異世界TS転生後、元の世界に召喚されたら前世の○○が夫になりました。

衝撃の真実

目覚める意識

会場にざわめきが広がった。
「セインさん…！？」
「悪いな、嬢ちゃん…」
突如として式に乱入してきたのは、みはるに剣を向けたセイン。
儀式用の刃引きされた剣ではなく、本物の。
「それがあなたの答えですか、セインさん…」
「あぁ、そうだ」
「ミハル…！！！」
舞台の袖からアイリーンが悲痛な声をあげる。
反対側で新婦の到着を待っていたリュートが自らも剣を抜き、ミハルのもとへ駆け寄ろうとするのが見える。

だが――――間に合わない。


きらりと光る刃。
振り返り見たリュートの白い婚礼衣装。

強すぎる既視感は、自身には存在しないはずの記憶を呼び覚まし、目覚めさせる。


『リュート…。あぁ、随分と大きくなった。とても良く、似合っている』


自分ではない自分が満足げに笑うのを、意識の片隅で聞いた。


あの時自分は間に合った。
だが、彼は間に合わないだろう。

それでも構わない。
最後に夢見たことは、こうしてかなったのだから。


走馬灯のように駆け抜けるのは、懐かしい記憶。


代わりに飲み込まれていくのは、ミハルとしての意識。


―――――リュート・・・・様。


セインがまた一歩、彼女への距離を詰めた。