死にたかった…… そんなあまりに不憫な近藤に神様らしき男が手を差し伸べ、近藤は異世界にて人生をやり直すことになった! もらい物のチートスキルと持ち前のビジネスセンスで仲間を増やし、今度こそ彼女を作って幸せな人生を送ることを目指した一人の男の挑戦の日々を綴ったお話です!

処理中です...