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3章

105 番外編 とある貴族の終わりについて

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僕はシグル国ゴドウィン伯爵家の長男ハイド・ゴドウィン。僕の父は国の財政を担う重要な職で働いている。よくよくは家督を引き継ぎ僕も父の職を引き継ぐんだ。

 しかし僕が家督を引き継ぐには問題があった。それは2つ下の弟だ。僕ほど力はないが弟は頭がよく甘ったれたことばかり話す。「兄上は全て力で解決し過ぎだ」「権力はそんなことに使うのではない」「それでは部下は付いてこない」だとかなんとか。

 ゴドウィン家は元々商人から成りあがっているため家督を決める上でめんどくさい制度がある。それが商売競争だ。これは長男及び長女が18歳(ヴィジョンでは貴族の教育課程は18歳まで)になると資金をわたされお店を一店舗任せられる。そして2年後に利益を一定以上出しているとゴドウィン家の次期党首として正式に認められる。

 ただし兄弟・姉妹に15歳以上の者がいるとその者も同じ条件(資金、店舗)で参加でき競争の結果、次期党首が決まる。このような無駄な制度はさっさと廃止して長男が引き継ぐようにしたらいいのに。僕が党首になったらこんな無駄な制度は絶対廃止しよう。

 そして18歳になると資金と店舗を任された。ちっ、弟も同じ条件で始めやがった。あんなに事前に俺には勝てないことを体におしえてやったのに、アホな弟だ。まあ人の扱いは俺の方が圧倒的にうまいからな。それにこの時のために鉱山を一つ秘密裏に買い取ってるんだ。この権利は最初にもらえる資金とは関係ないからな。頭の出来が違うんだよ。

そして半年後

 何故だ、どうして儲からない?最初、たくさん従業員を送り24時間採掘さしてるんだぞ。それにより他の奴よりたくさん資源を獲得したんだ。それを元手に少し品質は悪いが安い商品を作って売ったんだ。最初は売れたが少しずつ売れなくなっていった。

 弟も小さい鉱山で同じことをしているんだぞ?それにこちらに比べて従業員は少ないくせにきちんと休日を与えるというなめられる態度でだ?それなのにあいつの店は少しずつ大きくなっている。

さらに月日が経ち

 ヤバい。従業員がいなくなった。何が休みが欲しい、仕事がきつすぎる、給料が安いだと?文句を言ってる暇があったら働けばいいのに。
それに商品も全然売れなくなった。品質が悪すぎるだと?くそ、庶民ごときには気づかれないとおもって品質を下げたのが裏目に出てしまった。どうする?、奴隷でも雇うか?だがそろそろ資金が底をつきそうだ。それにそろそろ購入した鉱山で鉄も取れなくなってきた。

 そんな時黒いフードをかぶった邪神教と名乗る者達が話しかけてきた。なんと人を貸してくれるそうだ。それも24時間働ける部下を。それに最初のひと月はお試し期間で何も要求しない。ただしそれ以降はとれた鉄の半分を買い取りたい。それにいくつかの鉱山の採掘権も譲るだと?こんなうまい商売はないな。俺は邪神教と契約した。奴らの言う通り邪神教から来た人材は24時間文句も言わずに働いた。そして奴らの作る商品は嘘のように売れていった。

さらに月日が流れ

 邪神教と契約した後の僕の店は何をしても大成功だった。くっくっく、これこそ本来の僕の姿だ。
逆に弟の方の妨害工作もうまくいって、今じゃ細々と経営をしている。まあ、このままほっといてもつぶれていくだろ。それに父さんも僕が跡継ぎでいいだろうとも言ってくれた。なんか目がうつろだったけど。

 数日後、また邪神教の人が来た。なんだって?今の価格の2倍だすから鉱山で採れる全ての金属が欲しいだと?その代わりセイラ王女との中を取り持つだと?

