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【5】悪役令嬢は婚約者となる

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2年後、12歳となった私は正式に王太子ノルベルト殿下の婚約者に決まった。
これは当初から解りきっていた事で、今更感激する事でもない。
というのは、王太子の婚約者となる娘は、特殊な事情のシェフィールド公爵家を除く三公爵家の中から選ばれるのだ。
しかも血の偏りを避ける為に二代にわたって同じ公爵家から選ばれる事は無い。
現在の王妃ナターシャ妃はネルソン公爵家の出であるから、残りのワイツウェル公爵家とエヴァンス公爵家となるが、順番でいったらワイツウェル公爵家となり、私となる。
もっとも私にはワイツウェル公爵家とエヴァンス公爵家の両方の血が流れているが。
ウィチタもワイツウェル公爵家の娘であるが、庶子という事で立場は弱い。
私が正式に婚約者となった事で、いよいよ彼女は私を蹴落とそうと躍起になるだろう。
しかし、孤軍奮闘した前世と違って現世では味方となる仲間を揃えてきたし、前世からの知識が私にはある。同じ結果にさせはしない。


婚約者発表と共に王宮でパーティーが開かれた。
王家と我がワイツウェル公爵家の他、エヴァンス公爵家やネルソン公爵家、その他重鎮が集う。

「ウィン、おめでとう!」

王都の貴族学校に進学した兄ウォーレンが声を掛けてくる。

「私からもお祝いを言わさせてくれ。愚妹と親しくしてくれてありがとう」

そう言ってくるのはイングリッドの兄イーノック様。

「彼女がウォーレン自慢の妹かい?」

私をしげしげと眺めるのはマーヴィン殿下。

同い歳の3人は学校でもつるんでいるらしい。
揃って美形のトリオが行くところ女子生徒の歓声が挙がるという。
お兄様トリオは私の強固な守護神になってくれそうだ。

一方、ノルベルト殿下は私にはあまり興味は無さそうで、他の出席者たちと歓談している。
その中にはウィチタもいた。あざとい笑顔で自己アピールしている。

彼女ウィチタが何か仕掛けてくるか警戒したが、この時は何事も無く終わった。







ウォーレン兄さんです。
本当でしたらここは婚約者のノルベルト殿下を登場させるべきでしょうが、別のシーンの時に登場させたいので、ここはウォーレンにしました。
ちょっと柔和になり過ぎた感もあるのですが、精悍なのはマーヴィン殿下に譲るとして。
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