3 / 3
3
しおりを挟む
国王陛下の言葉に満足そうに頷くと、ブライアンは2人に対する罰を口にします。
「王太子は廃嫡。王族からも籍を抜け。そこの令嬢も平民になるから問題ないぞ、身分は。あとは、2人は婚姻を。アリーヤを貶めてまで結婚したかったのだろう?」
「えっ?」
何を驚いているの。これは、まだ甘い方じゃない。
不敬罪で処刑だってできるのに。
「連れて行け」
国王陛下が一言告げると、近衛が呆然とするお2人を連れていきました。
次期国王は第二王子がなることでしょう。元王太子と違いとても優秀だと聞いているのでこの国は将来安泰でしょうね。
「ブライアン、良かったの?」
「あぁ。あの娘は王太子という立場に固執していたからな。平民となった元王太子とどうなるか、面白いだろう?」
甘い罰だと思ったけれどあのお2人にとっては重い罰なのでしょう。相変わらず考えてることが真っ黒です。
「アリーヤ、何を考えているの?」
「な、なんでもないわ。それよりも、この状況をどうするの?」
「大丈夫。考えてある」
彼は、そう言うと未だに混乱している貴族の皆様に向き直った。
「皆、騒がせたな。ここで、一つ知らせておくことがある。私とアリーヤの結婚が決まった。今日から一ヶ月後のアリーヤの誕生日だ」
……え?
聞いてないですよ! 全く!
最近、忙しかったのは結婚式を早く挙げるためだったのですね。嬉しいサプライズですけど、先に知らせて欲しかったです。
「ほぉ、それはめでたい。ぜひ、結婚式には呼んでもらたいな」
「もちろんです、陛下。お待ちしておりますわ」
さすが、陛下。立ち直りが早いです。
慌てて答えれば、ブライアンから笑いを堪えてるような気配が伝わってきます。
「ところで、ブライアン。お仕事はどうしたのかしら?」
「え、えーと。ほら、アリーヤが危なかっただろう」
「終わってないのね?」
私が、不甲斐なかったせいなのだろうけど……。
それとこれとは話が別です。ブライアンには早く帝国に帰ってもらいましょう。
「お仕事終わっていないなら早く帰ってください」
「じゃあ、アリーヤも一緒に」
「嫌です。久しぶりに両親と会えるのですから、たまには親子の会話というものをしようと思いまして」
ニッコリ笑いながら告げれば、ガァーンと効果音がつきそうな程暗い顔をしてしまいました。けれど、これは甘いのです。
「どうせ、一ヶ月後には婚姻なのですからそれ以降はずっと一緒にいられるのでしょう? それに、私はお仕事をしてるブライアンの方が好きよ?」
そう告げれば見る見る間にブライアンの顔が緩んでいきます。あのですね、ここは国王陛下の誕生記念パーティーでたくさんの人が見ているんですよ。他の貴族の方はブライアンのこんな表情を見たことがないのでしょう。いつもは冷たい氷のような表情をしていますものね。
「じゃあ、私は帝国に戻るよ。早くアリーヤに会えるように頑張るから、待っててね」
「もちろんよ。楽しみにしてるわ」
ブライアンは来た時と同様に魔法陣の中に消えていきました。やっぱり、転移は便利ですよね。魔法陣を描けないと使えませんが。
その後のパーティーはつつがなく終了しました。
そうそう、元王太子殿下のライナー様ですが私を婚約者だと思い込んでいたのはとある貴族の方々に教えられたからと仰られていたそうです。その方々は、元王太子殿下を傀儡にして国を乗っ取ろうしとしていたようです。ですが、想定していたより元王太子殿下がアホ……ではなく頭が緩く成長してしまったので今回の騒動に発展したのでしょう。
同情は出来ませんがこれから頑張ってくださいね。
***
その後の話をしましょう。
私たちは予定通り結婚し、その一年後には第一皇子が生まれました。また、その一年後に第一皇女も生まれ、現在わたしは三人目の赤ちゃんを妊娠しています。悩みといったらブライアンが私を心配して四六時中付きまとってくることぐらいでしょうか。すこしはお仕事をして欲しいです。皇帝としてお仕事している時はもっとキリッとしているのですが。
今、幸せの絶頂期にいるといったら言い過ぎでしょうか。けれど、私はとても幸せです。
「王太子は廃嫡。王族からも籍を抜け。そこの令嬢も平民になるから問題ないぞ、身分は。あとは、2人は婚姻を。アリーヤを貶めてまで結婚したかったのだろう?」
「えっ?」
何を驚いているの。これは、まだ甘い方じゃない。
不敬罪で処刑だってできるのに。
「連れて行け」
国王陛下が一言告げると、近衛が呆然とするお2人を連れていきました。
次期国王は第二王子がなることでしょう。元王太子と違いとても優秀だと聞いているのでこの国は将来安泰でしょうね。
「ブライアン、良かったの?」
「あぁ。あの娘は王太子という立場に固執していたからな。平民となった元王太子とどうなるか、面白いだろう?」
甘い罰だと思ったけれどあのお2人にとっては重い罰なのでしょう。相変わらず考えてることが真っ黒です。
「アリーヤ、何を考えているの?」
「な、なんでもないわ。それよりも、この状況をどうするの?」
「大丈夫。考えてある」
彼は、そう言うと未だに混乱している貴族の皆様に向き直った。
「皆、騒がせたな。ここで、一つ知らせておくことがある。私とアリーヤの結婚が決まった。今日から一ヶ月後のアリーヤの誕生日だ」
……え?
聞いてないですよ! 全く!
最近、忙しかったのは結婚式を早く挙げるためだったのですね。嬉しいサプライズですけど、先に知らせて欲しかったです。
「ほぉ、それはめでたい。ぜひ、結婚式には呼んでもらたいな」
「もちろんです、陛下。お待ちしておりますわ」
さすが、陛下。立ち直りが早いです。
慌てて答えれば、ブライアンから笑いを堪えてるような気配が伝わってきます。
「ところで、ブライアン。お仕事はどうしたのかしら?」
「え、えーと。ほら、アリーヤが危なかっただろう」
「終わってないのね?」
私が、不甲斐なかったせいなのだろうけど……。
それとこれとは話が別です。ブライアンには早く帝国に帰ってもらいましょう。
「お仕事終わっていないなら早く帰ってください」
「じゃあ、アリーヤも一緒に」
「嫌です。久しぶりに両親と会えるのですから、たまには親子の会話というものをしようと思いまして」
ニッコリ笑いながら告げれば、ガァーンと効果音がつきそうな程暗い顔をしてしまいました。けれど、これは甘いのです。
「どうせ、一ヶ月後には婚姻なのですからそれ以降はずっと一緒にいられるのでしょう? それに、私はお仕事をしてるブライアンの方が好きよ?」
そう告げれば見る見る間にブライアンの顔が緩んでいきます。あのですね、ここは国王陛下の誕生記念パーティーでたくさんの人が見ているんですよ。他の貴族の方はブライアンのこんな表情を見たことがないのでしょう。いつもは冷たい氷のような表情をしていますものね。
「じゃあ、私は帝国に戻るよ。早くアリーヤに会えるように頑張るから、待っててね」
「もちろんよ。楽しみにしてるわ」
ブライアンは来た時と同様に魔法陣の中に消えていきました。やっぱり、転移は便利ですよね。魔法陣を描けないと使えませんが。
その後のパーティーはつつがなく終了しました。
そうそう、元王太子殿下のライナー様ですが私を婚約者だと思い込んでいたのはとある貴族の方々に教えられたからと仰られていたそうです。その方々は、元王太子殿下を傀儡にして国を乗っ取ろうしとしていたようです。ですが、想定していたより元王太子殿下がアホ……ではなく頭が緩く成長してしまったので今回の騒動に発展したのでしょう。
同情は出来ませんがこれから頑張ってくださいね。
***
その後の話をしましょう。
私たちは予定通り結婚し、その一年後には第一皇子が生まれました。また、その一年後に第一皇女も生まれ、現在わたしは三人目の赤ちゃんを妊娠しています。悩みといったらブライアンが私を心配して四六時中付きまとってくることぐらいでしょうか。すこしはお仕事をして欲しいです。皇帝としてお仕事している時はもっとキリッとしているのですが。
今、幸せの絶頂期にいるといったら言い過ぎでしょうか。けれど、私はとても幸せです。
160
お気に入りに追加
64
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説

まさか、今更婚約破棄……ですか?
灯倉日鈴(合歓鈴)
恋愛
チャールストン伯爵家はエンバー伯爵家との家業の繋がりから、お互いの子供を結婚させる約束をしていた。
エンバー家の長男ロバートは、許嫁であるチャールストン家の長女オリビアのことがとにかく気に入らなかった。
なので、卒業パーティーの夜、他の女性と一緒にいるところを見せつけ、派手に恥を掻かせて婚約破棄しようと画策したが……!?
色々こじらせた男の結末。
数話で終わる予定です。
※タイトル変更しました。

公爵令嬢の苦難
桜木弥生
恋愛
公然の場で王太子ジオルドに婚約破棄をされた公爵令嬢ロベリア。
「わたくしと婚約破棄をしたら、後ろ楯が無くなる事はご承知?わたくしに言うことがあるのではございませんこと?」
(王太子の座から下ろされちゃうから、私に言ってくれれば国王陛下に私から頼んだことにするわ。そうすれば、王太子のままでいられるかも…!)
「だから!お嬢様はちゃんと言わないと周りはわからないんですって!」
緊張すると悪役っぽくなってしまう令嬢と、その令嬢を叱る侍女のお話。
そして、国王である父から叱られる王子様のお話。

捨てた私をもう一度拾うおつもりですか?
ミィタソ
恋愛
「みんな聞いてくれ! 今日をもって、エルザ・ローグアシュタルとの婚約を破棄する! そして、その妹——アイリス・ローグアシュタルと正式に婚約することを決めた! 今日という祝いの日に、みんなに伝えることができ、嬉しく思う……」
ローグアシュタル公爵家の長女――エルザは、マクーン・ザルカンド王子の誕生日記念パーティーで婚約破棄を言い渡される。
それどころか、王子の横には舌を出して笑うエルザの妹――アイリスの姿が。
傷心を癒すため、父親の勧めで隣国へ行くのだが……
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。

病弱だった私は彼の姉の結婚式に参加できなかったことで怒られ婚約破棄されました。しかし彼は後に不治の病にかかったようです。
四季
恋愛
病弱だった私は彼の姉の結婚式に参加できなかったことで怒られ婚約破棄されました。
しかし彼は後に不治の病にかかったようです。

婚約者を奪われた私が悪者扱いされたので、これから何が起きても知りません
天宮有
恋愛
子爵令嬢の私カルラは、妹のミーファに婚約者ザノークを奪われてしまう。
ミーファは全てカルラが悪いと言い出し、束縛侯爵で有名なリックと婚約させたいようだ。
屋敷を追い出されそうになって、私がいなければ領地が大変なことになると説明する。
家族は信じようとしないから――これから何が起きても、私は知りません。
婚約破棄?私、貴方の婚約者ではありませんけれど
oro
恋愛
「アイリーン・ヒメネス!私は今この場で婚約を破棄する!」
王宮でのパーティにて、突然そう高らかに宣言したこの国の第1王子。
名前を呼ばれたアイリーンは、ニコリと微笑んで言った。
「あらあらそれは。おめでとうございます。」
※誤字、脱字があります。御容赦ください。

【短編完結】婚約破棄ですか?了承致いたしますが確認です婚約者様
鏑木 うりこ
恋愛
マリア・ライナス!お前との婚約を破棄して、私はこのリーリエ・カント男爵令嬢と婚約する事にする!
わたくしの婚約者であるサルトル様が声高に叫びました。
なるほど分かりましたが、状況を良く確認させていただきましょうか?
あとからやはりなかった、間違いだったなどと言われてはたまったものではございませんからね?
シーン書き2作目です(*'ω'*)楽しい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる