37 / 290
このこの七つのお祝いに。
しおりを挟む
「理由?そんなもの、俺が知りたいくらいだよ」
ヤケ気味な主任の答えに、「まぁ、想定内ですね」と軽く流す竜児。
「んじゃ、今回はその理由も含めて調査しろってことで?」
問いかけた竜児に対して、主任は首をふる。
「いや、理由はどうでも構わない。調べて欲しいのはふたつ。幸希が本当に亡くなったのか。亡くなっているのなら、その遺体がきちんと弔われているのかどうかだ」
―――――弔い?
「それ、どういう意味ですか主任」
本当に亡くなっているのか、なんて。
「言葉通りの意味だよ、及川くん。俺はあの子が亡くなったとは聞かされたけど、葬式に出た覚えがないんだ。
幼すぎて覚えていないのかと思って実家に確認したが、やはりあの子の葬式は行われていなかった。
――幼馴染だってのに、そんなことがあり得るかい?」
「……確かにそれはおかしいですね」
「ましてや室井家は旧家だぜ?そこの娘の葬式をやらないなんてことはありえないだろ」
「…ふむ。調べてみる価値はありそうですね。しかし幼い子供の死を偽装したのだとしたら理由はなんでしょうか」
「いろいろあんじゃねぇの…?それこそほら、古いお屋敷ってやつの…」
どう考えても、あまり良いイメージはもてない。
「俺の調べた限りじゃ、少なくとも生きてるとは思えなかったが……」
言葉を濁す賢治に、主任は続ける。
「子供の頃の記憶だが、あの家には座敷牢が存在するんだ。……最悪の場合、そこにあの子がずっと監禁されていた、ということも考えられる」
「……精神異常者の私宅監置用の座敷牢、ってやつか。まぁ古い家ならそうおかしなことじゃない」
「私宅監置、その意味がわかりますか?タカ子」
くるりと振り返った竜児が高瀬に尋ねる。
「えっと……。要するに病院とかに預けるんじゃなくて自宅で監視する…ってこと?」
「まぁ概ね正解でいいでしょう。1950年の精神衛生法の施行により禁止され、現在では違法となりますが、少なくとも昔の日本では合法的に行われていた処置のこと」
「座敷牢に閉じ込めるかぁ。なんかあれだよな、うぃ~おっかね」
「旧家に限らず、古い田舎では一族の中にそういった人間が出たことを意図的に隠そうとする風潮がありました。
まぁ、嫁入りや婿とりに不利になるという事情もあったのでしょうが、臭いものに蓋をするのはいつの時代も変わりませんね」
今さっき聞かされたばかりの事実をあっさりと受け止め、もしかするとその妹が「生きているかもしれない」前提を考え始める二人。
「でも、生きてるとしたら7歳からだから…。28年間だよ?そんなに長い間……」
誰にも知られずこっそり匿われている、などということがあるのだろうか。
「実際30年以上監禁されて周囲の誰にもその存在を知られなかった、とうい例もあります。不可能ではありませんよ」
「ああ、そういやアメリカなんかだと自分の子供をそれこそ十人近く監禁してたなんて事件もあったな。俺にゃ理解できねーや」
「理解する必要がありませんよ」
匙を投げたような賢治に対し、憮然とした表情の竜児。
主任はただ、自分が思い立った可能性がよりリアルなものとして浮かび上がったのか終始無言だ。
「それはともかく、弔いが行われていない可能性がある、というのは?」
「……葬儀もだが、室井家の墓所にあの子が安置された形跡がないんだ。地元の石屋にも尋ねたが、その記録は存在しなかった」
「それはおかしいですね……」
「生きてる可能性が高まった…か?けどそれはそれで面倒なことになるぜ?」
「僕は生きているとは思えませんがね…。まぁ、今の時点ではあらゆる可能性を否定するべきではないでしょう」
互いに話し合いながら、可能性を探っていく賢治と竜児。
高瀬は完全に蚊帳の外。ただ事ではないことだけは理解する。
「……依頼は、受けてもらえるのかな?」
