悪役令嬢は最後に笑う

みさき

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番外編

使い魔の願い

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 僕のご主人はアリシアって名前の綺麗な人だ。

 僕が産まれたのは人間から魔の森って言われているところ。お父さんとお母さんはいない。いるんだろうけど会ったことはない。僕が卵から産まれてまわりには緑ばかりで誰もいなかった。

 その時から、僕は一人で生きてきた。当然、僕より大きな魔物もいたし怪我をしてご飯を採れなかった時もあった。

 そして、ある日。僕は今までに見たことがないほど強い魔物と会って怪我をして死にかけた。そんな時だ。僕がご主人と出会ったのは。

 ご主人は時々森に来ては魔物を狩っては素材を集めていたらしい。


『あら。グリフォンの子ども? 怪我をしているのね』


 そう言って抱き上げてくれた時に感じた温かさはいつまでも忘れない。

 ご主人は手当をしてくれてご飯も分けてくれた。


『キューッ! キューッ!』


 ありがとう! ありがとう! そう言いたくても言葉は伝わらなかった。だから、顔を近づけてペロリと顔をなめた。

 ありがとうの気持ちを込めて。

 ご主人は目を大きく丸く開いて固まっていた。


 それから、ギューッと僕を抱きしめてくれた。泥だらけで汚れていた僕なんかをギュッと抱きしめてくれた。


『私と一緒に来ない?』


 そう言って、ご主人は空色の瞳を細めて銀色の髪を輝かせて笑った。

 それから、僕はぐんぐんと大きくなってご主人の家には入れなくなったから森に戻った。でも、ご主人は暇があったら来てくれるし僕もご主人が呼べばすぐに駆け付ける。

 商会っていってご主人が考えた魔道具を売っているお店はとても繁盛していて、僕以外にもご主人は仲間が出来た。


 だけど、あの金ピカがやろうとしていることを止められなかった。金ピカがやってる事をご主人は知っていたし知っていて放置していた。それでも、ご主人は僕のご主人だから僕は守りたかった。

 初めて会った時のような悲しそうな笑顔をもう見たくなかった。だけど、国を出たご主人は晴れやかな笑顔でこれからの事を考えていた。

 なら、それを守ることが僕の役割だ。

 ご主人がこれからも笑顔でいられるようにずっとそばで離れずに。


 「ぐーちゃーん!」

『クゥー!』


 今日はどこに行くのかな?

 この前は花がいっぱい咲いているところに行った。その前は海がキレイなところ。西の国にも行った。


 「今日はね、少し遠いんだけど東の国に行こうと思うの。そこは、ここと全然文化が違うのだって」


 楽しみね、そう言ってご主人は笑う。

 うん、僕も楽しみ。

 どこでも一緒に行くよ。ご主人がずっと笑顔でいられるなら。


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