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【11】披露Ⅰ

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「やっと四人が揃った~!」

安奈が微笑んで言う。

「そうね。てんでバラバラな場所に転生したらどうなるかと思ったけど、貴族の令嬢ばかりだったから助かったわ。みんなを集めるのにはちょっと苦労したけど」

「その点は璃亜のところがさすが公爵様だよ。この権限が無ければ、安奈を侍女にして引入れるとか無理だったと思うよ。という事で、偉大なる公爵令嬢のグロリア様のお背中をお流し致しましょう!」

「ちょっと、何で急にそんな事を言い出すのよ」

「いや、私やアンナはグロリア様付の侍女になったのだから当然、お背中を流す義務があるかと」

「何もそんなまわりくどい言い方をしなくても・・・」

愛那の意図を読取った璃亜はぼやく。

「そうだよ。みんなでお風呂に入ろうって言えばいいだけじゃん。それで見せ合いっこしようよ!」

安奈が言う通りである。
バンドの練習等で汗をかいた時は、みんなしてスーパー銭湯に行っていた。
そこでお互いの裸は見ていて知っているのであるが、今の世界に来てからはその機会が無かった。
だからどんな体付きになったのか興味深々なのである。
かくして四人はダグラス公爵館の風呂に入る事となった。

**********

「うわ~広い! スーパー銭湯くらいあるよ! さすが公爵館だね!」

「そうなの。公爵ともなれば要人も多いからかしら。威厳を見せる為にも大きく造ってあるらしいの。
私は大き過ぎて落着かないのだけどね」

「公爵令嬢ともあろうお方が、なに貧乏くさい事言っているんだよ。
これからは四人で一緒に入るんだから、これくらい大きくても良いんだよ。
それにしてもグロリア様の璃亜は相変わらず胸が大きいようで・・・」

愛那が皮肉交じりに言う。
指摘された璃亜は密かに長身で胸も大きく均整のとれた自分の体形が自慢だった。
グロリアとなった今でもそれが継承されたみたいで嬉しく思っている。

「愛那は結構せたわね」

璃亜はやり返す。
ドラマーだった愛那は、力強くドラムを叩くせいか筋肉質で小太りしていたのが悩みだった。
それがロザーナとなった愛那は随分スレンダーとなった。
四人の中でこの世界で最も体形が変わったのが愛那だった。

「そうなんだよね。ちょっと痩せ過ぎたというか・・・
ま、盗賊は敏捷さが大事だからこれで良いのかもしれないけど。
その分、麗羅、お前はマッチョになったな!」

「・・・うん、鍛えているから仕方無い・・・」

前世の麗羅も璃亜ほどではないがやはり均整のとれた体形だった。
ところがこの世界では随分と筋肉質な体つきとなってしまった。
自分でも言う通り、騎士として毎日鍛錬している結果らしい。

「ま、胸はそこそこ大きいし、ビキニアーマーも似合うかもしれないな」

「・・・ビキニアーマーって何?・・・」

例によって麗羅がぼそぼそと訊く。

「ビキニの水着と一緒で、胸と腰周り、もっと凄くなると局部だけを装甲で覆った女性戦士の事だよ。
敏捷に動く為に軽量化を極めた結果だと解説してるけど、肝心の防御面が皆無だから実用面では疑問だね。
第一、暑い時は良いけど寒い時はどうするんだ?となるしね。要は『漢の浪漫』の産物だよ」

「・・・『漢の浪漫』・・・私はチートな戦士・・・なってみたいかも・・・」

「「「えーーーーーーーーーーーー!」」」

寡黙な麗羅とは思えない意外な発言に三人は一様に驚いた。


「ねえねえ、三人だけでしゃべってないで、安奈の裸だって見てよ!」

自分が話題に昇って来ない事にしびれを切らした安奈は全裸の自分をさらけ出す。
ドヤ顔で腰に手を添えて仁王立ちで。

「へへっ どう? 結構立派になったでしょ!」

「おうおう、言うだけあって前世のロリ体形の安奈より立派になってるな! 
相変わらずチビだけど、出るところは出ているし。
これだったら令息たちを唆すのも解る気がする。
前世と同じだったら彼らは全員ロリコンになっちまうからな」

愛那はめているのかけなしているのだか解らない事を言う。

「何だか自分の身体が貧弱に思えてきた! 悔しいから安奈の乳をんでやる!」

そう言って愛那は安奈に襲いかかろうとする。

「わっ 止めてよ!」

安奈は人見知りする子供が親の後ろに隠れる様に璃亜の後ろに隠れる。

「二人共お風呂でふざけないで!」

璃亜が二人をしかる。まるで幼稚園の先生である。

「はいはい、では改めて・・・」

愛那の言い出しに麗羅や璃亜の後ろに隠れていた安奈も璃亜の前に進み出る。そして、

グロリア・ダグラス公爵令嬢こと敷玄璃亜様、これからも私たちの事を宜しくお願いします!」

三人は揃って璃亜に向って土下座したのだ。テルプシコラ様ばりに。全裸で。

「どうしたの? 三人揃って・・・」

「いや、璃亜にこの世界で導いてもらおうと思って・・・」

「そんな事で改まって・・・私だって貴方たちがいない世界では嫌なの。
この世界で四人が力を合わせて生きていきましょうね」

璃亜もひざまずくと三人を抱きしめた。さながら四人がこの世界に旅立った時の様に。
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