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2章

83 ヒノクニ騒動編⑥後始末

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真保達によって動けるまで回復したアマテラスたちは翔達お礼を言い神界に帰っていった。どうにか動けるよになったがまだ神力が回復するまでには至っていないのでゆっくり休むみたいだ。そして後の事は地上のものに任せると。



 アマテラスたちが神界に戻った後、翔達は最後の後始末をすることにした。そう、金成と多恵達の処分である。飛龍が2人に詰め寄る。その時、翔はある細工を施していた。



「なぜこんなことをした?もし翔殿たちがいなければこの大陸ごと国民は滅んでいたかもしれないのだぞ」



「はっ、この大陸のなんて知ったことか。儂は偉いんだ。その儂がなんでお前たち程度と一緒にこの大陸を治めなければならない。才能のある儂一人で治めたほうがいいに決まっておる。それに国民が死ぬだと?それこそ勝手に死ねばいい。この大陸の王である儂のために死ねるのだ。ごみの様な庶民の命も無駄にならないで済むだろう」



 なんて傲慢なんだろう。



「これは全て何かの間違いなんどす。私はすべての国民を救う運命を持っているんどす。私がすることは全て正しいんどす。今までの犠牲はしょうがないことなんどす。名誉ある犠牲なんどす。犠牲になった命もすべての国民を救う運命をもつ私のために犠牲になったんどすから喜んでいるんどす。私は間違っていないどす。私は正しいんどす」



 こちらはこちらで言ってることが意味不明である。



 そんな言い訳をしている2人に一葉とカガリが近付く。そして一葉は金成に問いただす、両親の事を。



「なんでお父さん、お母さんを殺したの?」



「おお、一葉生きていたか。あれはあいつらが悪い。お前とお前の母親を妻にもらってやるから王座を譲れとこのわしが頼んでやったのに、断ったんだぞ。せっかくこの儂がわざわざ出向いて頼んでやったのに。本当ならあいつらの方から土下座して頼み込まなければならないのに。それにあいつらと来たら最後にお主に儂が触れられないように呪いをかけおって。本当に最後まで何の役も立たない屑だった」



 バチンッ



 一葉の強化魔法マシマシのビンタが炸裂。金成は血しぶきを上げながら地面にぶつかる。



「じゃにぼぉじゅりゅ(何をする)?」



「屑はあなたよ」



 と涙ながらに言うと金成を背にして離れ、翔たちの元に戻った。次はカガリが多恵に問いただす、両親の事を。



「なんで父さんと母さんは殺されなければならなかったの?」



「あれはしょうがなかったんどす。皆を救うにはあの人たちが王ではダメだったんどす。私がミナを率いて導かなければ。あの人たちが私より人気があったことが間違いだったんどす。この救世主である私の意見に反対せず、人形のごとく生きていればよかったのに」



 その話を聞いたカガリは何も言うことなく憐みの目で多恵を一瞥した後はなれていった。



「なんどすか?その目は」



 と多恵は何か言っているが振り返りはせずに翔たちの元に戻った。



「さて、彼らの処罰だけど俺が決めていい?」



 翔は飛龍達の方を向き多恵達の処遇の決定権を欲しいと頼んだ。



「ああ、いいぞ」



「お主たちがいなければこの大陸は滅びていたし、こいつらも捕まえられなかったからな」



 飛龍と正宗は快く譲ってくれた。そして翔は多恵達に判決を下す。



「王位をはく奪して、国民に罰を決めてもらいましょう」



「なっ、それは余りにも軽すぎないか?」



「そうだ!ここでこいつらを生かしとくと何をしでかすかわからないぞ」



 余りの罪の軽さに飛龍達は翔に考え直すように伝えた。翔は飛龍達に近づきあることを告げる。



「実は・・・・・なんですよ」



「何?それは本当なのか?」



「だったら・・・・かもしれない」



 飛龍達は納得して翔に後は任せた。翔は再び多恵達に向けある質問をする。多恵達の性格を完全に理解して、どうこたえるかもわかっていて、そしてそれからの結果もわかっている地獄への優先切符となる質問を。



「国民の皆さんにはあなたたちの前で斬首による死刑か無罪放免かの2択の投票をしてもらいます。その裁判は何時にしますか?あなたたちが決めていいですよ?」



 その質問に多恵は必死に考える。策略は多恵に任していたので金成達は黙っている。



(どうする?時間を使って裏工作をして票を操る?だめね、時間をかけたら他の国々が噂を広げ国民に知れ渡ってします。それならまだ善良な王様と大半に思われている今の方がいいわ)



「じゃあ、今日にしてくれます」



「儂も今日がいい。今すぐだ」



「わかりました。じゃあその裁判は飛龍さん、正宗さんお願いしていいですか?」



「「ああ、まかせろ」」



 と返事をもらったので、翔はイセノミヤ国神殿へとつながる【ゲート】とシシエド城へとつながる【ゲート】を開き、最後に今後の予定を飛龍達に伝えた。



「じゃあ、お願いします。他の大陸への外交の件はそちらの返事が決まったら教えてください」



そして翔達はメルトホルンの自宅へと帰っていった。





 翔達が帰った後、飛竜は多恵達元イセノミヤ国の貴族と兵士たちを、正宗は金成達元シシエド国の貴族と兵士たちをそれぞれの国へ連れて行った。



 イセノミヤ国神殿に戻った飛龍は多恵に話しかける。



「さて、多恵よ、早速裁判をしようか?あとでごちゃごちゃ言われるのが嫌だからな」



「ええ、お願いどす。国民への弁明の機会はくれるんですよんね?」



「ああ、多恵一人だけな。10分やるよ、お前が何いってもその10分間は手を出さないから安心しろ」



 と飛竜が答えると安心したのか、おとなしく神殿広場に連れていかれた多恵。その心は



(くっくっく、これだから甘ちゃんなのよ。まだ国民は私の事を善良な女王と思ってるのよ。ここで無実なの、これは全て飛龍達オオエド国が計画した陰謀なのよとでもお涙頂戴のスピーチでもすれば国民の意識は無罪にいくわ)



 全く反省する気はなかった。そして多恵は神殿広場にたった。この広場は国王が表彰する時に使ったり、重罪犯罪者を裁くと気にも使われている。今そこには国中の国民が集められていた。



 そして多恵の弁明が始まった。時に激しく、時に涙(嘘泣き)を加えつつ、悪いのはオオエド国だと飛竜を指さすなどの演技を加え10分間の演説は終了した。多恵は演説が終わった後、国民の顔を確認したが



(んっ?)



 誰もが無表情だった。そして行われる国民投票。その結果・・・



 国民全員が死刑



 となった。その結果に多恵が叫ぶ。



「何故、どうして?裁判のやり直しを要求するわ。こんなの何か裏工作したに違いないわ」



 錯乱する多恵に飛龍が近付き、この茶番劇のからくりを伝える。



「私たちは何もしていない。ちなみに金成達も同じ結果だと言っていた。それにいくら裁判をやり直しても結果は変わらない。なぜならお前たちが平原で話していた会話は全て全国民に翔殿の魔法で伝えられていたからな」



「なんですって?」



 と声をあげ多恵は膝を地面につけた。そう、翔はアマテラスたちが去った後すぐさま【テレパシ―】でヒノクニ大陸全土に会話が届くようにしていた。多恵たちの考えを国民に知らせるために。



 翌日、イセノミヤ国では多恵含む今回の策略に加担した貴族と兵士が、シシエド国では金成含む今回の策略に加担した貴族と兵士が一同に処刑された。そして両国は王族制を廃止し国民によおって決める民主制に変えた。のちに各国の代表者が集まり、翔達に他大陸との外交を頼むことに決定した。

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