「まぁ構わないけど、成功報酬はいくら出す?」
「……これくらいで。調査費は実費で構わないよ」
こっそり指で金額を示す主任。のぞき見ようとして「こら、やめなさい」と竜児に首根を掴まれる。
「悪くない仕事だな~。よし、この依頼受けた」
元から断るつもりなどなかったろうに、守銭奴とかした賢治がニンマリ笑って主任の肩をたたく。
「なんかまだ訳のわからないことでいっぱいなんだけど……」
3人とも、理解しているのが当然のごとく話を進めているが、まだ謎は山のように残されている。
「全部を知る必要がどこにありますか?」
「そうそ。依頼人の個人情報は守らなきゃな」
「……ごめんね、及川くん」
ちらりとこちらを見た主任も、それ以上詳しく話すつもりはなさそうだ。
『冥婚』に、『座敷牢』。
重すぎる話が二つも出て、既に頭の中はいっぱいいっぱいだ。
「そういえば及川くん……。谷崎のやつが連れてたっていう子供の霊、それはどこへ?」
「あぁ…。さっちゃんなら部長の所に」
タクシーの中までは一緒だったのだが、自宅に帰る時になってあっさりまた部長についていってしまった。
人形も一緒になくなっていたのだが、どうやって持って帰ったのだろう?少なくとも手には持っていなかったが。
「谷崎の所?しかし”さっちゃん”ってのは…」
「今日勝手につけた名前ですよ。あの子が会社にあった子供用の人形を気に入ったみたいなんで、その名前で」
「ああ、そういやあったな。おもちゃ会社から送られてきたやつが。適当にダンボールに突っ込んでおいたっけ」
「――犯人は主任ですか」
「いや、ただ単に忘れてただけなんだけどさ……」
それが巡り巡ってあの子の手元に渡るとは不思議な話だ。
「主任は、あの子が例の妹さんだと…?」
「俺には見えないからはっきりとは言えないが、君がいった特徴と俺の覚えてるあの子の姿がどうにもかぶって思えて…」
「着物姿の幼女?」
この時代に?という高瀬の疑問に気づいたのだろう。主任が苦笑する。
「あの子が7歳で死んだってのは聞いたろ?俺が最後にあの子を見たのは、あの子の7つのお祝い…。七五三の時の記憶なんだ」
「あぁ、なるほど……」
確かにありえない話ではない。
「地元の神社にお参りに行った帰りに近所の川に足を滑らせて落ちた。それが原因で肺炎をこじらせてなくなったと俺は聞かされてる」
もともと体の弱い子供だったから、疑問に思うことはなかった。
「後で……とりあえず顔を確認してみます?明日もきっと部長の側についていると思いますよ」
最もな提案だったが、それには主任が首を振る。
「正直、顔はもううろ覚えなんだ。写真も、探しては見たがあの子のものはろくになくてね」
記憶というのは美化されるもの。
確かに、はっきり本人だと言い切るのは難しいかも知れない。
「でも、あの子自身は主任の事を…」
「7歳の子が、28年も経過した幼馴染の顔を判別できると思うかい?」
「……無理、ですかね……」
つまり、あの子が主任の顔になんの反応も示さなくとも不思議ではない。
ならなぜ部長に興味を示したのかは未だ謎だが…。
「でも俺、タカ子なら何年たってもすぐにわかる自信あるぜ」
「ふむ。君ばかりではありませんよ賢治、僕だってそうです」
「二人共……」
さすが幼馴染、綺麗にまとめてくれたと思った次の瞬間。
「「タカ子は」」
「何年たっても大してかわりませんから」
「子供の頃からほとんど成長してねぇもん」
―――――ガッデム!!!
主任、かわいそうなものを見る目で見ないで!!
ヤケ気味な主任の答えに、「まぁ、想定内ですね」と軽く流す竜児。
「んじゃ、今回はその理由も含めて調査しろってことで?」
問いかけた竜児に対して、主任は首をふる。
「いや、理由はどうでも構わない。調べて欲しいのはふたつ。幸希が本当に亡くなったのか。亡くなっているのなら、その遺体がきちんと弔われているのかどうかだ」
―――――弔い?
