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2章

97 シグル王国侵入編⑤地下空洞での戦い

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「リリィは何があってもガルルとシャルルのそばを離れるな、ガルルとシャルルはリリィを守りつつ近づいてくる敵を潰せ、レオナはセイラ、レヴィの相手を、優斗、アグニは俺が相手する」



 と全員に伝えると翔は刀を構え優斗たち4人の方へ向かう。レオナもナイフを構え翔の横を並走しながら風魔法【ゲイルスラスター】を発動。レオナの前に巨大な風の刃が現れ、優斗達を襲う。優斗たちがレヴィが前に出て持っている杖を掲げ魔法を発動する。【カオスシールド】漆黒の壁が優斗たちの前に現れ【ゲイルスラスター】と衝突し受け止めた。しかし少し経つと漆黒の壁に少しずつ亀裂が入り、巨大な風の刃共々周囲に土煙を上げ消滅した。漆黒の壁の消滅と共に優斗が黒い剣を抜き土煙に向け走り出す。そこにはすでに翔が優斗に向かっていた。



ガキィ―――ン



 優斗の黒い剣と翔の刀が打ち合い、金属の合わさる音が周囲に響いた。レオナは翔が優斗の足止めをしている間にセイラとレヴィに近づきナイフで牽制しながら二人と一緒に遠ざかった。







 翔は優斗とつばぜり合いをしつつ優斗に話しかける。



「優斗、正気に戻るんだ。邪神なんて訳が分からないやつに負けるな」



しかし優斗は何も答えず剣に力を込める。その様子を見てアグニは微笑む。



「無駄ですよ、翔さん。優斗様はすでに私たち以外の勧誘は受け付けません。その証拠に邪神様の力を受け取ったんですから」



 優斗の剣から瘴気が溢れ優斗の周りにまとわりつき力を増した。翔も刀を発光させて対抗するが優斗の力に負け吹きとばされた



「くっ」



 翔は空中で体制を立て直しどうにか着地する。そこへアグニが翔の着地点に魔法陣を展開する。すると魔法陣から多数の黒い手が現れ翔の身体にまとわりつく。



「どうです、翔さん。あなたも神の加護を受け取ったみたいですがその力も失われていくでしょ。それが私に力を貸してくださっている邪神様の力の一端なんです」



 アグニが言う通り翔の刀が元の状態に戻った。その状態に驚いている翔の下に優斗は切りかかってくる。翔は急いで



「【ゲート】」



 で場所を変えようとしたがうまく発動しなかった。そこへ迫る優斗の剣。翔は身体をひねり躱すが体が思うように動かず頬に傷を負う。その様子を見ながらアグニは優斗に話しかける。



「ウフフ、どうやら時空間魔法も使えなくなったようですね。今です優斗様、我らが邪神様を信じぬ異教徒に制裁を」





 一方レオナはレオナで苦戦していた。レオナは戦う寸前翔にある二つ作戦を伝えられた。一つはセイラ、レヴィを足止めすこと、2つ目は・・・



(危ない!)



 レオナはぎりぎりセレナの攻撃をよける。セレナの手には漆黒のレイピアが握られてた。セレナはレイピアの達人で、得意魔法の風と雷で移動速度を上昇さしてAランクの魔物も細切れにするほどの実力者である。レオナも時折戦い切磋琢磨していた。今は更に黒い正気を纏い苛烈にレオナを襲う。レオナも攻撃しようとしているが絶妙のタイミングでレヴィからの妨害を受けうまく攻めれない。そこにアグニの言葉が耳に入る。



「さすが優斗様、異教徒に制裁を与えてくれました」



 レオナが声をする方を向くとそこには優斗の漆黒の剣で貫かれた翔の姿が





 いくつか切り合い体制を崩した翔に向けて優斗は漆黒の剣を突き出す。それを翔は刀を使い防御するが刀が折れ、優斗の漆黒の剣は翔を貫いた。そこでアグニの笑い声が響く。



「さすが優斗様、異教徒に制裁を与えてくれました」



 が崩れ落ちたのは優斗の鎧と漆黒の剣だった。



「なんですって?」



 その光景を見たアグニは理解できなかった。そしてよく優斗と翔を観察すると優斗の身体に翔の拳が当たっていた。そして翔はある技を放つ。



「正拳・浄化天来」



 翔の拳から聖なる魔力が溢れ、優斗が纏っていた瘴気は晴れ首輪は壊れた。そして



「翔?セイラ、リリィ、レヴィは大丈夫なのか?」



 優斗は意識を取り戻し婚約者の三人の身を心配する。その言葉にアグニは



(そうです、こちらにはまだセイラ、レヴィという人質がいるのです)



 と2人の方に目を向けると、武器を双剣アルマ・カルマに変えて、セイラとレヴィの正気を払うレオナの姿が映った。レオナは二人を担ぎながら翔に話しかける。



「翔、こっちも終わったわよ。もう結構大変だったわよ、あなたが優斗を助けるまで神器も使わず苦戦しているように見せろっていうのだから」



「一体何を言ってるのですか?苦戦しているように見せろ?実際に優斗様との切り合いでも吹き飛んでいただは無いですか?それに邪神様の力が働いているのに何故うごけるのになぜ魔法が使えるのですか?優斗様の時は何もできなかったのに」



 とこちらを指さしながらアグニは叫ぶ。翔は一つ一つ答えてあげた。



「まずこの邪神の力だけど神々の加護を打ち消し能力を低下させるんだろ。だけど俺達には効かない」



と翔が魔力を解き放つと体中に纏わりついた黒い腕は吹き飛んだ。



「あんたの態度で、何か切り札があったのはわかっていたからわざと喰らってあげたんだ。そして隙ができるまで優斗の攻撃をくらって優斗を開放したってわけ」



「何故邪神様の力が聞かないんですか?」



「あんたたちが使える邪神の力は弱っている邪神の力で、神の加護っていう祝福を無効にしてるんだよ。でも俺たちはそれ以上の神の祝福をもらっているから、その程度の邪神の力じゃ無効化することはできない」



 その翔の言葉に目を見張りアグニはあることを尋ねる。



「何を言っているんですか?まるで邪神様のお名前を知っているように聞こえます」



「ああ、知ってるよ。だろ、終末神ワイズ?」



 翔がその名前を邪神像に向かって話しかける。するとアグニ含む黒色のローブを着た者達の身体から黒い手が生えて彼らは拘束されていく。もがきながらアグニは問いかける。



「邪神様、一体何をするのですか?」



『アグニありがとう。お礼に私の一部にしてあげる』



 そしてアグニ達は邪神像に吸い込まれていき、さらに像を中心に闇が広がっていき周囲を飲み込む。それを見た翔はすぐに全員を【ゲート】で地上に送った。翔達が地上に戻った後の空間では邪神像が笑い出した。



『フフフ、さすが翔ね、私の正体をすぐに見破るなんて。でもこっちも準備は終わったわ。さあ第2ラウンドよ、今度こそあなたを取り込んであげる、フフフフ』
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