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2章
93 シグル王国侵入編①突然の来訪者
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コレクト・スターが開店して1週間経過した。まだ忙しいが大分落ち着き、当初の計画どおり子供達だけで2班交代制で営業できるようになった。また同じ時期に商業ギルドで無料配布した卵焼き、あんこ、色ガラス、プラスチック、洗剤、スポンジのレシピは爆発的に広まり、錬金術の需要が高まり錬金術の研究も盛んになされている。お米に関しては教えてほしいといわれたがオオエド大陸との交易の問題があるため現在は保留している。
本日、翔、聖、ミゼルは冒険者ギルドへ向かうために街中を歩いている。他のメンバーは他の用事があるため別行動中である。街中には様々な看板が溢れていた。『今ブームの色ガラス食器おいてるよ』『ここだけの限定ヌイグルミ販売中』『プロが作る卵焼き一回食べてみて』など。
翔達は冒険者ギルドに着くと早速掲示板を見に行った。そこでいくつかの放置されているクエストを選びカウンターに向かった。カウンターではリリィが受付をしておりこちらに気づき手を振ってくる。
「こんにちは、リリィさん」
「こんにちわ、翔さん、聖さん、ミゼルさん。クエストの受注ですか?」
「うん。これお願い。あと他に何かクエストある?」
翔が数枚紙をわたすとリリィは確認した後奥の部屋に入って行った。10秒後、リリィは別の紙を持って翔達に見せた。翔達が確認すると難易度の割には報酬が少ないクエストだった。
ギルドでは実力のある冒険者にはギルドから直接クエストを頼むことがある。そのクエストは基本高難易度だが報酬は別格のものとなっている。
また逆に冒険者の方から特定のクエストがあれば教えてほしいと頼む時がある。翔達の場合は後者だがすこし内容が違う。普通ならある素材が入るクエストや難易度が高いクエストを頼むが翔達の場合、他の冒険者が受けない利益の少ないクエストを選んでもらっている。理由はお金を稼ぐためにクエストを受けているわけではなくボランティア目的で受けているからだ。
「そういえば知ってます?シグル王国の事?」
「何?」
リリィは雑談がてら気になること話してくれた。
「最近シグル王国では鉄や薬品の輸入が多いんですよ。戦争の準備をしてるのではないかって噂なんですよ。ただ火薬もたくさん集めてるんですよ。戦争では爆弾を持ち運ぶことは無いんですが」
近くの森の中、翔達はクエストを消化していた。最後のスケルトンを倒したミゼルは翔に声を掛ける。翔が先ほどから考え込んでいることが気になったのである。
「さっきの事が気になるの?」
「ああ、もし俺の予想通りなら大変なことが起こるし、シグル王国を止めなくちゃいけなくなる」
翔の言葉はさらに続く。
「薬品はいいけど鉄、火薬を大量に集めてるということは、優斗から地球で使われたある兵器の情報が流れたかもしれない。信じたくはないけど」
翔の言葉に聖はある武器を思い浮かべる。
「!まさか、銃の量産体制ができてるの?」
翔はうなずきで返す。ミゼルは銃と聞いてもピンと来なかった。
「銃って魔法銃の事、それならそこまで心配しなくて大丈夫じゃない?」
ヴィジョンには魔法銃という武器がある。魔法銃は筒状の砲から魔力を弾として打ち出す遠距離武器である。対策としては魔法攻撃と同じで、魔力耐性の高い防具や体全体を魔力で纏えばダメージを減らすことができる。
ミゼルの疑問に翔は首を振って否定し説明を続ける。
「銃は火薬を使って魔法弾の代わりに丸い鉄の球を打ち出す武器で、地球で生み出された武器なんだ。弾の速さは弓や魔法より早く、一番の利点は兵士や冒険者じゃなくても簡単に誰にでも使える事。地球でこの武器が使用された戦争では一方的な蹂躙が行われたから僕らは相談して銃の事は伝えないようにしてたはずなんだけど・・」
そう。地球でも銃を用いた戦争はひどいことが起こった。翔達も詳しい作り方は知らないが『火薬で鉄の球を打ち出す』ぐらいの知識があり、便利な力、魔法があるためもしかすると再現してしまうかもしれないので銃の情報は伝えないように決めていたんだが。
バーン、ドーン
と遠くで戦闘音が聞こえた。翔達は気になり魔力探知を広める。すると覚えがある魔力反応を感じた。そして翔達は急いで駆け付けた。
灰色のローブを着た少女はメルトホルンへ向かうため森の中を走る。ときおり【サーチ】や後ろを振り返りつつ先を急ぐ。しかしメルトホルンまでもう少しというところで特徴的な仮面をかぶった黒いローブの集団に追いつかれる。その少女も魔法で応戦するが、進行方向にも黒いローブの集団が現れ囲まれてしまった。
(そんな、ここまで来たのにもう終わりなの。ごめんなさい、優斗、みんな)
と膝をつきあきらめかけた時、周囲を結界が覆いその少女の下に3人の冒険者が現れた。その中の一人聖はその少女に声を掛ける。
「大丈夫、アイネ?」
翔はその集団を発見した時、瞬時に結界を発動。灰色のローブを着た人物の下に降り立った。そして聖は灰色のローブを着た人物シグル王国伯爵家の一人娘アイネに話しかける。アイネの姿をよく見れば袖や裾はほつれており、泥などで汚れていた。体中にも小さな傷がついておりここまで必死に走ってきたのがわかる。アイネを聖に任せ翔とミゼルは動き出す。
黒いローブの集団は翔達の登場に驚いたが、直ちに撃退しようと魔法を打ち出そうとする。30秒後、黒いフードの男たちは全員地面に倒されていた。その瞬間黒いフードの男たちは突然苦しみだし息を引き取った。【鑑定】で確認するとどうやら眠る以外で気を失うと死ぬ呪いが掛けられていたようだ。
「アイネさんは?」
翔がアイネを支えている聖に様子を聞くと聖はアイネの状態について答える。
「安心して気を失ったみたい。シグル王国から不眠不休で来てたみたいね」
「これは何かあったと思った方がいいね。今から自宅に送るから聖はそのまま様子を見といて、ミゼルは皆を集めて、俺はクエストの報告だけしてくる」
何かが起きようとしている。
本日、翔、聖、ミゼルは冒険者ギルドへ向かうために街中を歩いている。他のメンバーは他の用事があるため別行動中である。街中には様々な看板が溢れていた。『今ブームの色ガラス食器おいてるよ』『ここだけの限定ヌイグルミ販売中』『プロが作る卵焼き一回食べてみて』など。
翔達は冒険者ギルドに着くと早速掲示板を見に行った。そこでいくつかの放置されているクエストを選びカウンターに向かった。カウンターではリリィが受付をしておりこちらに気づき手を振ってくる。
「こんにちは、リリィさん」
「こんにちわ、翔さん、聖さん、ミゼルさん。クエストの受注ですか?」
「うん。これお願い。あと他に何かクエストある?」
翔が数枚紙をわたすとリリィは確認した後奥の部屋に入って行った。10秒後、リリィは別の紙を持って翔達に見せた。翔達が確認すると難易度の割には報酬が少ないクエストだった。
ギルドでは実力のある冒険者にはギルドから直接クエストを頼むことがある。そのクエストは基本高難易度だが報酬は別格のものとなっている。
また逆に冒険者の方から特定のクエストがあれば教えてほしいと頼む時がある。翔達の場合は後者だがすこし内容が違う。普通ならある素材が入るクエストや難易度が高いクエストを頼むが翔達の場合、他の冒険者が受けない利益の少ないクエストを選んでもらっている。理由はお金を稼ぐためにクエストを受けているわけではなくボランティア目的で受けているからだ。
「そういえば知ってます?シグル王国の事?」
「何?」
リリィは雑談がてら気になること話してくれた。
「最近シグル王国では鉄や薬品の輸入が多いんですよ。戦争の準備をしてるのではないかって噂なんですよ。ただ火薬もたくさん集めてるんですよ。戦争では爆弾を持ち運ぶことは無いんですが」
近くの森の中、翔達はクエストを消化していた。最後のスケルトンを倒したミゼルは翔に声を掛ける。翔が先ほどから考え込んでいることが気になったのである。
「さっきの事が気になるの?」
「ああ、もし俺の予想通りなら大変なことが起こるし、シグル王国を止めなくちゃいけなくなる」
翔の言葉はさらに続く。
「薬品はいいけど鉄、火薬を大量に集めてるということは、優斗から地球で使われたある兵器の情報が流れたかもしれない。信じたくはないけど」
翔の言葉に聖はある武器を思い浮かべる。
「!まさか、銃の量産体制ができてるの?」
翔はうなずきで返す。ミゼルは銃と聞いてもピンと来なかった。
「銃って魔法銃の事、それならそこまで心配しなくて大丈夫じゃない?」
ヴィジョンには魔法銃という武器がある。魔法銃は筒状の砲から魔力を弾として打ち出す遠距離武器である。対策としては魔法攻撃と同じで、魔力耐性の高い防具や体全体を魔力で纏えばダメージを減らすことができる。
ミゼルの疑問に翔は首を振って否定し説明を続ける。
「銃は火薬を使って魔法弾の代わりに丸い鉄の球を打ち出す武器で、地球で生み出された武器なんだ。弾の速さは弓や魔法より早く、一番の利点は兵士や冒険者じゃなくても簡単に誰にでも使える事。地球でこの武器が使用された戦争では一方的な蹂躙が行われたから僕らは相談して銃の事は伝えないようにしてたはずなんだけど・・」
そう。地球でも銃を用いた戦争はひどいことが起こった。翔達も詳しい作り方は知らないが『火薬で鉄の球を打ち出す』ぐらいの知識があり、便利な力、魔法があるためもしかすると再現してしまうかもしれないので銃の情報は伝えないように決めていたんだが。
バーン、ドーン
と遠くで戦闘音が聞こえた。翔達は気になり魔力探知を広める。すると覚えがある魔力反応を感じた。そして翔達は急いで駆け付けた。
灰色のローブを着た少女はメルトホルンへ向かうため森の中を走る。ときおり【サーチ】や後ろを振り返りつつ先を急ぐ。しかしメルトホルンまでもう少しというところで特徴的な仮面をかぶった黒いローブの集団に追いつかれる。その少女も魔法で応戦するが、進行方向にも黒いローブの集団が現れ囲まれてしまった。
(そんな、ここまで来たのにもう終わりなの。ごめんなさい、優斗、みんな)
と膝をつきあきらめかけた時、周囲を結界が覆いその少女の下に3人の冒険者が現れた。その中の一人聖はその少女に声を掛ける。
「大丈夫、アイネ?」
翔はその集団を発見した時、瞬時に結界を発動。灰色のローブを着た人物の下に降り立った。そして聖は灰色のローブを着た人物シグル王国伯爵家の一人娘アイネに話しかける。アイネの姿をよく見れば袖や裾はほつれており、泥などで汚れていた。体中にも小さな傷がついておりここまで必死に走ってきたのがわかる。アイネを聖に任せ翔とミゼルは動き出す。
黒いローブの集団は翔達の登場に驚いたが、直ちに撃退しようと魔法を打ち出そうとする。30秒後、黒いフードの男たちは全員地面に倒されていた。その瞬間黒いフードの男たちは突然苦しみだし息を引き取った。【鑑定】で確認するとどうやら眠る以外で気を失うと死ぬ呪いが掛けられていたようだ。
「アイネさんは?」
翔がアイネを支えている聖に様子を聞くと聖はアイネの状態について答える。
「安心して気を失ったみたい。シグル王国から不眠不休で来てたみたいね」
「これは何かあったと思った方がいいね。今から自宅に送るから聖はそのまま様子を見といて、ミゼルは皆を集めて、俺はクエストの報告だけしてくる」
何かが起きようとしている。
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