「それ、どういう意味ですか主任」
本当に亡くなっているのか、なんて。
「言葉通りの意味だよ、及川くん。俺はあの子が亡くなったとは聞かされたけど、葬式に出た覚えがないんだ。
幼すぎて覚えていないのかと思って実家に確認したが、やはりあの子の葬式は行われていなかった。
――幼馴染だってのに、そんなことがあり得るかい?」
「……確かにそれはおかしいですね」
「ましてや室井家は旧家だぜ?そこの娘の葬式をやらないなんてことはありえないだろ」
「…ふむ。調べてみる価値はありそうですね。しかし幼い子供の死を偽装したのだとしたら理由はなんでしょうか」
「いろいろあんじゃねぇの…?それこそほら、古いお屋敷ってやつの…」
どう考えても、あまり良いイメージはもてない。
「俺の調べた限りじゃ、少なくとも生きてるとは思えなかったが……」
言葉を濁す賢治に、主任は続ける。
「子供の頃の記憶だが、あの家には座敷牢が存在するんだ。……最悪の場合、そこにあの子がずっと監禁されていた、ということも考えられる」
「……精神異常者の私宅監置用の座敷牢、ってやつか。まぁ古い家ならそうおかしなことじゃない」
「私宅監置、その意味がわかりますか?タカ子」
くるりと振り返った竜児が高瀬に尋ねる。
「えっと……。要するに病院とかに預けるんじゃなくて自宅で監視する…ってこと?」
「まぁ概ね正解でいいでしょう。1950年の精神衛生法の施行により禁止され、現在では違法となりますが、少なくとも昔の日本では合法的に行われていた処置のこと」
「座敷牢に閉じ込めるかぁ。なんかあれだよな、うぃ~おっかね」
「旧家に限らず、古い田舎では一族の中にそういった人間が出たことを意図的に隠そうとする風潮がありました。
まぁ、嫁入りや婿とりに不利になるという事情もあったのでしょうが、臭いものに蓋をするのはいつの時代も変わりませんね」
今さっき聞かされたばかりの事実をあっさりと受け止め、もしかするとその妹が「生きているかもしれない」前提を考え始める二人。
「でも、生きてるとしたら7歳からだから…。28年間だよ?そんなに長い間……」
誰にも知られずこっそり匿われている、などということがあるのだろうか。
「実際30年以上監禁されて周囲の誰にもその存在を知られなかった、とうい例もあります。不可能ではありませんよ」
「ああ、そういやアメリカなんかだと自分の子供をそれこそ十人近く監禁してたなんて事件もあったな。俺にゃ理解できねーや」
「理解する必要がありませんよ」
匙を投げたような賢治に対し、憮然とした表情の竜児。
主任はただ、自分が思い立った可能性がよりリアルなものとして浮かび上がったのか終始無言だ。
「それはともかく、弔いが行われていない可能性がある、というのは?」
「……葬儀もだが、室井家の墓所にあの子が安置された形跡がないんだ。地元の石屋にも尋ねたが、その記録は存在しなかった」
「それはおかしいですね……」
「生きてる可能性が高まった…か?けどそれはそれで面倒なことになるぜ?」
「僕は生きているとは思えませんがね…。まぁ、今の時点ではあらゆる可能性を否定するべきではないでしょう」
互いに話し合いながら、可能性を探っていく賢治と竜児。
高瀬は完全に蚊帳の外。ただ事ではないことだけは理解する。
「……依頼は、受けてもらえるのかな?」
「まぁ構わないけど、成功報酬はいくら出す?」
「……これくらいで。調査費は実費で構わないよ」
こっそり指で金額を示す主任。のぞき見ようとして「こら、やめなさい」と竜児に首根を掴まれる。
「悪くない仕事だな~。よし、この依頼受けた」
元から断るつもりなどなかったろうに、守銭奴とかした賢治がニンマリ笑って主任の肩をたたく。
「なんかまだ訳のわからないことでいっぱいなんだけど……」
3人とも、理解しているのが当然のごとく話を進めているが、まだ謎は山のように残されている。
「全部を知る必要がどこにありますか?」
「そうそ。依頼人の個人情報は守らなきゃな」
「……ごめんね、及川くん」
ちらりとこちらを見た主任も、それ以上詳しく話すつもりはなさそうだ。
『冥婚』に、『座敷牢』。
重すぎる話が二つも出て、既に頭の中はいっぱいいっぱいだ。
「そういえば及川くん……。谷崎のやつが連れてたっていう子供の霊、それはどこへ?」
「あぁ…。さっちゃんなら部長の所に」
タクシーの中までは一緒だったのだが、自宅に帰る時になってあっさりまた部長についていってしまった。
人形も一緒になくなっていたのだが、どうやって持って帰ったのだろう?少なくとも手には持っていなかったが。
「谷崎の所?しかし”さっちゃん”ってのは…」
「今日勝手につけた名前ですよ。あの子が会社にあった子供用の人形を気に入ったみたいなんで、その名前で」
「ああ、そういやあったな。おもちゃ会社から送られてきたやつが。適当にダンボールに突っ込んでおいたっけ」
「――犯人は主任ですか」
「いや、ただ単に忘れてただけなんだけどさ……」
それが巡り巡ってあの子の手元に渡るとは不思議な話だ。
「主任は、あの子が例の妹さんだと…?」
「俺には見えないからはっきりとは言えないが、君がいった特徴と俺の覚えてるあの子の姿がどうにもかぶって思えて…」
「着物姿の幼女?」
この時代に?という高瀬の疑問に気づいたのだろう。主任が苦笑する。
「あの子が7歳で死んだってのは聞いたろ?俺が最後にあの子を見たのは、あの子の7つのお祝い…。七五三の時の記憶なんだ」
「あぁ、なるほど……」
確かにありえない話ではない。
「地元の神社にお参りに行った帰りに近所の川に足を滑らせて落ちた。それが原因で肺炎をこじらせてなくなったと俺は聞かされてる」
もともと体の弱い子供だったから、疑問に思うことはなかった。
「後で……とりあえず顔を確認してみます?明日もきっと部長の側についていると思いますよ」
最もな提案だったが、それには主任が首を振る。
「正直、顔はもううろ覚えなんだ。写真も、探しては見たがあの子のものはろくになくてね」
記憶というのは美化されるもの。
確かに、はっきり本人だと言い切るのは難しいかも知れない。
「でも、あの子自身は主任の事を…」
「7歳の子が、28年も経過した幼馴染の顔を判別できると思うかい?」
「……無理、ですかね……」
つまり、あの子が主任の顔になんの反応も示さなくとも不思議ではない。
ならなぜ部長に興味を示したのかは未だ謎だが…。
「でも俺、タカ子なら何年たってもすぐにわかる自信あるぜ」
「ふむ。君ばかりではありませんよ賢治、僕だってそうです」
「二人共……」
さすが幼馴染、綺麗にまとめてくれたと思った次の瞬間。
「「タカ子は」」
「何年たっても大してかわりませんから」
「子供の頃からほとんど成長してねぇもん」
―――――ガッデム!!!
主任、かわいそうなものを見る目で見ないで!!
0
お気に入りに追加
968
あなたにおすすめの小説
淫らな蜜に狂わされ
歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。
全体的に性的表現・性行為あり。
他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。
全3話完結済みです。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
地味女で喪女でもよく濡れる。~俺様海運王に開発されました~
あこや(亜胡夜カイ)
恋愛
新米学芸員の工藤貴奈(くどうあてな)は、自他ともに認める地味女で喪女だが、素敵な思い出がある。卒業旅行で訪れたギリシャで出会った美麗な男とのワンナイトラブだ。文字通り「ワンナイト」のつもりだったのに、なぜか貴奈に執着した男は日本へやってきた。貴奈が所属する博物館を含むグループ企業を丸ごと買収、CEOとして乗り込んできたのだ。「お前は俺が開発する」と宣言して、貴奈を学芸員兼秘書として側に置くという。彼氏いない歴=年齢、好きな相手は壁画の住人、「だったはず」の貴奈は、昼も夜も彼の執着に翻弄され、やがて体が応えるように……
地味女だけど次期社長と同棲してます。―昔こっぴどく振った男の子が、実は御曹子でした―
千堂みくま
恋愛
「まりか…さん」なんで初対面から名前呼び? 普通は名字じゃないの?? 北条建設に勤める地味なOL恩田真梨花は、経済的な理由から知り合ったばかりの次期社長・北条綾太と同棲することになってしまう。彼は家事の代償として同棲を持ちかけ、真梨花は戸惑いながらも了承し彼のマンションで家事代行を始める。綾太は初対面から真梨花に対して不思議な言動を繰り返していたが、とうとうある夜にその理由が明かされた。「やっと気が付いたの? まりかちゃん」彼はそう囁いて、真梨花をソファに押し倒し――。○強がりなくせに鈍いところのある真梨花が、御曹子の綾太と結ばれるシンデレラ・ストーリー。○第15回恋愛小説大賞に参加しています。もしよろしければ応援お願いいたします。
ルピナス
桜庭かなめ
恋愛
高校2年生の藍沢直人は後輩の宮原彩花と一緒に、学校の寮の2人部屋で暮らしている。彩花にとって直人は不良達から救ってくれた大好きな先輩。しかし、直人にとって彩花は不良達から救ったことを機に一緒に住んでいる後輩の女の子。直人が一定の距離を保とうとすることに耐えられなくなった彩花は、ある日の夜、手錠を使って直人を束縛しようとする。
そして、直人のクラスメイトである吉岡渚からの告白をきっかけに直人、彩花、渚の恋物語が激しく動き始める。
物語の鍵は、人の心とルピナスの花。たくさんの人達の気持ちが温かく、甘く、そして切なく交錯する青春ラブストーリーシリーズ。
※特別編-入れ替わりの夏-は『ハナノカオリ』のキャラクターが登場しています。
※1日3話ずつ更新する予定です。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
お母様が国王陛下に見染められて再婚することになったら、美麗だけど残念な義兄の王太子殿下に婚姻を迫られました!
奏音 美都
恋愛
まだ夜の冷気が残る早朝、焼かれたパンを店に並べていると、いつもは慌ただしく動き回っている母さんが、私の後ろに立っていた。
「エリー、実は……国王陛下に見染められて、婚姻を交わすことになったんだけど、貴女も王宮に入ってくれるかしら?」
国王陛下に見染められて……って。国王陛下が母さんを好きになって、求婚したってこと!? え、で……私も王宮にって、王室の一員になれってこと!?
国王陛下に挨拶に伺うと、そこには美しい顔立ちの王太子殿下がいた。
「エリー、どうか僕と結婚してくれ! 君こそ、僕の妻に相応しい!」
え……私、貴方の妹になるんですけど?
どこから突っ込んでいいのか分かんない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる