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58 翔の産業革命①色付きガラスの作成法~頭を悩ませる大人たちと狂喜乱舞する職人~

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 翔が色付きガラスを作った翌日、翔はある目的のために3つの場所に向かった。



1か所目、異世界デパート”コレクト・スター”建設地

 翔は近くにいる大工にガルズたちの居場所を聞くと建材置き場にいると教えてもらった。建材置き場に向かうとガルズ、エリザベート、シーラが図面をみて考えていた。



「3人共おはよう」

「うん?翔じゃないか、今日はどうした?」

「ちょっと聞きたかったことがあったんだけど、みんなどうしたの、何か悩んでたけど?」

「ええ、お店の名前がコレクトスターて決まったでしょ。だから店の外観や内装を星関連でまとめようって話になったんだけど、どうしても木や金属で作るとどうしても重い感じになるのよね」

「ガラスでも作ってみたんだけど色が統一されちゃうからしっくりこないんですよ。色ガラスを集めようとしても時間が掛かるし高いので」



「だったらよかった。明日の午後家に来てほしいんだけど?」

「明日?まあいいが何があるんじゃ?」

「来てみたらわかるよ」

 と翔は3人の予定を確認し次の場所へ向かった



2か所目、べリオス商会

 翔がべリオス商会を尋ねるとルートの執務室に通された。執務室ではルート、サクヤがおり翔の突然の訪問にも快く迎えてくれた。



「突然の訪問、ごめんねルート、サクヤさん」

「翔ならいつでも大丈夫だよ。で、今日はどうしたの?」

「新しい商品ができたから、明日の午後俺の家にべリオス商会の誰かに見に来てほしいんだ」

「へえ、それは商品、技術?」

「技術かな。売り方はそっちに任せるけど、なるべくいろんな人に広めてほしいかな」

「ここでは話せないんだね?」

「ああ」

「わかった。明日の楽しみにしとくよ。翔の家には僕とサクヤが行くよ。午後だね?」

「ルートたちが来てくれるんだ。時間は午後で合ってるよ。じゃあ、また明日」

 と翔は執務室を後にする。



3か所目、王城謁見の間

 翔は王城の門番に話しかけると王の執務室に通された。底ではアルフレッドと一人の年取った男性が書類に目を通していた。



「翔か?すこしまってくれ、この書類に目を通しておきたい」

「それではその間、この爺とお話ししていましょう。お久しぶりですな、翔君。帰った来た時に挨拶ができず断念でしたわい。ちょうど別の国におりまして」

「お久しぶりです、オーグさん」



 彼の名はオーグ、メルトホルン共和国の宰相である。アルフレッドと小さいころからの親友でたぐいまれな知識でこの国のあらゆることに目を光らせている。異世界から来た翔の相談相手で孤児院などの事でお世話になっている。



「いやいや、お元気でよかった。翔君が大けがを負ったと聞いたときは心臓が止まりそうになったわい、アッハッハッハ」

「それはご心配をかけたみたいですみません」

「それに帰ってみたら店を開くそうではないですか?それもレオナ様や他の転移者の皆様と共に。これでワシが引退しましてもこの国は安泰ですよ」

「まだ、繁盛するとは決まってませんよ。それにオーグさんならまだ現役で働けますよ」

「そうだぞ。今お主に止められたらわしが困る」

 翔とローグが話してたら、書類を読み終えたアルフレッドが会話に入ってきた



「で今日はどうした翔?」

「明日の午後なんですけど、城の研究者を俺の家に呼んでほしいのですが?」

「翔から来てほしいとは珍しいのう」

「ほう、研究者ということは技術関連の何かということですかな?」

「ええ」

「わかった。明日の午後じゃな?」

「はい」



 次の日の午後翔の家の工房に人が集まった。ガルズ、エリザベート、シーラの職人3人組、べリオス商会からはルート、サクヤ、王国側からはアルフレッド、エリザベス、オーグ、ベルト、白衣を着た男。

「って国王と王妃、首相が城にいなくていいの?」

「そうよ、お父様、お母様」

「大丈夫だ。緊急の要件は終わらしてきた。午後からの予定はない」

「私も大丈夫よ。それに」

「「こんな面白そうなこと見逃せないわ」」

とこの国で一番権力のある夫婦は言い切った。



「もう。お父様もお母様も」

「そんなことより何があるんだ」

「早く見せて」



「わかりました。まずこれを見てください」

 と翔は机の上に透明なガラスのコップを置いた。

「これは普通のガラスのコップじゃな」

全員がコップを触り確認した。次に翔は青、赤、緑、紫、黄、茶、白、黒色のガラスのコップを置いた。



「なっ、これは」

 先ほどと同様に全員が色付きガラスのコップをてに取り始めた。

「どこでこんなに色とりどりのガラスを手に入れたんじゃ」

「アルフレッド王よ、これは天然ものではない」

「「!!!!」」



 アルフレッドが翔に色ガラスの入手法を聞こうとしたら、ガルズがこの色ガラスは天然ものだと言い放った。その一言に翔達以外は静まり返る。

「さすがガルズさん。その通り、このガラスは俺が作りだした物。今回紹介したいのは色ガラスの作り方」

そういうと翔はかまどに火を入れ始めた。



翔はかまどに火が周る間にさらに話を進める

「作り方は簡単ガラスを溶かした物の中にこの粉を入れるだけ」

翔は小瓶を3つ取り出しそれぞれに渡す

「この粉は?」

「魔法を使わずに銅鉱石を加工して作った銅の粉。もと居た世界では化学ていう学問かな。

錬金術の抽出でも取り出すことができます」

 翔は皆の前で銅鉱石に錬金術の抽出魔法をかける。すると粉ができた。



 ここですこし説明を。この世界ヴィジョンの錬金術とは植物や魔物の素材からポーションを作ること、魔石や魔物の素材から魔道具を作ることに使われています。ただ大まかにこの薬品とこの薬品を混ぜたらこんな効果が出るというような理解で、地球の化学の様なより詳細な成分の理解はなされていない。



「!?錬金術でそのようなことが。一体どうやったんですか?」

と白衣の男性が翔に詰め寄った。

「これこれ、フウマ。落ち着きなさい」

「はっ、陛下もうしけわけありません。初めまして翔様、私はフウマ、国立研究所の所長をしております。今回陛下に声を掛けていただきこの場に来ました。それでこれはどういうことでしょうか?今まで私たちも鉱石などに『抽出』はしたことがあるのですがうまくいかなかったのです」



「それはどういう目的でしたのでしょうか?」

「その時は薬草と同じように鉱石にも何か成分を取り出せるのではないかと行いました」



「そうですね。それは抽出魔法がどんな効果かわかっていないからですね」

「効果ですか。『抽出』魔法の効果は対象の物質から成分を取り出すのでは?」

「うーん、それでは半分ですね。『抽出』魔法の効果は【成分を取り出す工程を省略して】【成分を取り出す】魔法なんです」

「!!そういうことですか。あの時私は鉱石の抽出の仕方を知らなかったからつかえなかったのですね」

 とフウマは納得しいろいろ考え出した。



「それでこの粉をどうするんじゃ」

「この銅鉱石から粉を溶けたガラスの中に加えると」

 翔はかまどに銅の粉を加え混ぜ合わせるとガラスの球体を作った。するとそれは緑色のがらすだった。

「ワシにも触らしてくれ」「私も」「私も」

 と3職人が我先にとガラスの商品の作成を行った。



「これはまたすごい技術を発見してくれたのう」

「そうですね。世界が変わりますよ」

 とアルフレッドとルートは頭を抱えながらつぶやき

「ということはこれでガラス製のアクセサリーなどが増えるんですね」

「そうですね、エリザベス様。これでさらに美しさに磨きがかかりますね」

 と女性陣はこれからの事を考えていた。



「でルートに頼みたいことはこの技術を商会で無料で提供してほしいんだ。」

「なんだって!?これだけの新技術を無料で教えるんですか?」

「何か理由があるんですよね、翔?」

 翔の発言にフウマは驚く。それもそうだろう。この技術ならお金をいくら積んでも知りたい者は出るだろう。それで一財産稼げるだろう。ただルートは翔の発言の真意を理解しているようで理由を聞いてきた。



「確かにこの情報で商売できそうだけど、①人から狙われる②世界の技術革新が停滞するから無料で提供したいんだよね」

「確かに。これだけの情報だと何が起こるかわかりませんね」

「わかった。だが情報の公開は少し待ってくれ。これだけの情報だ。少し下準備がいる」

「わかりました。そこはアルフレッドさんとルートに任せます。でも俺の店の装飾には使っていいですよね?」

「いいだろう。お主の店ならまだ色ガラスを買った可能性があると思うじゃろう。ただし三人共、儂らがいろいろ裏工作が終了するまでこの技術は秘密じゃ、他の職人にも厳命するように」

「わかったわい。それじゃさっそく翔、他の色の粉を渡してくれ。早く!」

「色の調整は任せますね」

「ええ」

 と翔から粉を強奪すると3人共仕事場に急いだ。



 それから話し合いの結果、この色付きガラスの技術は2か月後同盟国の王家に同時に伝えるとともに全国のべリオス商会で発表されることになった。
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