悪役令嬢は最後に笑う

みさき

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番外編

王太子のその後

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 なぜ。

 その一言が頭を過ぎる。なぜ、あの時あんな馬鹿げた行いが出来たのか。今でも、分からない


 アリシアは王太子である私の婚約者だった。銀の髪に深い碧の瞳を持った美しい少女だった。

 ただ、その性格は醜かった。嫉妬に狂い私の愛しいレイラをいじめた。だから、婚約破棄を行い魔の森に追放した。


 それが、正しいと今までは思っていた。


 アリシアは恐ろしい魔の森を背に私達に笑いかけてきた。

 拘束の腕輪を破壊し、私達にさらなる絶望をふりかけてきた。

 つまらない、いつも無表情の少女が今や世界を股にかけるロゼ商会の会長だと。しかも、我が国との取引を中止すると。

 王太子である私よりも強い魔力を持ち、グリフォンさえも従えている。


 ……怖くなった。アリシアが、あの無表情のしたで何を考えていたのか。それだけで、震えが止まらない。


 なぜ、あんなことが出来たのか。婚約破棄に国外追放など今考えれば狂気の沙汰でしか無い。

 レイラに惹かれたのも、なぜか分からない。あんなに光輝いて見えたのにあの騒動のあとではくすんで見えてしまう。


 翌日、国王陛下に呼び出された。


 アリシアを追放したことについて処罰が決まったのだ。

 私を王太子の座からおろし、辺境の地に送るということだった。


 国王は全て知っていた。アリシアが、ロゼ商会の会長であることも。人並み外れた魔力を持つことも。知らないのは私だけだった。いや、知ろうとしなかっただけなのかもしれない。


 アリシアが王国を去ってから一ヶ月が過ぎた。

 王国はロゼ商会との取引を中止され低品質な魔道具が出回り始めた。

 今になって分かる。ロゼ商会がどれだけ素晴らしかったのか。

 アリシアがどれだけ努力してきたのか。生半可な努力ではここまで商会を大きくすることは無理だろう。


 貴族たちの間ではアリシアを王国に呼び戻そうとしているらしいがそれは無理だろう。皇帝がアリシアを手放すなんて有り得ない。それに、帝国でアリシアは爵位を得たと聞いた。実力主義の帝国で爵位を得るのは容易くはないだろう。


 私は、この辺境の地からアリシアの活躍を祈ろう。

 それが、私のできる唯一のことだから。



***あとがき***
こんばんは、みさきです。
番外編は全8話。20:00投稿です!
よろしくお願いしますm(_ _)m
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