上 下
44 / 117
1章

44 オオエド探索④味噌汁と不穏な気配

しおりを挟む
カンナ食堂にて



「次は煮物っていう料理。醤油と本だし、塩などで味付けしたスープに様々な野菜を加え煮てることにより、野菜に味がしみこむんだ。今回はトンガリタケノコ、トビレンコン、モミジかぼちゃの煮物を頼んだよ」

翔は小皿に入っている料理について説明した。醤油、本だし、みりん、塩、砂糖で濃い目に味付けしたスープに、一口大に切ったそれぞれの野菜を加え落し蓋をし、一煮たちさせます。落し蓋は食材の煮崩れを防いだり、味がしみこみやすくなります。

えっ!ナンデふたするだけでそんな効果が生まれるかだって?しょうがない説明しよう。

まず煮崩れしない理由はふたにより上から軽く抑えることにより食材の動きを抑えることができるから。

味がしみこませ易いのは食材に味がしみこませるメカニズムに起因する。味がしみこむ→うまみが煮汁に溶け出すのサイクルが行われます。このことから煮汁は少ない方が煮物はおいしくなります。なのでうまみが含まれている煮汁の蒸発を防ぎ、煮汁が少なく済む落し蓋がある方がいいのです。

一定時短煮た煮物は1時間ほど冷まします。これによりさらに味がしみこみます。これは高温で食材を煮込むと食材に二つの変化が起こります。それは水分が抜けることと食材の表面が細かく壊され柔らかくなることです。この状態になった食材の煮物を冷やすことにより水分を失った食材が水分を戻そうと周りの水分(煮汁)を吸収します。さらに食材の表面が壊れているので吸収力は増えます。このような2重の効果により味がしみこみます。



「このモミジかぼちゃ、しっとりほくほくしておいしい」

「このトビレンコンも触感がよポキポキッとして、おいしい~」

「この煮物は味が濃いからご飯に合う」

ヴィジョン組が煮物を食べてみると、いままで食べたどの料理よりも味が中までしみこんであり、味も濃かったためとてもごはんが進む料理でした。



「ねえ、翔お兄ちゃんこの白い四角形の食べ物は何?」

「ユーナ、これはとうふっていうんだ。豆ってゆう食材で作られた食べ物で、この醤油を少し欠けて食べてみ?」

と翔はとうふに醤油をすこしかけてユーナにスプーンと共に渡した。ユーナは一口食べると

「すっごく柔らかい、プリンみたい。でもプリンみたいに甘くなくて優しい味がする」

ユーナは口角を上げながらおいしそうに食べていた。

このとうふは水に入れ10倍ほどの大きさに膨れ上がったオオバラ大豆を細かく砕き水と混ぜます。大豆を溶かした水を温めた後、布などで絞ることにより個体と液体に分けます。この液体ににがりと呼ばれる液体を固めるものを加え少し放置することで完成します。



「最後はこれ」

「この茶色いスープは何?翔?」

「これは味噌汁っていって味噌という調味料を使って作られたスープでとてもおいしいよ、レオナ。あっでも熱いから注意してね」

一口飲んでみるとほっと安心した顔になった。

「とても落ち着く味」

「優しい味」

「いくらでも飲めそう。ご飯とも会うな」

「ほぇええ」

「よかった。全員この味が気に入ってくれたみたいで。この味噌汁は味噌味は変わらないけど具材を変えると風味が変わったりするから今度色々作ってみるね」



「みんな満足した?」

と周りを見渡すと全員がうなずいたので

「すみません、会計お願いします」

一同はカンナ食堂を後にした。



とある食堂の席の男たち



「おい、あいつら観光客か?」

「来てる服も高級品だな」

「そうっぽいな。それもあの量の料理の代金を一発で払ってるぞ」

「それだけじゃねえぞ。さっきひねずみで一着○○する着物を大量に買ってアイテムボックスに入れていたからな」

「それも女たちもいい女ばっかりだぜ。味見した後売ったらいい金になるだろう」

「だな。それも男もよわそうだしな。おい、親父連絡しな。今回の獲物が決まったってな。」

「へい、わかりました。若頭はどうしやす?」

「あいつらをつけて、いいタイミングで例の小屋へ誘う」

男たちの密談は進む。決して手を出してはいけない標的だとは知らずに。それが一家滅亡の軌跡だとは知らずに。



とある食堂の席の???達



「姫様、奴ら動きました」

「わかっておる。直ちに警備隊に連絡じゃ。今日こそ奴らの尻尾をつかむぞ」

「はっ」

さらにもうひとグループ、翔達を追う男たちを追う者達ががいた。彼らは知らないだろう。男たちの標的が規格外だということを



「・・・・」

「翔、どうするの?」

「ほっとくよ、アリシア。じゃあ今度は食材を買いに行こうか?」

しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

【本編完結済み/後日譚連載中】巻き込まれた事なかれ主義のパシリくんは争いを避けて生きていく ~生産系加護で今度こそ楽しく生きるのさ~

みやま たつむ
ファンタジー
【本編完結しました(812話)/後日譚を書くために連載中にしています。ご承知おきください】 事故死したところを別の世界に連れてかれた陽キャグループと、巻き込まれて事故死した事なかれ主義の静人。 神様から強力な加護をもらって魔物をちぎっては投げ~、ちぎっては投げ~―――なんて事をせずに、勢いで作ってしまったホムンクルスにお店を開かせて面倒な事を押し付けて自由に生きる事にした。 作った魔道具はどんな使われ方をしているのか知らないまま「のんびり気ままに好きなように生きるんだ」と魔物なんてほっといて好き勝手生きていきたい静人の物語。 「まあ、そんな平穏な生活は転移した時点で無理じゃけどな」と最高神は思うのだが―――。 ※「小説家になろう」と「カクヨム」で同時掲載しております。

異世界サバイバルゲーム 〜転移先はエアガンが最強魔道具でした〜

九尾の猫
ファンタジー
サバイバルゲームとアウトドアが趣味の主人公が、異世界でサバゲを楽しみます! って感じで始めたのですが、どうやら王道異世界ファンタジーになりそうです。 ある春の夜、季節外れの霧に包まれた和也は、自分の持ち家と一緒に異世界に転移した。 転移初日からゴブリンの群れが襲来する。 和也はどうやって生き残るのだろうか。

チート幼女とSSSランク冒険者

紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】 三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が 過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。 神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。 目を開けると日本人の男女の顔があった。 転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・ 他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・ 転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。 そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語 ※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

祝・定年退職!? 10歳からの異世界生活

空の雲
ファンタジー
中田 祐一郎(なかたゆういちろう)60歳。長年勤めた会社を退職。 最後の勤めを終え、通い慣れた電車で帰宅途中、突然の衝撃をうける。 ――気付けば、幼い子供の姿で見覚えのない森の中に…… どうすればいいのか困惑する中、冒険者バルトジャンと出会う。 顔はいかついが気のいいバルトジャンは、行き場のない子供――中田祐一郎(ユーチ)の保護を申し出る。 魔法や魔物の存在する、この世界の知識がないユーチは、迷いながらもその言葉に甘えることにした。 こうして始まったユーチの異世界生活は、愛用の腕時計から、なぜか地球の道具が取り出せたり、彼の使う魔法が他人とちょっと違っていたりと、出会った人たちを驚かせつつ、ゆっくり動き出す―― ※2月25日、書籍部分がレンタルになりました。

【ヤベェ】異世界転移したった【助けてwww】

一樹
ファンタジー
色々あって、転移後追放されてしまった主人公。 追放後に、持ち物がチート化していることに気づく。 無事、元の世界と連絡をとる事に成功する。 そして、始まったのは、どこかで見た事のある、【あるある展開】のオンパレード! 異世界転移珍道中、掲示板実況始まり始まり。 【諸注意】 以前投稿した同名の短編の連載版になります。 連載は不定期。むしろ途中で止まる可能性、エタる可能性がとても高いです。 なんでも大丈夫な方向けです。 小説の形をしていないので、読む人を選びます。 以上の内容を踏まえた上で閲覧をお願いします。 disりに見えてしまう表現があります。 以上の点から気分を害されても責任は負えません。 閲覧は自己責任でお願いします。 小説家になろう、pixivでも投稿しています。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

迷い人 ~異世界で成り上がる。大器晩成型とは知らずに無難な商人になっちゃった。~

飛燕 つばさ
ファンタジー
孤独な中年、坂本零。ある日、彼は目を覚ますと、まったく知らない異世界に立っていた。彼は現地の兵士たちに捕まり、不審人物とされて牢獄に投獄されてしまう。 彼は異世界から迷い込んだ『迷い人』と呼ばれる存在だと告げられる。その『迷い人』には、世界を救う勇者としての可能性も、世界を滅ぼす魔王としての可能性も秘められているそうだ。しかし、零は自分がそんな使命を担う存在だと受け入れることができなかった。 独房から零を救ったのは、昔この世界を救った勇者の末裔である老婆だった。老婆は零の力を探るが、彼は戦闘や魔法に関する特別な力を持っていなかった。零はそのことに絶望するが、自身の日本での知識を駆使し、『商人』として新たな一歩を踏み出す決意をする…。 この物語は、異世界に迷い込んだ日本のサラリーマンが主人公です。彼は潜在的に秘められた能力に気づかずに、無難な商人を選びます。次々に目覚める力でこの世界に起こる問題を解決していく姿を描いていきます。 ※当作品は、過去に私が創作した作品『異世界で商人になっちゃった。』を一から徹底的に文章校正し、新たな作品として再構築したものです。文章表現だけでなく、ストーリー展開の修正や、新ストーリーの追加、新キャラクターの登場など、変更点が多くございます。

処理中です...