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「大丈夫? 私のアリーヤ」
やっぱり、来てしまいました。床には魔法陣が浮かび上がり、中心から銀髪の男の人が出てきます。私にとっては見慣れた光景ですけど、他の皆さんは驚いています。
「ねぇ、私のアリーヤ。これは、どういうことかな?」
「ブライアン、見ていたのでしょう?」
分かっているでしょう、と言えば彼は笑みを深め私の目じりにキスをします。
「久しぶりですね、クルーツ国王」
「あ、あぁ。貴殿も変わりないようで」
だから、大丈夫ですって、国王陛下は。
皆さん、唖然としていますが有名人ですよ彼。
「ブライアン、あの王太子殿下に説明していただけない?」
「もちろんだよ、アリーヤ」
彼は、私に向けていた笑顔をしまうと瞳に冷たい色をやどし王太子殿下に向き直りました。
「初めてではないが、お前は私の事を覚えていないのだろう? 私は、メセリア皇国皇帝、ブライアン・イーノ・メセレイア。彼女、アリーヤ・ハレストの婚約者だ」
彼が名乗りを上げるとあたりは騒がしくなりました。だって彼、残虐王とか魔王とか色々言われてますものね。
本当は、とっても優しくて紳士ですのに。
「王太子殿下、私には婚約者がいますのに何故婚約破棄されなければならないのでしょう? それに、私は殿下の婚約者候補だったことはあっても婚約者になった覚え全くありませんわ」
「そうだよねぇ。アリーヤは私の婚約者だもん」
「なっ! 貴様は私の婚約者だと!」
「だから、アリーヤは私のだ。そもそも、求婚したのは私の方が先だ」
そうなんですよね。彼、若々しい見た目に反して30代なのですよ。ブライアンが私を見初めたのが10年前、彼が20代のとき。そのとき私は7歳でした。
魔力持ちは皆、老化が遅いと言われておりますがそのいい例ですね。
「そもそも、何様のつもり? 私のアリーヤを貴様呼ばわりして、婚約者扱い? 挙句には突き飛ばす。将来の皇后に何しようとしたんだ? これは、宣戦布告と受け取ってもいいんだよ」
目が、ブライアンの目が怖いです。笑ってるのに笑ってない。とっても、怒ってます。
「ブライアン、殺気を振りまかないでください。少しは、周囲に気を遣いましょう?」
「無理。アリーヤのお願いなら聞くけど、こいつらに気を遣うなんて無理」
即答。即答ですか!
「私は、気にしてないのでいいのです。それに、」
「あの、ブライアン様! 私ユリーナって言うんです!」
なんなんなのですか、この害虫。
私のブライアンの名を勝手に呼ばないで欲しいわ。
「ユリーナ様。婚約者がいる男性の名を呼ぶのはマナー違反だと習わなかったのかしら? それに、ブライアンはあなたに名を呼ばれることを許してないわよ」
ふふ、私久しぶりにキレたわ。
頑張って、お淑やかに振舞おうと決めていたのにこれでは台無しね。
「そうだよ。私は、許してない。というか、近づかないで貰えないかな」
「そんな......ひどい......」
ひどいなんてあなたが言えませんよ。
私は、冤罪で断罪されそうになったのですから。
泣き真似をしたって、誰も騙されません。
ああ、ひとりだけいました。
王太子殿下は、これだけ言われてまだその令嬢の肩を持つのですね。
さすがに、呆れてしまいます。ブライアンを見れば冷めた目で2人を見ています。もう、興味がないのでしょう。
「クルーツ国王。分かっていますよね? この事態を穏便に済ませたければ、私の指示に従っていただきたい」
「あぁ、息子を庇ったりはしない」
やっぱり、来てしまいました。床には魔法陣が浮かび上がり、中心から銀髪の男の人が出てきます。私にとっては見慣れた光景ですけど、他の皆さんは驚いています。
「ねぇ、私のアリーヤ。これは、どういうことかな?」
「ブライアン、見ていたのでしょう?」
分かっているでしょう、と言えば彼は笑みを深め私の目じりにキスをします。
「久しぶりですね、クルーツ国王」
「あ、あぁ。貴殿も変わりないようで」
だから、大丈夫ですって、国王陛下は。
皆さん、唖然としていますが有名人ですよ彼。
「ブライアン、あの王太子殿下に説明していただけない?」
「もちろんだよ、アリーヤ」
彼は、私に向けていた笑顔をしまうと瞳に冷たい色をやどし王太子殿下に向き直りました。
「初めてではないが、お前は私の事を覚えていないのだろう? 私は、メセリア皇国皇帝、ブライアン・イーノ・メセレイア。彼女、アリーヤ・ハレストの婚約者だ」
彼が名乗りを上げるとあたりは騒がしくなりました。だって彼、残虐王とか魔王とか色々言われてますものね。
本当は、とっても優しくて紳士ですのに。
「王太子殿下、私には婚約者がいますのに何故婚約破棄されなければならないのでしょう? それに、私は殿下の婚約者候補だったことはあっても婚約者になった覚え全くありませんわ」
「そうだよねぇ。アリーヤは私の婚約者だもん」
「なっ! 貴様は私の婚約者だと!」
「だから、アリーヤは私のだ。そもそも、求婚したのは私の方が先だ」
そうなんですよね。彼、若々しい見た目に反して30代なのですよ。ブライアンが私を見初めたのが10年前、彼が20代のとき。そのとき私は7歳でした。
魔力持ちは皆、老化が遅いと言われておりますがそのいい例ですね。
「そもそも、何様のつもり? 私のアリーヤを貴様呼ばわりして、婚約者扱い? 挙句には突き飛ばす。将来の皇后に何しようとしたんだ? これは、宣戦布告と受け取ってもいいんだよ」
目が、ブライアンの目が怖いです。笑ってるのに笑ってない。とっても、怒ってます。
「ブライアン、殺気を振りまかないでください。少しは、周囲に気を遣いましょう?」
「無理。アリーヤのお願いなら聞くけど、こいつらに気を遣うなんて無理」
即答。即答ですか!
「私は、気にしてないのでいいのです。それに、」
「あの、ブライアン様! 私ユリーナって言うんです!」
なんなんなのですか、この害虫。
私のブライアンの名を勝手に呼ばないで欲しいわ。
「ユリーナ様。婚約者がいる男性の名を呼ぶのはマナー違反だと習わなかったのかしら? それに、ブライアンはあなたに名を呼ばれることを許してないわよ」
ふふ、私久しぶりにキレたわ。
頑張って、お淑やかに振舞おうと決めていたのにこれでは台無しね。
「そうだよ。私は、許してない。というか、近づかないで貰えないかな」
「そんな......ひどい......」
ひどいなんてあなたが言えませんよ。
私は、冤罪で断罪されそうになったのですから。
泣き真似をしたって、誰も騙されません。
ああ、ひとりだけいました。
王太子殿下は、これだけ言われてまだその令嬢の肩を持つのですね。
さすがに、呆れてしまいます。ブライアンを見れば冷めた目で2人を見ています。もう、興味がないのでしょう。
「クルーツ国王。分かっていますよね? この事態を穏便に済ませたければ、私の指示に従っていただきたい」
「あぁ、息子を庇ったりはしない」
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