 僕はセイラと初めて会った時見惚れてしまった。一目ぼれだった。それから父さん経由で知り合い話すようになった。そして父さんにどうにかセイラの婚約者になれないかと相談しようとしたらなんと異世界から来た優斗というやつが婚約者になりやがった。ぼくはその時殺したいほど嫉妬したね。それからは何か弱みを握れないか探ったが何も無く手をこまねいていた。

 僕は二つ返事で返事をした。契約をした後、彼らは本当にセイラとの仲を取り持ってくれた。そしてデートをしたんだ。最高の時間だった。しかしそんな時間は長くは続かなかった。

 僕は新規事業を行うため別の国に着て情報を集めていた。そこへ執事が駆け込んできた。なんだと、邪神教が捕まった?詳しく話を聞くと邪神教はシグル国を操り各国へ戦争を仕掛けたり邪神を復活さした。しかし優斗含む英雄たちにより止められた。それからシグル国王は国内にいる邪神教とそれに連なる者達をつかまえたらしい。執事が商店を見に行くとすでに国軍により立ち入りが行われ僕は責任者として指名手配をくらっていると。

 そんな、指名手配だと。どうすればいい?もう国には戻れない。だったら他の国でやり直すしかない。くそ、すべてうまくいってたのに。もうちょっとで伯爵の地位もセイラも手に入ったのに。
 
 いや、今は落ち着こう。確かメルトホルンで何やらとてもおいしい料理を売り出す食堂があるらしい。それもそのレシピはまだ広まっていない。だったらそのレシピを買い取り、他の店で売れば大儲けじゃないか。大丈夫だ、伯爵家だと名乗れば庶民ごときねじ伏せられる。
早速僕は執事と複数のお抱えのAランク冒険者を引き連れコレクト・スターという店に向かった。 

 コレクト・スターに入り、食堂:黄昏の彗星で噂の料理を食べてみた。これはうまい。これなら他の国で売れば大儲けできる。それに店員は庶民の子供だらけ。これなら権力か力で脅せば話すだろう。そして僕は近くの店員に話しかける。

「おい、そこのお前」

「はい、なんでしょうか?」

「僕はシグル国の伯爵ゴドウィン家の長男ハイドだ。僕が役立ててやるからレシピをわたせ」

「申し訳ありません。料理のレシピに関しては教えることができない規則になっています」

断っただと、許さない

「なんだと、庶民ふぜいが!僕の命令を聞けないだと、なめるな」

 僕が腕を振り下ろし殴ろうとしたら

ドシン

 と急に体が地面に叩きつけられ動けなくなった。一体何がおこってる?全く動けない

 すると僕の状態に気づきお抱えのAランク冒険者も武器を取り出そうとしたが

ドシン

 僕と同様に地面に叩きつけられ動けない。すると僕たちの前にある男が現れた。名前は天魔翔、英雄の一人だった。


色々あったとシグル国王の間にて

 あれから僕は拘束され、翔の転移魔法により王の間に優斗たちと共に王の間に飛ばされた。そこにはすでにシグル国国王と父がいた。僕は父上を見ながらどうにかいいわけを始めようとする。しかし

「父上、これは何かの間違いなのです」

「だまれ、ゴドウィン家にはもうハイド・ゴドウィンという男はいない。ここにいるお前は邪神教兵器の元となる鉱石を大量に渡した大罪人ハイドだ」

「何!僕を捨てたのか!くそ、それでゴドウィン家は何もおとがめなしか、父上」

「黙れと言っている。儂は責任を取って今の職をおり家督をお主の弟に譲った。本当はお家取りつぶしでも甘いぐらいなのに陛下が温情をくださった」

「なんだと、あいつに家督を譲っただと・・・」

僕があまりの衝撃に消沈していると陛下が話し始めた。

「お主の処罰を発表する。知らぬといえお主が与えたこの国の被害は図りえない。また恐喝、誘拐、殺人などお主の罪は数えることもできない。ハイドお主は斬首刑とする」

こうして僕の人生は終わりを迎えた。
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