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1章

12 大工たちの世界最高峰の実力チェック

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  翌日

ツンツン、ツンツン

 翔が右腕にわずかな痛みを感じて目を覚ますと手紙を持った鳥たちがベッドの脇にとまっていた。

「あ、早速返信持ってきてくれたんだ」

 そう、この鳥たちは昨日王城から出たときに各地に送った鳥たちである。この鳥たちは天界、魔界、人界の知人の大工に手紙を送り返事を届けてくれたのである。

「ええと、3組とも家を建ててくれると。でなるべく早く相談したいと。だったら・・・」

 翔はすぐに返事の手紙を書き鳥たちに届けてもらった。

(今日は大工のみんなのために準備をするか)

 そうして翔がいろいろ準備をしているとそれぞれの場所に行ってきた鳥たちが帰ってきた。

「ええと、3組とも大丈夫と」

 翌日、正午翔は教会周辺の土地にいた。そばにはレオナ、ルート、サクヤ、ジル、そして子供達がいた。

「じゃあ、呼ぶか」

 翔は魔力を練り始め呪文を唱えた。

「時空間魔法:ディメンションゲート」

 すると翔の目の前に3つの空間の歪みが現れた。その歪みを見ながらレオナは翔に話しかける。

「翔、この歪みから人が出てくるの?」

「ああ、そろそろ来るはず」

 翔がそういうとそれぞれの門から誰かが出てきた。

 1組目は身長130cmぐらいで身長以上の大きさのハンマーを担いだドワーフが多く所属する【建設会社ガレキ】

 2組目は特徴的な耳を持つエルフが多く所属する【ツリーフォール】

 3組目は背中に翼をもつ天族たちが所属する【グラスエデン】

その光景を見ながらルードは感激する。

「すごい!ここに各世界トップランクの大工がそろったじゃないか」

「ええ、前代未聞の建設になりますね」

 それはそうだろう。彼らは各世界のトップ大工で場所が離れていることもあり一緒の仕事をする機会はなかった。彼らはそれぞれの門から出てきて、各グループの先頭の人が顔を合わせるとその場の空気が変わった。そして

 いきなり周りの人々が先頭の人の前に金属、木材、石英の塊を出した。先頭の人はその建材に向けてノミ、ナイフ、ハンマーなどの工具を振るい何かを創りだした。

 その光景を見てレオナは翔にどうしたらいいのか聞いてきた。

「止めなくていいの、翔?」

「多分大丈夫、レオナ。あれはおそらく互いの腕の確認だと思うから」

 5分後、3体の女神像ができた。先頭の3人はそれぞれの像を観察したり触り始めた。そして

「いい腕だ。わしの名はガルズ。建設会社ガレキの総棟梁をしておる。翔のために今回の仕事よろしく頼む」

「こちらこそ。私の名はエリザベート。ツリーフォールの社長をしています。翔様のために最高の一軒を作りましょう」

「はい、一緒に働けて感激です。私の名はシーラ。グラスエデンの社長をしています」

 と握手をしながらお互いの腕をたたえ合った。すると周りの大工たちもお互い挨拶を始めた。その光景を見て翔はレオナに話しかける。

「ほらね、あれが大工ならではの実力チェックの方法なんだよ」

「知らなかったわ。なかなか独特な方法ね」

「まぁ、確かに」

軽くあいさつを終えた大工たちは翔達に近づいてくる。

「おおい、翔、そろそろ今回の仕事の話をしようじゃないか」

「そうですよ、翔様。どんな物件にしますか?」

「どんな要望も私たちで叶えますよ」

「それは心強い。改めて俺のわがままに付き合ってもらってありがとう。とりあえず今日は係わる人々の自己紹介をしつつ親睦を深めるためにパーティをしよう」

 そして翔はカバンから様々な飲み物を出す。こうして初めて行われる大工の共演の初めての作業は英気を養うための歓迎会だった。


 メルトホルン共和国南に広がる森林、ペガサスに乗った黒髪の美少女と銀狼に乗った金髪のエルフが疾走していた。

「もう少しでメルトホルンね」

「ええ、やっと会えるわ」

 メルトホルン共和国東の草原、フクロウに乗った黒髪のポニーテールの美少女と白い猫に乗った黒髪のポニーテールの美少女が疾走していた。

「もう少し」

「待ってなさいよ」

メルトホルン共和国北に広がる海上で背中に翼の生えた天族の美少女が飛行していた。

「待っててね」

今メルトホルン共和国で何かが起こる。
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