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1章
53 メルトホルン共和国での過ごし方(真保・リーシャ編)新人冒険者の初クエストの引率任務
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真保とリーシャは冒険者ギルドにいき、魔物の動向、依頼傾向、冒険者の動向などを確認することにした。2人が冒険者ギルドの扉を開けると、昼頃だがたくさんの冒険者が集まっていた。
「へへっ、どうよこの剣、ミスリル製だぜ。昨日もこれでゴーレムを倒したんだが、スパッと切れて快感だったぜ」
「それならこっちの槍は鉄と火の魔鉱石を合わせた特別性だぜ。昨日もウッドウルフを焼き貫いたんだぞ」
と自分の武器を自慢する冒険者や
「このストーンラビットの角の納品ってどうだ?結構いい仕事じゃないか?」
「ああ、だめだこれ。依頼人がレオルダ商店と書いてるだろ。ここだけの話、このレオルダ商店はケチでな、わずかな傷でも損傷がひどいと割引してくるんだ」
「それって。契約違反じゃないのか?」
「いや、依頼者の権利だから違反じゃないんだよ。まあ他の依頼者は多少の傷で割引はないけどな」
「確かに魔物を倒すんだから無傷なんてありえないもんな」
「ああ。だからこっちにしようぜ。こっちのハイウルフの皮なら同じぐらいの依頼料だし、依頼者もべリオス商店だから、質が良ければ割り増ししてくれるぞ」
「じゃあ、その依頼受けるか?」
「おう」
と依頼が張られているクエストボードで冒険者が話していたりしていた。
「じゃあ、ちょっと情報集めようか?」
「ええ~」
と二人は別れて情報を集め出した。冒険所ギルドではどんな情報が集められるかというと魔物の出現場所、それぞれの部位の価格、有名な冒険者についてだけではなく、各商店の依頼から商店が何を欲しているか、次の何を売り出すのか、魔物の活動傾向、街の状況など多岐に集めることができる。30分後、二人が集まり互いの情報を交換してギルドカウンターに向かうと
「おい、ギルドマスターはいるか?」
と扉をあけ放ち、指に指輪を多数付け、腹の肉をゆらしながらいかにも成金の男性が入ってきた。隣にはピカピカのいかにもおろしたての防具と武器を持った数人の冒険者と後ろには何人もの付き人が続いて入ってきた。
そして真保達を対応しようとしていたカウンターに向かうと
「じゃまじゃ、小娘」
と真保達を押しのけ(真保達はかわす)カウンターの女性に高圧的に話しかけた。
「おい、早くギルドマスターを呼ばんか!?」
「どうしました、レオルダ様」
と奥の扉からギルドマスターのガッツが現れた。先ほどの男性レオルダを見て、隣の真保達を見て、またレオルドを見て、丁寧語で話しかけた。その口調を聞いて、真保とリーシャ、レオルダ一同以外のギルド内の冒険者、ギルド員たちが震えあがった。そう、ガッツが丁寧語で話すときはある状態を示しているのである。それを知らないのは真保とリーシャ、レオルダ一同のみである。
「何があったじゃと?」
周りの雰囲気に気づかずレオルダはガッツに怒鳴りかかった。
「なぜ、ワルガキー達のランクがAランクに上がらないんだ。クエストも十分こなしてるではないか。それにワルガキー達のみがワシからの依頼を完ぺきにこなしてくれるんだぞ。他の冒険者は品物を余計に傷つけるし、最近はまったく依頼も受け取らん?どうにかしろ!」
「依頼に関しては受けるかどうかは冒険者に一任していますし、ランクにかんしてもAランクになるにはギルドマスター1名の承認が必要となります。残念ながらワルガキー君たちにはまだ早いと思われます」
「だから何故と聞いておる。他の冒険者たちよりも活躍しているのに?」
「なぜかですって?」
先ほどまで微笑をうかべていたガッツの表情が変わり、鬼の表情に変わる。
「そいつらが受けた依頼はほとんどレオルダ、テメーの依頼ばっかだろ。それに他の依頼主からはそいつらが採ってきた素材は品質が悪すぎるって連絡がきてるんだよ。それにレオルダ、テメーの依頼を受けてもらえないだ?そんなのテメーが冒険者たちに難癖つけて依頼料を削減しているからだろーが!それに気づいてないと思ったのか?おめーとそいつらが同じ国から来てつるんでるなんてお見通しなんだよ。そんな冒険者に俺が承認するわけなんてないだろうが!」
とガッツがレオルダ達を怒鳴りつけると彼らの顔色が青ざめていった。しかしレオルダはまだあきらめない。
「ワシにそんな口を聞いていいと思っとるのか」
「それはこっちのセリフだ。今後一切テメーの依頼は受付ねぇ。さっさと出ていきやがれ、今度ここに顔を出してみやがれ、腕の一本や2本へしおってやるからな」
「ひぃ」
ガッツの殺気を込められた最後通告にレオルダ達は急いで冒険者ギルドから逃げ出した。
「おい、あいつらの依頼は全てはがして、ワルガキー達の冒険所としての資格を排除しろ。あとメルトホルン全域のギルドに今の言葉を伝えとけ」
「はい」
「と、すまねなあ、真保、リーシャ変なところを見してしまって、今日はどうしたんだ?」
「気にしなくていいよ、今日は情報収集と何か依頼は無いかと思って二人で来ました」
「そうか、だったら1つだけ受けてほしいクエストがあるんだが?」
「なんですか?」
「今日冒険者デビューする新人冒険者がいるんだ。このギルドでは新人冒険者には薬草採りとスライム討伐のクエストを受けてもらって、それにAランク以上の冒険者に付いてもらうんだが、付き添いの冒険者が体調を崩してダメになったんだ。それで他の冒険者を探していたところ真保達が来たってわけだ」
「いいんじゃない~?受けても~」
「そうね。じゃあ受けます、ジルさん」
「すまん、助かった。今から頼みたいんだが大丈夫か?」
と聞くと二人はうなずいた。ジルは真保達から離れ2人の男女を連れてきた。一人は腰に剣と小盾を持った男の子、もう一人は杖に白いローブをきたうさ耳の女の子である。
「この子たちが新人冒険者のヒカルとミミだ。でこっちが冒険者の真保とリーシャだ」
「初めまして。僕の名はヒカルです。戦士を目指してます」
「初めまして。ミミはミミって言います、兎人族で回復魔法と補助魔法、水の攻撃魔法を使えるの」
「初めまして。私は真保。ミミちゃんと同じ魔法使いよ」
「初めまして~。私はリーシャ~、天族で補助魔法を使うよ~」
「じゃあ、あとは任せる」
とガッツが奥に引っ張るとヒカルたちにクエストの詳細についてきいた。
「ええと、ヒカル君たちは今回のクエストについてどこまで調べたの?」
「はい。まず薬草がどんなのかを調べて生えてる場所を調べました」
「それとスライムがいる場所、倒し方を調べました」
「基本はできているのね。どんなクエストでも今回のように下準備を忘れないでね」
「「はい」」
「じゃあ行きましょうか~」
真保達は森へとむかう途中、ヒカルたちの身の上話を聞いた。
「ヒカル君とミミちゃんは知り合い?」
「はい。僕とミミはメルトホルン共和国内にある同じ村で育ちました」
「ミミたちにはお兄ちゃんとお姉ちゃんがいるの。その二人が家の畑を継ぐからミミたちには仕事がないの」
「であるとき、この国の冒険者の話を聞いて、冒険者になりたいと思ったんです」
「そして村の魔法使いのおばあちゃんや門番のおじいちゃんにいろいろ教えてもらってお金を貯めてこの街に来たの」
「なんでこの街だったの?」
「それは憧れの冒険者がこの街にいるって聞いて」
「へー、誰なの?」
「天魔翔さんなの」
「「ブフッ」」
突然の翔の話に噴き出す2人。
「どうしたの?」
「ううん、何にもないよ」
「?いつか会ってみたいんです」
「真帆さん達はあったことがあるの?天魔翔さんに」
「ええ、会ったことはあるよ~(毎日)」
「え?どんな姿でした?」
「それはね~・・・」
翔の仲間であることはごまかしつつ、翔の事を話してあげた真保達。
「ここら辺ですね。薬草の群生地」
「薬草などの章句物を取るときの注意点って知ってる~?」
「わからないの」
「いくつかあってね~。まずは依頼品を調べる時についでに他に何があるか調べとくの~。今回は薬草だけど、もしかすると似ている植物が生えてるかもしれないからね~。次はね~、直接手では取らないこと~。植物や皮なんかの魔物の素材には素手で触ると危険な物もあるから~。これは事前にきちんと調べてね~。最後は全部取らないこと~。少しでも残しとければ、時間を置けばまた生えてくるから~」
「そうなんですか。知らなかったです」
「メモしとくの」
とリーシャの言葉を耳は手帳に書き残した。リーシャは更に危険な植物かどうかの見分け方を教えたり、詳しい情報が載っている本についても教えてあげた。
ちなみに知られていないことだが、ヴィジョンでの「鑑定」スキルは先天性の者ではない。いろんな知識を学び、実践で利用することにより思いつくことがある。つまりヒカルやミミがこのまま頑張れば覚えるかもしれない。
薬草探し無事終了、2人はスライム退治を始めた。二人は「探知」スキルや魔法を持っていないため、スライムの出現情報を事前に調べ、足跡を探し始めた。
ふつうギルドの付き添いの冒険者は「探知」スキルまたは魔法を覚えているため、事前に見つけておいたスライムを初心者に戦わせていた。しかしそんなことを知らない真保達は一からヒカルたちに任せていた。この差により後にヒカルたちは他の初心者や冒険者に比べて早く「探知」スキルや魔法を覚えることができた。
無事1匹のスライムを発見したヒカルとミミ。先にヒカルが剣で攻撃して注意を引いているうちに、ミミが初級水魔法「アクアショット」の詠唱を始める。詠唱を終えたミミはヒカルに声を掛け、その掛け声でヒカルはスライムから距離を開けた。そしてミミが魔法を当ててスライムを無事に倒した。
「よし、倒した」
「どうだったの、真保さん、リーシャさん」
と戦闘を終えたヒカルたちは真保達に感想を聞いた。
「悪くないわよ。今は何も言うことは無いわね」
「ええ~」
と真保達が答え、ヒカルたちは次のスライムを探し始めた。
次に見つけたのはスライム3体。ヒカルたちは先ほどと同じように戦いを仕掛けるが10秒後
「きゃあ」
とスライムの攻撃がミミに当たった。
「ミミ!」
とヒカルがミミに近づこうとするが2匹のスライムの攻撃を盾で受け止めるのに必死で動けない。その隙にスライムがミミに追撃を行おうとした時
「リーシャ」
「ええ、スタン」
リーシャの妨害魔法「スタン」によりスライムは行動不能となる。
「ヒカル君、ミミちゃん、スライムはほっといてこっちに来て」
と真保は呼びかけた。こっちに来たヒカルたちに向けて真保は
「何が悪かったかわかった?」
「さっきと同じ方法で勝てると思ったんですが」
「ミミもなの」
「1匹ならさっきの方法でいいけど、複数ならだめね」
と二人にダメ出しをして真保達はなぜダメだったか説明を始めた。
「まず、ヒカル君ね~。複数の敵がいる時はいきなり突っ込んではだめね。距離をとって常に敵の動きをみえる位置にいなくちゃダメ~。攻撃する時も常にミミを守れる位置でね~」
「あとは盾の使い方ね。その場で踏ん張って攻撃を受け止めるのも大事だけど、受け止める時後ろに下がって距離を取ったり、攻撃を受け流すこともしなければならないわね」
「盾だけでそんな動きがあるんですね」
「次はミミちゃんね。魔力を練るときに目をつぶるのはいけないわね。どんな時でも敵から目を話すと死は見えてくるわよ。あと動きが悪すぎるわね。たとえ後衛でも敵の動きを見て、攻撃できるなら杖で殴らなきゃいけないし、危なかったらヒカル君に近づいて守ってもらうぐらいしなくちゃ」
「はい、わかったの」
「あとは魔法の使い方ね~。今は無理でも無詠唱で魔法が使えるようにしなくちゃね~。たとえ威力が低くても牽制にはなるんだから~」
