10 / 15
番外編
侯爵令息のその後
しおりを挟む
姉上を勘当した。僕の愛しいレイラのために。
なのに、どこが間違っていた?最初から?
もしそうだったら、僕はどうすれば良かったのだろう。
僕達は国王陛下や両親が居ない隙をついて姉上を断罪した。
魔の森に追放された姉上は笑っていた。
いつも氷の仮面を被っているように無表情だったのが、ニコニコと笑っていたのだ。心から楽しそうに。
あんな笑顔を見たことがなかった。姉上が笑顔を見せるなんて思っていなかった。
よく考えれば姉上が笑いかけてくれるなんてありえないのだ。
いつも思っていた。侯爵家の落ちこぼれだと。バーナード家の恥さらしだと。
顔や態度には出さないようにしていたが、あの姉上のことだから知っていたのだろう。僕は、何をしていたのか。上辺だけを見て、姉上が本当に考えていたことを全く知ろうとしなかった。
卒業パーティーの翌日。僕は、初めて父上に殴られた。そして、次期当主の座から降ろされた。僕は軍に入り魔の森に面する国境を守る防衛官に任命される。最近、魔物の出現率が上がっている。そのため、防衛に割く人数を増やすらしい。
魔物が増え始めたのは姉上が王国を去ってから。もしかしたら、姉上が魔物の数を減らしてくれていたんだろうか。だとしたら、僕たちは愚かだ。姉上は王国のためにたくさんのことをしてくれていた。なのに、僕は何も知らずに姉上を悪だと決めつけていた。
もし、僕が姉上を見下したりせずに仲良くしていたらこんな事にはなっていなかったんじゃないか。最近ではそればかり考えている。もう、遅いと分かっているのに。
もうすぐ、僕は魔の森との国境に送られ、魔物との戦いに明け暮れることになるだろう。家に戻ってくることはない。最悪死んでしまうかもしれない。
姉上に謝ることができるなら謝りたい。けれど、僕たちが会うことは二度とない。姉上がそう望んでいたから。
だから、僕は心の中で姉上に謝ろう。そして、これからの成功を祈ろう。
なのに、どこが間違っていた?最初から?
もしそうだったら、僕はどうすれば良かったのだろう。
僕達は国王陛下や両親が居ない隙をついて姉上を断罪した。
魔の森に追放された姉上は笑っていた。
いつも氷の仮面を被っているように無表情だったのが、ニコニコと笑っていたのだ。心から楽しそうに。
あんな笑顔を見たことがなかった。姉上が笑顔を見せるなんて思っていなかった。
よく考えれば姉上が笑いかけてくれるなんてありえないのだ。
いつも思っていた。侯爵家の落ちこぼれだと。バーナード家の恥さらしだと。
顔や態度には出さないようにしていたが、あの姉上のことだから知っていたのだろう。僕は、何をしていたのか。上辺だけを見て、姉上が本当に考えていたことを全く知ろうとしなかった。
卒業パーティーの翌日。僕は、初めて父上に殴られた。そして、次期当主の座から降ろされた。僕は軍に入り魔の森に面する国境を守る防衛官に任命される。最近、魔物の出現率が上がっている。そのため、防衛に割く人数を増やすらしい。
魔物が増え始めたのは姉上が王国を去ってから。もしかしたら、姉上が魔物の数を減らしてくれていたんだろうか。だとしたら、僕たちは愚かだ。姉上は王国のためにたくさんのことをしてくれていた。なのに、僕は何も知らずに姉上を悪だと決めつけていた。
もし、僕が姉上を見下したりせずに仲良くしていたらこんな事にはなっていなかったんじゃないか。最近ではそればかり考えている。もう、遅いと分かっているのに。
もうすぐ、僕は魔の森との国境に送られ、魔物との戦いに明け暮れることになるだろう。家に戻ってくることはない。最悪死んでしまうかもしれない。
姉上に謝ることができるなら謝りたい。けれど、僕たちが会うことは二度とない。姉上がそう望んでいたから。
だから、僕は心の中で姉上に謝ろう。そして、これからの成功を祈ろう。
22
お気に入りに追加
2,464
あなたにおすすめの小説
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

まさか、婚約者の心の声が聞こえるなんて……~婚約破棄はしない、絶対に~
紫宛
恋愛
子猫を膝の上に乗せ撫で、気が付いたら婚約者の心の声が聞こえていた……!
(殿下は、妹が好きなのかしら?私とは、もうダメなのかしら?こんなに好きですのに……)
「え?」
(殿下、お慕いしておりますから……離れていかないで、お願いですわ)
悲しげな声で訴える声に顔を上げるが、彼女の顔は変わっておらず相変わらずの無表情。
だが、心の声は悲しげ。
神の悪戯か……理由は分からないが、この声を頼りに彼女との関係を修復しよう。
婚約破棄?
するわけが無いだろう。
私を愛してくれる大事な女性が、ここにいるのだから。
※素人作品ですが、皆様の暇潰しになれば幸いです※

王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話
ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。
完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。

そのご令嬢、婚約破棄されました。
玉響なつめ
恋愛
学校内で呼び出されたアルシャンティ・バーナード侯爵令嬢は婚約者の姿を見て「きたな」と思った。
婚約者であるレオナルド・ディルファはただ頭を下げ、「すまない」といった。
その傍らには見るも愛らしい男爵令嬢の姿がある。
よくある婚約破棄の、一幕。
※小説家になろう にも掲載しています。

婚約破棄?一体何のお話ですか?
リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。
エルバルド学園卒業記念パーティー。
それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる…
※エブリスタさんでも投稿しています

原産地が同じでも結果が違ったお話
よもぎ
ファンタジー
とある国の貴族が通うための学園で、女生徒一人と男子生徒十数人がとある罪により捕縛されることとなった。女生徒は何の罪かも分からず牢で悶々と過ごしていたが、そこにさる貴族家の夫人が訪ねてきて……。
視点が途中で切り替わります。基本的に一人称視点で話が進みます。

断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。

妻を蔑ろにしていた結果。
下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。
主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる