悪役令嬢は最後に笑う

みさき

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番外編

悪役令嬢のこれまで

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 私は、アリシア。バーナード。侯爵令嬢という肩書があったがそれを捨てた今の私はただのアリシアだ。


 私は生まれた時から異端だったらしい。面と向かって言われたことはないが周りの雰囲気がそういっていた。屋敷の離れに閉じ込められめったに外に出ることはない。会いに来ない両親。会いたいと泣くも両親が私に会いに来ることは一度もなかった。

 そして、私は諦めた。両親に期待するのをやめた。期待して失望するのは私だけ。なら、もう諦めれば失望もなにも感じなくなる、そう考えた。


 諦めて何もかもどうでもよくなって、そんなとき出会ったのが魔道具だ。

 始めは、メイドが持ってきてくれた本だった。その時の私は常に本を読んでいたはず。だって、他にやることが無かったからね。どんどん自分の中に知識がたまっていくのが楽しかったんだ。

 魔道具作りも本の中の知識を試そうとしたことから始まったんだ。それが、想像以上に面白かった。自分が思った通りの結果が出て、時には失敗して。

 そして、10歳の時。私が作った魔力を吸収する魔道具。これが誰も作ったことのない魔道具だなんて知らなかった。魔力を抑える魔道具を作ろうとして偶然できた魔力を吸収する魔道具。国王陛下の呼び出しを受けて始めてそれがどれだけ貴重なのか知った。


 それから、私は王太子殿下の(その時はまだ違った)婚約者になった。国王陛下曰く私を守るための婚約だったらしい。魔力が強く誰も作ったことのない魔道具を作った私を王族の婚約者にすれば誰も手を出せなくなるということらしかった。国王陛下は今でも王国で信頼できる数少ない人だ。


 両親はというと手のひらを返したように私にかまい始めた。今までの罪滅ぼしか。はたまた私を使えると判断したのか。私からしたら今更何を言ってるんだと言いたい。私にとって親は正直いてもいなくてもどうでもいい存在。子供の時のことを考えればそれも当たり前だと思う。


 卒業パーティーの婚約破棄と国外追放の騒動は最初から知ってた。ロゼ商会は王国一の商会。様々な情報が自然に集まってくる。王太子殿下たちが何をしようとしているかもわかっていた。それを、承知でパーティーに出席した。もともと王国での暮らしに未練はないし、出ていこうと思えばいつでも出れた。けど、私は私なりにやるべき事をやって王国を発展させてようと思っていた。今となっては、どうでもいい話だけど。

 あの騒動で大変だった事と言えば商会の社員たちをなだめるのが大変だった。社員たちは全員貧民街で助けた子供だ。私よりも年上もいれば年下もいる。働けるように教育し住む場所、働く場所を与えた。皆私を慕ってくれてるけどそれが時々妙な方向に突き進んで……。

 いや、うん何でもない。


 それから、帝国でロゼ商会のみんなと祝杯あげたりして。皇帝が思っていたよりも話の分かる面白い人だったり。


 まぁ、この話はまた今度。

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