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2章

89 コレクト・スター プレオープン③鍛冶屋:流星の工房にて

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翔は続いて星降る夜の向かいにある鍛冶屋:流星の工房の紹介に移る。店先には木材で作られた巨大な包丁や鍋、粘土で作られた巨大な皿のオブジェクトが設置されており、上部分には一枚の木の板に「流星の工房」と書かれた看板が取り付けられていた。



 店の前にはトム含む担当の子供達といつの間にかいなくなっていたアリシア、ミゼルがいた。

そしてガルズ、エリザベート、シーラもいた。



「何故、お主らがここに?まさか、お主らも店員なのか?」



「いや、違うぞ。ワシらはここの工房を使わしてもらってるお礼に毎日誰か一人ワシらの会社から店番として来てるんじゃ」



「今日はいろいろ聞かれそうだから私たちがきたんです」



「あと作品も何点か売ってるんでその売れ行きもね」



 シーラの発言に翔達以外は驚いた。それはそうだろう。ガルズ、エリザベート、シーラは3界(魔界、人間界、天界)の建築家トップに位置している。さらに三人は気まぐれなところもあり、個人での作品は滅多に作らない。そのため彼ら個人の作品は国宝級で超高値で売買される。だがこの店では一般的な素材を使い、3人の弟子たちの作品と共に彼らの作品も販売している。彼らと翔達の相談の結果、職人一人に付き1週間に一作品、値段は個人で付けて一カ月売れなければ作品はお持ち帰り、売れれば半分は店に、半分は職人に渡されるという仕組みとなる。



 そしてガルズは壁のチラシを指さし忠告する。



「一応言っとくが儂らの作品があることは秘密じゃぞ。この店ではワシらは一職人として作品を出しとるかな。それに買い占めはするなよ、今日は一人一個まで、明日以降は一人五個までじゃ。これを破ったらワシらはその国では仕事をせん」



 これはガルズたちがコレクト・スターを思っての発言である。ちょうどここにいるのは各国の重鎮たち、彼らが馬鹿な貴族や商人を抑えに行けば安全になるだろうという作戦だ。



 ガルズたちの話が一段落したことを確認するとアリシアはお店の説明を始めた



「では、ここは主に金属や粘土、木材を加工品を売っている鍛冶屋:流星の工房です。売っている商品は粘土やガラスで作った食器、フライパンや鍋などの調理道具、椅子やテーブル、時計などの家具です。どうど見て行ってください」



 アリシアから売っている物を聞いてアルフレッド、ゲイル、ボロス、アインはしまったと困った顔をしながらうなってしまった。どうやら4人共考えていることは同じようだ。そこで代表してアルフレッドが翔に頼んだ。



「翔、すまんがあと数人呼びたい人がいるんだが大丈夫か?」



「別に大丈夫ですけど、誰ですか?」



「メイド長と執事長と料理長じゃ。ワシらでも一目見ていいものだと思うんだが彼等ならもっとわかると思うんじゃ」



「いいですよ。皆さんもですか?」



 翔が他のメンバーにも聞くとうなづきが返ってきた。そこで翔は【ゲート】を開き、それぞれの城へとつないだ。10分後翔達に数名もメンバーが合流した。そして流星の工房の案内は続く。



 彼等は先ほどからどうしても気になっていた場所に早速向かった。その場所はガラス売り場である。そこには様々な色で作られたガラスの彫像や食器などが置かれていた。それも通常のガラスと色ガラスの商品に値段の違いはなかったのだ。通常では天然モノの色ガラスで作った食器は普通のガラスの食器より格段に値段が高いはずなのに。そう、天然なら。



「いったいこれはどういうことなの、翔君。色ガラスがこんなに安いなんて」



「どこかで大量に採れたとしてもここまでは安くわならないはず・・・まさか量産できるんですか色ガラスが?」



 アインとツヴァイはあり得ないと思いつつ翔に聞いて来た。そして翔はあっさり答える。



「はい。量産できますよ。この方法もここが開店したら商業ギルドで無料で公開するんで、今作り方見ます?」



 その申し出に一同はうなずいたのでガルズに頼み工房に入っていた。そこでガルズはガラスを溶かし色の下となる金属の粉末を加え色ガラスのコップを作ってくれた。コップが完成した時は作り方を知っているもの以外は驚き涙を流す者もいた。



「翔、一体あの粉は?」



「うーん、今は秘密だからヒントだけ、あの粉は錬金術で作られてるんだ」



 ボロスの疑問に翔は濁しながらヒントのみを与えた。そして一同は流星の工房に戻って調理器具の販売場所へと案内された。そこでは包丁や鉄串、竹串、フライパンなどの調理器具が売られていた。その売り場を見てアルフレッド、ゲイル、ボロス、アインはしまったと困った顔をしながらうなってしまった。どうやら4人共考えていることは同じようだ。サクヤとレッカは長方形のフライパンを持ちながら首を傾げた。



「ねえ、アリシアちゃん?このフライパンはなぜ四角いの?」



「そうよね?別に四角い必要はないわね?」



「ああ、それはある料理で使う特別なフライパンなんです」



「これが料理にですか?」



「いったいどのような?」



とさらにアリシアに聞いて来たのは先ほど連れてきた各国の料理長である。



「これは卵を使った料理になるんです。あとで実際に食べれるんでその時に」



 アリシアはそう答え追及を回避した。



 調理器具の次は家具が置いている場所に案内した。そこでは椅子や机、タンス、ベット、布団などが置かれていた。そこで注目されたのがプラスチック製のハンガーである。これはとくに各国のメイド長と執事長が興味を持った。



 まずはプラスチック製のハンガー。ヴィジョンではハンガーは鉄の針金で作った物が一般的である。ただし鉄製のハンガーではさびやすく重いため、持ちにくいとか汚れるとかの問題があった。そこで目を付けたのがプラスチック製のハンガー。プラスチック製なら錆びることは無いし鉄よりは軽いため持ち運びがしやすい。一応注意点として鉄のように長持ちしにくいし、曲がって形を蹴ることはできないことだけは注意しといた。それでもなお便利だと各国のメイド長と執事長は言っていた。



 さて次は最後の食堂である.
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