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第2章 黒船来航
7 幕閣逹の評定
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その頃、江戸の評定所では在地の浦賀奉行戸田氏栄の報告を受けた幕閣達が、アメリカの国書を受理すべきか否かを盛んに議論していた。
「先年のビットルの浦賀来航の例があるので、ここは一旦国書を受け取るべきである!」
海防掛に任じられている勘定奉行川路聖謨が意見すると、川路と同じ海防掛である大目付深谷盛房や勘定奉行石河政平もそれに同調した。
「いやいや何を申される! 国書を受け取るなどもっての外じゃ。ペルリの艦隊は国法に基づき長崎に回航させるか、それに応じなければ打ち払うべきである!」
海防掛に任じられていない大目付堀利堅は川路の意見を真っ向から否定する。
「それでもしメリケンと戦にでもなったら如何するつもりなのじゃ? 今の我が国の力では到底太刀打ちなどできぬぞ!」
深谷盛房が強硬論を唱える利堅に反論を唱えた。
「メリケンなど恐れるに足らず! もし戦となったらオランダの力を借りればそれで済む話じゃろう」
堀と同じく強硬論の大目付池田長溥が熱を込めて主張する。
「いや、オランダが我らにそこまで助力してくれるとは思えぬ! オランダは今エゲレスや他の西洋諸国に圧されて余裕がないはずじゃからな」
石河政平が長溥を窘めるように言った。
「その心配は無用じゃ! オランダは権現様の御世から通商を行ってきた国じゃ! 長年の好できっと我らに助力してくれるに相違ない!」
堀利堅が石河に対して主張する。
その後も国書を巡る幕閣達の議論は延々と続いたが、何も決断らしい決断もできずに、ただ時間だけが無駄に過ぎていくだけであった。
そしてしびれを切らしたペリーがついにミシシッピ号を護衛に、測量隊を江戸湾内海の奥深く、品川沖まで侵入させたという知らせが江戸城に入ると、事態を重く見た老中首座の阿部正弘は、浦賀の近くにある久里浜で国書を受け取ることを決断し、その決定を在府の浦賀奉行井戸弘道へ伝えた。
「先年のビットルの浦賀来航の例があるので、ここは一旦国書を受け取るべきである!」
海防掛に任じられている勘定奉行川路聖謨が意見すると、川路と同じ海防掛である大目付深谷盛房や勘定奉行石河政平もそれに同調した。
「いやいや何を申される! 国書を受け取るなどもっての外じゃ。ペルリの艦隊は国法に基づき長崎に回航させるか、それに応じなければ打ち払うべきである!」
海防掛に任じられていない大目付堀利堅は川路の意見を真っ向から否定する。
「それでもしメリケンと戦にでもなったら如何するつもりなのじゃ? 今の我が国の力では到底太刀打ちなどできぬぞ!」
深谷盛房が強硬論を唱える利堅に反論を唱えた。
「メリケンなど恐れるに足らず! もし戦となったらオランダの力を借りればそれで済む話じゃろう」
堀と同じく強硬論の大目付池田長溥が熱を込めて主張する。
「いや、オランダが我らにそこまで助力してくれるとは思えぬ! オランダは今エゲレスや他の西洋諸国に圧されて余裕がないはずじゃからな」
石河政平が長溥を窘めるように言った。
「その心配は無用じゃ! オランダは権現様の御世から通商を行ってきた国じゃ! 長年の好できっと我らに助力してくれるに相違ない!」
堀利堅が石河に対して主張する。
その後も国書を巡る幕閣達の議論は延々と続いたが、何も決断らしい決断もできずに、ただ時間だけが無駄に過ぎていくだけであった。
そしてしびれを切らしたペリーがついにミシシッピ号を護衛に、測量隊を江戸湾内海の奥深く、品川沖まで侵入させたという知らせが江戸城に入ると、事態を重く見た老中首座の阿部正弘は、浦賀の近くにある久里浜で国書を受け取ることを決断し、その決定を在府の浦賀奉行井戸弘道へ伝えた。
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