悪役令嬢は最後に笑う

みさき

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番外編

ヒロインのその後

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 私は、ヒロインなの。

 5歳の時にそれを知った。階段から落ちて、頭をうってその時に前世の記憶を思い出したの。

 私は、あるゲームのヒロインに転生していたの。ふわふわしたピンク色の髪が自慢の美少女。自分で言っちゃうけど、本当に可愛い。だから、ただの平民の家の子じゃないってずっと思ってたけど本当だったなんて、笑っちゃう。


 私のお父さんは男爵家の当主なんだって。お母さんはその家でメイドをしていたけど私を身ごもったのを知って仕事を辞めて王都の片隅で暮らし始めたんだって。


 それを聞いた時、お母さんは馬鹿だなーって思った。だって、仕事を辞めなければ貴族の家の子として暮らせてたんでしょう。こんな、貧乏で惨めな暮らしなんてしないですんだのに。


 でも、これからは物語のヒロインとして楽しい生活が始まるの。ふふ、楽しみだなぁ。


 それからは、学園に通って私の推しキャラの王太子殿下と恋人になったり、攻略キャラと仲良くなったり。本当に楽しかったわ。でも、悪役令嬢のアリシアが私に嫌がらせをしなかったのはなぜかしら?


 アリシアは王太子であるレイナードの婚約者でレイナードと仲良くなる私に嫉妬して嫌がらせをしてくるはずなんだけど。バグってるのかな。まあ、どうでもいっか。


 そして、いよいよ訪れた断罪イベント。


 アリシアは拍子抜けするほど簡単に婚約破棄され追放された。

 なのに……。

 なんで、なんでなんでなんで!?


 アリシアはロゼ商会の会長でヒロインの私よりもたくさん魔力を持ってて。私が従えるはずのグリフォンまで使い魔にしていた!


 そんなのゲームにはなかったのに!?


 アリシアは笑ってた。本当に楽しそうに。

 私から全てを奪って。アリシアが全部悪いのに!


 パーティが終わった後にお父さんに怒られしばらく自宅謹慎をしろ、と言われた。

 私は、悪くない。悪くないのに。


 レイナードは辺境の地に送られた。他にいた攻略キャラの皆もそれぞれ罰を受けたと聞いた。

 私は、修道院に送られる。規律の厳しい所で入ったら二度と出られないらしい。


 私は、ヒロインじゃないの?主人公じゃなかったの?

 分からない、もう何も分からない。


 ただ、分かるのはアリシアは全てを手に入れ私は全てを失ったということだけ。

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