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【3】ウィンディーネ

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巧くいきました。
貴族学校に入学する前に二人を潰す事が出来ましたわ。

「光と風のプレリュード」という乙女ゲームを知っているかしら?
私はその世界に俗にいう異世界転生した者なの。
この世界での私の名はウィンディーネ。
王太子殿下の婚約者だったのに断罪されてしまう公爵令嬢。それが私。
いわゆる悪役令嬢よ。

だいたい巷の「悪役令嬢断罪もの」って、何で貴族学校に入学するまで指を咥えて待っているだけなのかしら?
入学してしまうと王太子殿下やその取巻き連中と顔を合わす危険性が増えるというのに。
特撮ヒーローが変身を終えるのを謙虚に待っている敵方の怪人みたいなもんですわ。

だから私は先手を打って二人を貴族学校に入学出来なくしてやりましたの。
二人が結託して私に対峙したら厄介でしたけど、各個撃破しましたわ。
公爵令嬢ならではですわ。

その公爵令嬢としての態度ですが、ゲーム通りの我侭放題では「これはさすがに断罪されても無理はない」と思ったものですから、随分と改めましたわ。おかげで家臣のみなさんは私を信頼しております。

この世界での母イライザの病ですが、私は前世で医学の心得があったものですから、薬の処方と衛生環境の改善で簡単に治ってしまいました。不治の病とされていたのを10歳の娘が療法を発見した事で王家の信頼は厚くなり、婚約者の座を確立しましたわ。義妹のウィチタは潰す事が出来ましたし、一石二鳥です。

平民のメリッサは領主であるブラックバーン男爵の先手を取って奪ってやりましたわ。
あとはもう飼い殺しですよ。
でも、それなりの教育をさせてどこかに嫁がせてもよいかもしれませんね。

お二人とも私と同じ転生者みたいで、ゲーム通りのハッピーエンドを迎えようと意欲満々の様でしたけど、公爵令嬢というマウントを取っている私の方が一枚も二枚も上手ですわ。
だいたい平民やせいぜい男爵風情で王家と婚約出来ると思うのがおかしいのですわ。
王家や上級貴族は何より血統を大事にしますわ。雑種が入り込む余地などありませんもの。
これで、そういった仕来しきたりを無視して「真実の愛に目覚めた」などと得意になって言うバカ王太子だったら、わざと彼女らみたいなのを当て馬にして逆に廃嫡に追込むのも面白いかもしれませんが、この世界の王太子はマトモの様でございます。寵愛を受けて王太子妃として更には国母として務めてみせましょう。


あ、そうそう、何故平民のメリッサは養女に出来て、義妹のウィチタは公爵籍に入れられないのか?と思うかもしれませんね。
私の父上は婿ですの。ですからメリッサは母上の采配で養女に出来ましたが、ウィチタは父上が外に勝手に囲って作った娘ですもの。母上が許す訳ありませんでしょ。
父上は母上が亡くなればあの母娘を公爵家に迎え入れる考えだったみたいですが、お生憎様。
もちろん私も母上にいろいろ助言致しましたけどね。


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