37 / 69
うらにわのこどもたち2 それから季節がひとつ、すぎる間のこと
世界の断片・2
しおりを挟む
白。
白。白。白。
白い群れ。期待と、希望と、幸福に満ちた人々の群れ。自らの正しさを信じてやまない人達。自らの行いの正しさを疑わない人達。
彼等には見えていないのだ。盲ている事にすら、気付いていないのだ。傲慢は大罪だと習わなかったのだろうか。方舟を造っているつもりのその手で、パンドラの箱を開けようとしている。
彼等だけではない。彼等を支持する全てのものが、思考をやめ、熱に浮かされたように己の幸福を夢見ているのだ。
救いようがない。救われようがない。
今までずっとそうであったように、これからもずっとそうなのであろう。このどうしようもない生き物達は、幸福を信じながら不幸を生み出していくのだろう。人類史に学ばなかったのか。そうやって幾度となく生まれた不幸を。犠牲を。破滅の道を進んだ末路の悲惨さを。
じっと、目の前に広がる光景を見つめる。
白い世界。禁忌を禁忌と恐れることなく、その先に幸福が確約されていると、此処にいる誰もが信じている。子供達の笑い声。大人達の笑い声。
……誰かが言った。素晴らしいと。誰かが言った。再び楽園は訪れると。
そうなのだろうか。表層の色に惑わされているのではないだろうか。それとも、自分の感覚が、他者のそれとは違うのだろうか。
自分には目の前に広がる光景が、欲にまみれた亡者の群れにしか見えない。
白。白。白。
白い群れ。期待と、希望と、幸福に満ちた人々の群れ。自らの正しさを信じてやまない人達。自らの行いの正しさを疑わない人達。
彼等には見えていないのだ。盲ている事にすら、気付いていないのだ。傲慢は大罪だと習わなかったのだろうか。方舟を造っているつもりのその手で、パンドラの箱を開けようとしている。
彼等だけではない。彼等を支持する全てのものが、思考をやめ、熱に浮かされたように己の幸福を夢見ているのだ。
救いようがない。救われようがない。
今までずっとそうであったように、これからもずっとそうなのであろう。このどうしようもない生き物達は、幸福を信じながら不幸を生み出していくのだろう。人類史に学ばなかったのか。そうやって幾度となく生まれた不幸を。犠牲を。破滅の道を進んだ末路の悲惨さを。
じっと、目の前に広がる光景を見つめる。
白い世界。禁忌を禁忌と恐れることなく、その先に幸福が確約されていると、此処にいる誰もが信じている。子供達の笑い声。大人達の笑い声。
……誰かが言った。素晴らしいと。誰かが言った。再び楽園は訪れると。
そうなのだろうか。表層の色に惑わされているのではないだろうか。それとも、自分の感覚が、他者のそれとは違うのだろうか。
自分には目の前に広がる光景が、欲にまみれた亡者の群れにしか見えない。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
1 / 3
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる