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1章

40 大工たちへの素材・建材提供

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食後のお茶を飲みながら翔達は午後の予定を相談した

「午後なんだけど世界樹と天樹で採れた素材をガルズ達に渡そうと思うんだ」

「そういえば今回の探索で頼まれた素材は全部集まったのよね?」

「ああ、後は追加でいくつか素材が手に入ったから使えそうなら渡そうと思ってる」

「それじゃ行きましょうか?」

それぞれかたずけをしてガルズたちの元に向かった



建設予定地に着くと以前よりさらに発展していた。きれいにならされた土地には店舗の下地となる基礎が作られており、その隣ではエルフ達が原木に何かの処理を行っていた

「ねえ、お兄ちゃん、あのエルフの人々は何しているの?」

「あれはね、原木を加工して木材にしてるんだよ」

「へぇ~」

とユーナは目をキラキラさせながらエルフの作業を見ていた



「気になる?ユーナ」

「うん」

翔はエルフ達に向けて声をかけた

「すみません、ちょっといいですか?」

すると一人のエルフが翔達の方に向かって走ってきた

「翔さん、本日はどうしたのでしょうか?」

「よければ向こうにいるエルフの大工の人たちが何をしているか、説明をお願いしたいのですがいいですか?」

「大丈夫ですよ。まず・・・」



 伐採してきた樹から木材にするにはいくつかの手順があり枝切り→樹皮剥ぎ→乾燥です。

まず枝切りとは木材にならない余分な枝を排除する作業です。こっち(ヴィジョン)では風や水魔法でバッサリ切ってしまいます。切った枝は半分は紙を作るために持ち帰り、もう半分は肥料にするために細かく切って森に放置です。大工さんは森にやさしいのです



続いて樹皮剥ぎは木目が見えるまで固い樹皮を削除していきます。これもオノやのこぎり、鉈で切ったり、風、水魔法で切っていきます。上級者になるとまるで大根のかつら剥きのようにスルッスルッと向いていきます。まさにプロの技



続いて乾燥では木材に含まれている虫を殺したり水分を抜いていきます。この作業が不十分だと木が腐ったり虫食いがひどくなり倒壊の原因となります。地球では何日か太陽の下で放置しますがこっち(ヴィジョン)では魔法で作業します。風と火の魔法を使い木を燃やさないように熱をかけ乾燥していきます。乾燥後は探知魔法で木の中を確認して虫がいないかのチェックをしていきます。まじ魔法って便利



「・・・という作業が行われています」

「ありがとう。よくわかりました」

説明を頼んだエルフの大工さんは一つ一つ丁寧に説明してくれた。すごく説明がうまかったのでよく説明を頼まれるのだろう



「あのぅ・・」

「なにかな?お嬢さん」

ユーナはエルフの大工の袖を軽く引っ張りながら声をかけた

エルフの大工は目線をユーナに合わせるためかがんだ



「あのおじさんたちはなんで泥遊びをしているの?」

「あはは、確かに泥遊びに見えるよね。でもあれも立派な仕事なんだよ」

ユーナは左手で別の場所で作業しているドワーフを指さしながら質問をした

エルフの大工はユーナの質問に苦笑しながら説明しだした



あの泥は魔力を流すと固まる土と特殊な地層の粘土と魔力を含んだ水を合わせたもので木でも石でも金属でもなんでもくっつかせることができる万能接着剤らしい。本来はもう少しグレードを下げたものを使うらしいのだがルート商会や翔が大量に素材を持ってきたため、遠慮せずに使っているらしい



「おう、翔。今日はどうした、見学か?」

エルフの大工の説明を受けていると見覚えのある3人が近づいてきた

ドワーフのガルズ、エルフのエリザベート、天族のシーラである

「いや、必要な素材が全部手に入ったからわたしに来たんだ」

「何!本当か?だったらこっちに持ってきてくれ!」

「あなたは他の商人たちをよんできて」

翔は今回来た目的を3人に話した。するとガルズたちは説明をしてくれたエルフの大工に職人を呼びに行かせ、倉庫へと案内してくれた



少し歩くとそこには屋根付きの倉庫があった。倉庫の中には木材や石材、金属などの様々な建築材が置いてあった

「へぇ、こんなとこ作ったんですね」

「ええ、今回は大量の建築材がいるから仮設倉庫を作りたいってルードさんに頼んだら近場の土地を貸してくれたの」

倉庫の中をのぞいていた聖の言葉にシーラが倉庫作成の成り行きを話してくれた



「じゃあ、ドドンとおいてくれ」

「わかった。じゃあまず世界樹と天樹の樹から」

ガルズのセリフに従うように翔はまず戦闘で折れた世界樹(初代・2代目)の樹と天大樹林で伐採してきた樹を倉庫に置いた。それを見た職人一同は

「・・・・」

口を開けてポカーンとしている

「どうしたの、みんな?」

「「なんじゃこれー」」

「固さ、柔軟性、含まれてる魔量の量、うそでしょ、まさか世界樹の樹?それもこんなにいっぱい」

「こんなに幹が太くてしなやかな枝、昔扱ったことのある天樹の樹に間違いないわ」

「え?世界樹の樹と天樹の樹が欲しいんじゃないの?」

「いや間違ってないけど、普通に世界樹と天大樹林で採れる樹を持ってくると思ったんだけど。

まさか伝説の樹を取ってくるなんて」

エリザベートとシーラは世界樹と天樹の樹に触れたりたたいたり鑑定を行い、樹の状態を確認していた。他の職人も恐る恐る触っていた。翔は不思議に思い、それぞれの木材を鑑定すると



世界樹(初代)の樹

別の次元へと消えた世界樹(初代)の実から成長した樹。大地の栄養を十分に吸収し、ヴィジョンの世界樹の樹より幹が太く、枝も大きく、しっかりしている。木材としては最高品質で一流の職人でないと扱うことはできない。ちなみに世界樹(初代)の森では切り株さえあれば1日で元の樹になるため問題は無い

この説明文は鑑定【異世界辞典対応】にしか見えないので秘密がばれることは無い



天樹の樹

天空にある天大樹林の世界樹天樹の実から成長した樹。大地の栄養を十分に吸収し、雷が落ちてきてもびくともしない丈夫で、強風が吹いても倒れないしなやかさを持つ。木材としては最高品質で一流の職人でないと扱うことはできない。



(ああ、これはダメな奴だ)

翔は説明文を読み、この木材が半端ではない素材だと理解した。ただ一つ気になったことがあったのでエリザベートとシーラに聞いてみた

「説明文に一流の職人しか扱うことができないってあったんだけど大丈夫」

「大丈夫かですって?馬鹿言っちゃいけないよ、翔。こんな幻の樹を用意してもらったんだ、こっちも職人人生かけて超一級品の店を作ってあげるよ、なぁみんな?」

「「ああ」」

シーラは翔の質問に最初顔をしかめたのち、瞳に火を宿し、他の職人にはっぱをかけた

「そう、ありがとう。じゃあ次を出すね」

「・・・」

さすが翔、空気を読まずマイペースに進めていきます

「次はこれ、世界樹と天樹で採ってきた土と粘土」

ドサッ

翔は世界樹と天樹で採ってきた土と粘土がたくさん詰まった袋を収納空間から倉庫に置いた

「これも超一級品の土と粘土じゃな。これで家やかまど、畑をつくったらどんなものができるか今からワクワクするのぅ」

ガルズは袋を開けてにおいをかいだり土の触感をたしかめていた。それもそのはず。たかが土だと侮ってはいけません。今回翔が入手した土や粘土は本来Aランクオーバーの魔物がいる森を奥まで進まないといけない超高級品なのです。ドワーフからみたらよだれモノのアイテムとなります



しかしまだ翔の素材攻撃は終わりません



「次に星霊の涙、天樹の結露、それと風、土、水、雷属性の魔石」

「なぁ、翔この魔石ってなんのまものからとってきたんだ?」

ガルズは翔からうけとった魔石をみながら顔をひきつらせながら聞いた。なぜならその魔石の大きさや含有魔力量、色の鮮やかさが今まで見たことがない品物だからである



「えーと風がクラウンバード、エンペラーホーク、ワタグモそして大きいのがベルゼバタフライ変異種。土がおおぐらモグラ、カリススパイダー、大きいのが大将軍オーク変異種とカルフナーガ変異種

水が突撃ピラニア、アクエルアメンボ、大きいのがボロスナマズ変異種。雷がライロイ、テンギョク、大きいのがライぜルククロウ変異種だったかな」

「なんちゅうもんを用意しとるんじゃ、すべてAランク以上の魔石で、大きいのはSランクの変異種?何したら集まるんじゃ、こんな魔石?」

「まあ、いろいろと?」

「はぁー、もう詮索はせんわ」

「ありがと、ガルズ。これで建材や素材は大丈夫?」

「十分じゃ、最高の一品作ったるから待っとれ」

これであとは待つだけで店はできるだろう

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