ガールズバンド四人組は異世界で無双する

【２】召喚Ⅰ

心地良い光を感じて敷玄璃亜しきぐろ りあは目を開けた。
そして上半身を起こそうとして、自分が全裸である事に気付いた。
しかし、暑くもなく寒くもなく、露あらわになった身体が清々しくすら感じられる。
辺りを見回すと、バンドのメンバーである三人も横たわっていた。
やはり全裸で。
彼女たちの傍そばまで寄って起こそうと身体に手を触れようとするが、何故か身体を擦り抜けてしまう。
身体に心地良い感触はあるのに。
仕方無いので声を掛ける。

｢安奈あんな、麗羅れいら、愛那あな、起きて！｣

声は通るらしい。
やがて三人はむにゃむにゃ言いながら起き出す。
そして璃亜と同様、自分たちが全裸なのに驚く。

｢私たち素っ裸じゃん！どうしたの？ やっぱり死んじゃったのかな？｣

メンバー最年少、バンドのボーカル担当の甲斐安奈かい あんなが叫ぶ。

｢そうかもしれないわね。何だか天国っぽいし･･･｣

バンドのリーダーでベース担当の璃亜も同意する。

｢という事は、これは異世界転生かもしれないぜ？ 神様が現れてさ｣

ニヤニヤしながらこの状況をむしろ楽しんでいるかの様なのはドラムス担当の常呂座愛那ところざ あな。 
彼女にはオタクっぽい知識がある。

｢･･･本当に現れたよ･･･神様･･･｣

ボソボソと喋るのはギター担当の襟倉麗羅えりくら れいら。普段でも彼女は寡黙だ。

彼女が指さす方、輪郭が次第とはっきりとし、女神と思おぼしき姿となる。
ブロンド髪をソバージュにした彼女は、透けた衣装を身に着けているだけで全裸の四人と大差無い。
そんな彼女が四人の前に立つと、

｢す、すみませんでしたーーーーー！｣

いきなり土下座したのである。
これには四人は驚くしかなかった。