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ブラック企業に勤める社畜OLが異世界トリップして騎士の妻になるそうです
幸せの定義
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「解せん」
…何がと言われれば、何もかもが、である。
結局、アイリーンには何も話を聞くことなくお引き取り願った。
物事には多様性があり、一方から話を聞いただけでは全容はわからない。
先入観を持つことによって真実を見過ごしてしまうこともある。
―――そんな理屈をこねて、結局はただ話を聞くのが怖かった、それだけの話だ。
話を聞いたら、何かが変わってしまう。
そんな予感がした。
それに、どうしてもセインがリュートの父親を殺した、という話には納得が行かなかったのだ。
セインの父親が王族をかばって死んだ、このことはおそらく事実である。
なら、アイリーンの言ったセリフは、おそらくそのままの意味の言葉とは少し違っているはず。
もしセインが隠している何かによって、リュートの父親がそう行動せずにはいられなくなったのだとしたら…そんな話、聞く前から嫌な予感しかしないではないか。
王族をかばって死ななければならない秘密。
そんなもの、知らない方が幸せに決まっている。
第一、セインの事は信頼こそできないものの、悪い人間ではないとは感じていた。
行動の原点にあるのは、おそらくリュートに対する強い”情”なのは間違いない。
ただそれが本当に”親友の遺児”とうだけのものなのかといえば…どうも違うような気がするのだ。
「…聞かないって決めたんだから、考えてもしょうがない!」
パンっと自分の頬を両手ではさみ、自分で自分に喝を入れる。
きっかけがなんであろうが、結婚を決めたのは自分だ。
昨日、本当に自分でいいのかと問うたみはるに対するリュートの答え。
「君だから選んだ。他にはいらない」
―――それだけで、もう十分じゃないか。
正直悶え死ぬかと思った。
据え膳食わぬは男の恥、とは言うが、この場合据え膳の上に目の前で「あ~ん」されているようなもの。
これでグダグダ言うようでは、まさに女が廃る。
腹を決めろと言われた気がした。
それに、これは自惚れかもしれないが。
もし、今ここで「やっぱり結婚やめます」と言い出したら、それこそ即効で既成事実を作られた挙句にその場で結婚の流れに持って行かれそうな気がするのは…多分気のせいではない。
それこそ監禁凌辱エンドの幕開けではないか。
ちなみにその場合でも、結局すぐに和姦になることは必至である。
しかも普段からあまり領主館から出ることもないため、監禁されても別に問題ない。
ハッ。
あらためて気づけば。
「なんてちょろいんだ、自分…」
まぁ、なんてことでしょう。
―――驚きのチョロさ。
だが実際問題、みはるが監禁されたとして、その事に気づくのはせいぜいアイリーンくらいなものだろう。
しかもそのアイリーンはみはるとリュートとの結婚を望んでいる。
たとえ監禁に気づいたところで、黙って口をつぐむくらいしそうだ。
…まぁ、本当にヤバイ状態になれば助けてくれるとは信じているが。
「ってか、リュート様ならたとえ監禁してもひどいことしそうにないし。
逃げる気なくなるまでドロドロに甘やかされそう」
―――最悪、孕むまで犯されるくらいなもので。
乙。
チーン、と頭の中で鐘がなるのを聞きながら、すっかりエロゲのヒロインポジにいる自分に乾いた笑いが漏れる。
だが、それも幸せな気がすると思ってしまうあたり、逃げる気など既に皆無だ。
「うん、幸せ」
家族ができる。
彼と家族になれる。
それだけで、そこにどんなリスクがあろうと容認できる。
―――たとえ、それが理由で殺されたとしても。
そこまで考え、「あれ…?」と、ふと違和感に襲われる。
ちょと待て。
昨夜セインは、ミハルがセインの元へ何らかの目的をもってやってきたスパイ、もしくは暗殺者の類だと確実に勘違いしていた。
その誤解が解けたあとは、特に二人の結婚に対してなにか意義を唱えるようなこともなかったではないか。
もちろん、腹の中で何を考えているかなどわからないが、少なくとも敵意はなかったように思える。
ならば殺される理由があるのは、みはるではなく―――。
「リュート様が、誰かに命を狙われてる…?」
だとしたら、大変ではないか。
本当に、アイリーンから何も話を聞かなくて良かったのか…?
思いついてしまった答えに、つい先ほど決めたばかりの決心が容易く揺らぐ。
「リュート様に、直接聞く…?」
それが確実ではあるが、恐らく悪手だろう。
確実な手段としては、もう一つ。
「…セインさんに、聞く」
張本人を、捕まえる。
だが、それも本当に正しいといえるのか。
「!そうだ」
ならばいっそ―――――――。
…何がと言われれば、何もかもが、である。
結局、アイリーンには何も話を聞くことなくお引き取り願った。
物事には多様性があり、一方から話を聞いただけでは全容はわからない。
先入観を持つことによって真実を見過ごしてしまうこともある。
―――そんな理屈をこねて、結局はただ話を聞くのが怖かった、それだけの話だ。
話を聞いたら、何かが変わってしまう。
そんな予感がした。
それに、どうしてもセインがリュートの父親を殺した、という話には納得が行かなかったのだ。
セインの父親が王族をかばって死んだ、このことはおそらく事実である。
なら、アイリーンの言ったセリフは、おそらくそのままの意味の言葉とは少し違っているはず。
もしセインが隠している何かによって、リュートの父親がそう行動せずにはいられなくなったのだとしたら…そんな話、聞く前から嫌な予感しかしないではないか。
王族をかばって死ななければならない秘密。
そんなもの、知らない方が幸せに決まっている。
第一、セインの事は信頼こそできないものの、悪い人間ではないとは感じていた。
行動の原点にあるのは、おそらくリュートに対する強い”情”なのは間違いない。
ただそれが本当に”親友の遺児”とうだけのものなのかといえば…どうも違うような気がするのだ。
「…聞かないって決めたんだから、考えてもしょうがない!」
パンっと自分の頬を両手ではさみ、自分で自分に喝を入れる。
きっかけがなんであろうが、結婚を決めたのは自分だ。
昨日、本当に自分でいいのかと問うたみはるに対するリュートの答え。
「君だから選んだ。他にはいらない」
―――それだけで、もう十分じゃないか。
正直悶え死ぬかと思った。
据え膳食わぬは男の恥、とは言うが、この場合据え膳の上に目の前で「あ~ん」されているようなもの。
これでグダグダ言うようでは、まさに女が廃る。
腹を決めろと言われた気がした。
それに、これは自惚れかもしれないが。
もし、今ここで「やっぱり結婚やめます」と言い出したら、それこそ即効で既成事実を作られた挙句にその場で結婚の流れに持って行かれそうな気がするのは…多分気のせいではない。
それこそ監禁凌辱エンドの幕開けではないか。
ちなみにその場合でも、結局すぐに和姦になることは必至である。
しかも普段からあまり領主館から出ることもないため、監禁されても別に問題ない。
ハッ。
あらためて気づけば。
「なんてちょろいんだ、自分…」
まぁ、なんてことでしょう。
―――驚きのチョロさ。
だが実際問題、みはるが監禁されたとして、その事に気づくのはせいぜいアイリーンくらいなものだろう。
しかもそのアイリーンはみはるとリュートとの結婚を望んでいる。
たとえ監禁に気づいたところで、黙って口をつぐむくらいしそうだ。
…まぁ、本当にヤバイ状態になれば助けてくれるとは信じているが。
「ってか、リュート様ならたとえ監禁してもひどいことしそうにないし。
逃げる気なくなるまでドロドロに甘やかされそう」
―――最悪、孕むまで犯されるくらいなもので。
乙。
チーン、と頭の中で鐘がなるのを聞きながら、すっかりエロゲのヒロインポジにいる自分に乾いた笑いが漏れる。
だが、それも幸せな気がすると思ってしまうあたり、逃げる気など既に皆無だ。
「うん、幸せ」
家族ができる。
彼と家族になれる。
それだけで、そこにどんなリスクがあろうと容認できる。
―――たとえ、それが理由で殺されたとしても。
そこまで考え、「あれ…?」と、ふと違和感に襲われる。
ちょと待て。
昨夜セインは、ミハルがセインの元へ何らかの目的をもってやってきたスパイ、もしくは暗殺者の類だと確実に勘違いしていた。
その誤解が解けたあとは、特に二人の結婚に対してなにか意義を唱えるようなこともなかったではないか。
もちろん、腹の中で何を考えているかなどわからないが、少なくとも敵意はなかったように思える。
ならば殺される理由があるのは、みはるではなく―――。
「リュート様が、誰かに命を狙われてる…?」
だとしたら、大変ではないか。
本当に、アイリーンから何も話を聞かなくて良かったのか…?
思いついてしまった答えに、つい先ほど決めたばかりの決心が容易く揺らぐ。
「リュート様に、直接聞く…?」
それが確実ではあるが、恐らく悪手だろう。
確実な手段としては、もう一つ。
「…セインさんに、聞く」
張本人を、捕まえる。
だが、それも本当に正しいといえるのか。
「!そうだ」
ならばいっそ―――――――。
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