と二人は真剣に真保達のアドバイスを聞いた。そしてアドバイスを参考にし、先ほどのスライムたちと戦った。まあ、すぐにはよくならないが少しのアドバイスで先ほど負けたスライムたちに勝ったのだからセンスはいいみたい。
これも何かの縁だろうと、ヒカルたちとは連絡先を交換して無事付き添い任務は終了した。
「へへっ、どうよこの剣、ミスリル製だぜ。昨日もこれでゴーレムを倒したんだが、スパッと切れて快感だったぜ」
「それならこっちの槍は鉄と火の魔鉱石を合わせた特別性だぜ。昨日もウッドウルフを焼き貫いたんだぞ」
と自分の武器を自慢する冒険者や
「このストーンラビットの角の納品ってどうだ?結構いい仕事じゃないか?」
「ああ、だめだこれ。依頼人がレオルダ商店と書いてるだろ。ここだけの話、このレオルダ商店はケチでな、わずかな傷でも損傷がひどいと割引してくるんだ」
「それって。契約違反じゃないのか?」
「いや、依頼者の権利だから違反じゃないんだよ。まあ他の依頼者は多少の傷で割引はないけどな」
「確かに魔物を倒すんだから無傷なんてありえないもんな」
「ああ。だからこっちにしようぜ。こっちのハイウルフの皮なら同じぐらいの依頼料だし、依頼者もべリオス商店だから、質が良ければ割り増ししてくれるぞ」
「じゃあ、その依頼受けるか?」
「おう」
と依頼が張られているクエストボードで冒険者が話していたりしていた。
「じゃあ、ちょっと情報集めようか?」
「ええ~」
と二人は別れて情報を集め出した。冒険所ギルドではどんな情報が集められるかというと魔物の出現場所、それぞれの部位の価格、有名な冒険者についてだけではなく、各商店の依頼から商店が何を欲しているか、次の何を売り出すのか、魔物の活動傾向、街の状況など多岐に集めることができる。30分後、二人が集まり互いの情報を交換してギルドカウンターに向かうと
「おい、ギルドマスターはいるか?」
と扉をあけ放ち、指に指輪を多数付け、腹の肉をゆらしながらいかにも成金の男性が入ってきた。隣にはピカピカのいかにもおろしたての防具と武器を持った数人の冒険者と後ろには何人もの付き人が続いて入ってきた。
そして真保達を対応しようとしていたカウンターに向かうと
「じゃまじゃ、小娘」
と真保達を押しのけ(真保達はかわす)カウンターの女性に高圧的に話しかけた。
「おい、早くギルドマスターを呼ばんか!?」
「どうしました、レオルダ様」
と奥の扉からギルドマスターのガッツが現れた。先ほどの男性レオルダを見て、隣の真保達を見て、またレオルドを見て、丁寧語で話しかけた。その口調を聞いて、真保とリーシャ、レオルダ一同以外のギルド内の冒険者、ギルド員たちが震えあがった。そう、ガッツが丁寧語で話すときはある状態を示しているのである。それを知らないのは真保とリーシャ、レオルダ一同のみである。
「何があったじゃと?」
周りの雰囲気に気づかずレオルダはガッツに怒鳴りかかった。
「なぜ、ワルガキー達のランクがAランクに上がらないんだ。クエストも十分こなしてるではないか。それにワルガキー達のみがワシからの依頼を完ぺきにこなしてくれるんだぞ。他の冒険者は品物を余計に傷つけるし、最近はまったく依頼も受け取らん?どうにかしろ!」
「依頼に関しては受けるかどうかは冒険者に一任していますし、ランクにかんしてもAランクになるにはギルドマスター1名の承認が必要となります。残念ながらワルガキー君たちにはまだ早いと思われます」
「だから何故と聞いておる。他の冒険者たちよりも活躍しているのに?」
「なぜかですって?」
先ほどまで微笑をうかべていたガッツの表情が変わり、鬼の表情に変わる。
「そいつらが受けた依頼はほとんどレオルダ、テメーの依頼ばっかだろ。それに他の依頼主からはそいつらが採ってきた素材は品質が悪すぎるって連絡がきてるんだよ。それにレオルダ、テメーの依頼を受けてもらえないだ?そんなのテメーが冒険者たちに難癖つけて依頼料を削減しているからだろーが!それに気づいてないと思ったのか?おめーとそいつらが同じ国から来てつるんでるなんてお見通しなんだよ。そんな冒険者に俺が承認するわけなんてないだろうが!」
とガッツがレオルダ達を怒鳴りつけると彼らの顔色が青ざめていった。しかしレオルダはまだあきらめない。
「ワシにそんな口を聞いていいと思っとるのか」
「それはこっちのセリフだ。今後一切テメーの依頼は受付ねぇ。さっさと出ていきやがれ、今度ここに顔を出してみやがれ、腕の一本や2本へしおってやるからな」
「ひぃ」
ガッツの殺気を込められた最後通告にレオルダ達は急いで冒険者ギルドから逃げ出した。
「おい、あいつらの依頼は全てはがして、ワルガキー達の冒険所としての資格を排除しろ。あとメルトホルン全域のギルドに今の言葉を伝えとけ」
「はい」
「と、すまねなあ、真保、リーシャ変なところを見してしまって、今日はどうしたんだ?」
「気にしなくていいよ、今日は情報収集と何か依頼は無いかと思って二人で来ました」
「そうか、だったら1つだけ受けてほしいクエストがあるんだが?」
「なんですか?」
「今日冒険者デビューする新人冒険者がいるんだ。このギルドでは新人冒険者には薬草採りとスライム討伐のクエストを受けてもらって、それにAランク以上の冒険者に付いてもらうんだが、付き添いの冒険者が体調を崩してダメになったんだ。それで他の冒険者を探していたところ真保達が来たってわけだ」
「いいんじゃない~?受けても~」
「そうね。じゃあ受けます、ジルさん」
「すまん、助かった。今から頼みたいんだが大丈夫か?」
と聞くと二人はうなずいた。ジルは真保達から離れ2人の男女を連れてきた。一人は腰に剣と小盾を持った男の子、もう一人は杖に白いローブをきたうさ耳の女の子である。
「この子たちが新人冒険者のヒカルとミミだ。でこっちが冒険者の真保とリーシャだ」
「初めまして。僕の名はヒカルです。戦士を目指してます」
「初めまして。ミミはミミって言います、兎人族で回復魔法と補助魔法、水の攻撃魔法を使えるの」
「初めまして。私は真保。ミミちゃんと同じ魔法使いよ」
「初めまして~。私はリーシャ~、天族で補助魔法を使うよ~」
「じゃあ、あとは任せる」
とガッツが奥に引っ張るとヒカルたちにクエストの詳細についてきいた。
「ええと、ヒカル君たちは今回のクエストについてどこまで調べたの?」
「はい。まず薬草がどんなのかを調べて生えてる場所を調べました」
「それとスライムがいる場所、倒し方を調べました」
「基本はできているのね。どんなクエストでも今回のように下準備を忘れないでね」
「「はい」」
「じゃあ行きましょうか~」
真保達は森へとむかう途中、ヒカルたちの身の上話を聞いた。
「ヒカル君とミミちゃんは知り合い?」
「はい。僕とミミはメルトホルン共和国内にある同じ村で育ちました」
「ミミたちにはお兄ちゃんとお姉ちゃんがいるの。その二人が家の畑を継ぐからミミたちには仕事がないの」
「であるとき、この国の冒険者の話を聞いて、冒険者になりたいと思ったんです」
「そして村の魔法使いのおばあちゃんや門番のおじいちゃんにいろいろ教えてもらってお金を貯めてこの街に来たの」
「なんでこの街だったの?」
「それは憧れの冒険者がこの街にいるって聞いて」
「へー、誰なの?」
「天魔翔さんなの」
「「ブフッ」」
突然の翔の話に噴き出す2人。
「どうしたの?」
「ううん、何にもないよ」
「?いつか会ってみたいんです」
「真帆さん達はあったことがあるの?天魔翔さんに」
「ええ、会ったことはあるよ~(毎日)」
「え?どんな姿でした?」
「それはね~・・・」
翔の仲間であることはごまかしつつ、翔の事を話してあげた真保達。
「ここら辺ですね。薬草の群生地」
「薬草などの章句物を取るときの注意点って知ってる~?」
「わからないの」
「いくつかあってね~。まずは依頼品を調べる時についでに他に何があるか調べとくの~。今回は薬草だけど、もしかすると似ている植物が生えてるかもしれないからね~。次はね~、直接手では取らないこと~。植物や皮なんかの魔物の素材には素手で触ると危険な物もあるから~。これは事前にきちんと調べてね~。最後は全部取らないこと~。少しでも残しとければ、時間を置けばまた生えてくるから~」
「そうなんですか。知らなかったです」
「メモしとくの」
とリーシャの言葉を耳は手帳に書き残した。リーシャは更に危険な植物かどうかの見分け方を教えたり、詳しい情報が載っている本についても教えてあげた。
ちなみに知られていないことだが、ヴィジョンでの「鑑定」スキルは先天性の者ではない。いろんな知識を学び、実践で利用することにより思いつくことがある。つまりヒカルやミミがこのまま頑張れば覚えるかもしれない。
薬草探し無事終了、2人はスライム退治を始めた。二人は「探知」スキルや魔法を持っていないため、スライムの出現情報を事前に調べ、足跡を探し始めた。
ふつうギルドの付き添いの冒険者は「探知」スキルまたは魔法を覚えているため、事前に見つけておいたスライムを初心者に戦わせていた。しかしそんなことを知らない真保達は一からヒカルたちに任せていた。この差により後にヒカルたちは他の初心者や冒険者に比べて早く「探知」スキルや魔法を覚えることができた。
無事1匹のスライムを発見したヒカルとミミ。先にヒカルが剣で攻撃して注意を引いているうちに、ミミが初級水魔法「アクアショット」の詠唱を始める。詠唱を終えたミミはヒカルに声を掛け、その掛け声でヒカルはスライムから距離を開けた。そしてミミが魔法を当ててスライムを無事に倒した。
「よし、倒した」
「どうだったの、真保さん、リーシャさん」
と戦闘を終えたヒカルたちは真保達に感想を聞いた。
「悪くないわよ。今は何も言うことは無いわね」
「ええ~」
と真保達が答え、ヒカルたちは次のスライムを探し始めた。
次に見つけたのはスライム3体。ヒカルたちは先ほどと同じように戦いを仕掛けるが10秒後
「きゃあ」
とスライムの攻撃がミミに当たった。
「ミミ!」
とヒカルがミミに近づこうとするが2匹のスライムの攻撃を盾で受け止めるのに必死で動けない。その隙にスライムがミミに追撃を行おうとした時
「リーシャ」
「ええ、スタン」
リーシャの妨害魔法「スタン」によりスライムは行動不能となる。
「ヒカル君、ミミちゃん、スライムはほっといてこっちに来て」
と真保は呼びかけた。こっちに来たヒカルたちに向けて真保は
「何が悪かったかわかった?」
「さっきと同じ方法で勝てると思ったんですが」
「ミミもなの」
「1匹ならさっきの方法でいいけど、複数ならだめね」
と二人にダメ出しをして真保達はなぜダメだったか説明を始めた。
「まず、ヒカル君ね~。複数の敵がいる時はいきなり突っ込んではだめね。距離をとって常に敵の動きをみえる位置にいなくちゃダメ~。攻撃する時も常にミミを守れる位置でね~」
「あとは盾の使い方ね。その場で踏ん張って攻撃を受け止めるのも大事だけど、受け止める時後ろに下がって距離を取ったり、攻撃を受け流すこともしなければならないわね」
「盾だけでそんな動きがあるんですね」
「次はミミちゃんね。魔力を練るときに目をつぶるのはいけないわね。どんな時でも敵から目を話すと死は見えてくるわよ。あと動きが悪すぎるわね。たとえ後衛でも敵の動きを見て、攻撃できるなら杖で殴らなきゃいけないし、危なかったらヒカル君に近づいて守ってもらうぐらいしなくちゃ」
「はい、わかったの」
「あとは魔法の使い方ね~。今は無理でも無詠唱で魔法が使えるようにしなくちゃね~。たとえ威力が低くても牽制にはなるんだから~」
と二人は真剣に真保達のアドバイスを聞いた。そしてアドバイスを参考にし、先ほどのスライムたちと戦った。まあ、すぐにはよくならないが少しのアドバイスで先ほど負けたスライムたちに勝ったのだからセンスはいいみたい。
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