21 / 23
女王様のご奉仕・1 ※
しおりを挟む「優弥? 優ちゃ~ん?」
イッた途端に、力が抜けた優弥の名前を千歳は何度か呼んでみる。
だが、閉じられた優弥の瞳が開くことはない。
「ん~、感じすぎちゃったかな」
温めの温度に設定して、千歳は自分と優弥の身体の表面からオイルを洗い流した。
和彦からもらったオイルは、本人が太鼓判をおすくらいの効果が……実際にあった。
千歳自身はオイルを使ったわけではないが、優弥の身体に塗られたオイルの触れた箇所が、さっきまで人肌を求めて疼いていた。
優弥に触れることが気持ち良くて、離してあげられなかったのだ。
こんな感覚を、優弥がしばらく後ろで感じなければいけないのかと思うと、ちょっと可哀想な気もしたがせっかくオイルで解れた後ろを洗い流してしまうのも、もったいない気がする。
「ごめんな。その分、気持ち良くさせてやるから」
千歳は優弥の額にキスをしてそう謝ると、自分の身体をタオルで軽く拭く。
そして、もう一枚のバスタオルで優弥の身体を包み、部屋へと抱き抱えて行った。
部屋に戻り、抱き抱えていた優弥を千歳はそっとベッドへと下ろす。
そして、ペットボトルの水を一口、口に含むと、ゆっくり優弥の唇に注いでいく。
「ん……」
何回かそれを繰り返していると、優弥の瞳がゆっくりと開かれた。
「気がついた?」
千歳がそう聞くと、優弥は何度かまばたきをしながら身体を起こした。
「あ、俺……?」
「お風呂場で二回目にイッた後、気失ったんだよ」
状況が飲み込めずポカンとしている優弥に千歳がそう説明すると、急にさっきまでの記憶を思い出したのか、優弥は途端に真っ赤な顔をして布団で身体を隠してしまった。
「なんで隠すの?」
「なんでも!」
布団を引きはがそうとする千歳と、それを拒む優弥とでしばらく布団の引き合いが行われる。
(なんで優弥はこんなに可愛いんだろう? 普段も充分に可愛いけど、やっぱりヤッてる時が一番、可愛い)
優弥は全身で千歳を好きだと訴えてくるくせに、いざとなると初めて抱かれるかのような反応をする。
そんな優弥とのやり取りを千歳が楽しんでいると、突然優弥の身体がビクッと跳ねた。
そして、シーツをギュッと掴み何かに耐えているような表情をしている。
「どうした?」
千歳が優弥の肩に触れ、そう聞いた時だった。
「あっ……」
優弥の口から甘い声が小さく漏れた。
「もしかして……後ろ、ツライ?」
考えられるとしたら、さっき後ろに塗ったオイルが媚薬効果を発揮しだしたということだろう。
予想通り、千歳の問いに優弥は恥ずかしそうに俯いてしまう。
充分にオイルを使って解したから、きっとすぐにでも入れてほしくて疼くのだろう。
「入れてあげる代わりに……」
千歳は優弥の耳元へと唇を寄せると囁く。
「俺の……舐めて」
そう言って優弥の耳に千歳が軽く噛み付くと、優弥は小さく喘いで身体を震わせた。
これまで何度も肌を重ねたけれど、一度も優弥が千歳のを舐めてくれたことはなかった。
今までは自分が優弥に奉仕すると千歳は考えていたし、それを優弥に強要もしたくなかったからだ。
でも、優弥も自分のことを好きでいてくれるのなら多少の我が儘も聞いてくれるかもしれない。
もっとも、媚薬効果でツライ状態の優弥に言っている時点で強要しているも同然だが。
優弥が戸惑うように、千歳を見上げてくる。
千歳は優弥を安心させるために、肩を抱いて額に優しくキスをする。
「あのオイルならバニラ味だから、大丈夫だよ」
千歳がそう言うと、優弥は少し躊躇った後に小さく頷いた。
それを確認した千歳は優弥の抵抗を少しでも無くすためにオイルを手に取り、自分自身へと垂らしていく。
途端にオイルの冷たい感覚と、バニラの甘い香りが千歳の部屋へと広がる。
「優弥、出来るか?」
千歳が再度、確認すると優弥はそっと千歳自身へと手を添えてきた。
「やって……みる……」
そう言って、優弥は少し舌を出すと恐る恐るといった感じでそこに顔を近づけた。
「んっ」
優弥の舌先が一瞬、触れたかと思うと驚いたのかすぐに離れてしまった。
だが、勇気を出して優弥は再度、舌を当て直す。
たどたどしく優弥の舌が数回動くのを感じる。
「平気?」
千歳が聞くと優弥は口はそのままで答える。
「本当にバニラの味がする。甘い」
オイルのバニラ味で抵抗が和らいだのか、優弥の舌先が段々と大胆になってきた。
一生懸命に舐めているその姿は、まるで子猫がペロペロとミルクを舐めているようで、愛おしさが増してくる。
「んっ……」
千歳が小さく声を漏らすと、口を離した優弥が心配そうに聞いてくる。
「感じてくれてる?」
潤んだ上目遣いでそう聞かれ、千歳の心も自身も熱くなる。
「うん、気持ちいいよ」
あの優弥が自分のを舐めてくれている。
その事実だけで、千歳は充分感じていた。
千歳の言葉に安心したのか、優弥は舐めるのを止めてその小さな口に千歳のを含んだ。
「無理に全部入れようとしなくてもいいよ……それから、歯はたてないようにね」
頭を撫でながら千歳がそうアドバイスすると、優弥は声が出せない代わりに何度も頷く。
その拍子に優弥の歯が微かに当たるのが気持ちいい。
「んっ……ふぅ……」
優弥は出来る限り口を大きく開いて含むと、舌と唇で刺激してくる。
口に含みきれない部分には指を絡めてきた。
「初めてにしては……上手だよ、優弥」
千歳が褒めたことに気をよくしたのか、優弥は自分の身体のことも忘れるくらい一生懸命にそこを愛撫することに集中していた。
手持ち無沙汰だった千歳は、つい、悪戯心が働いて優弥のお尻を撫であげてしまった。
「んっ、んんぅ!」
「……っ……」
忘れていた後ろの感覚を思い出したのか、苦しそうに優弥が喘いだ瞬間、優弥の歯が千歳自身にたてられた。
その僅かな痛みが逆に刺激となり、千歳は優弥の口の中でさらに自分の存在を主張してしまう。
「……んっ、お前……いきなり、大きく……」
口の中で大きくなった千歳を啣えていられなくなった優弥は、涙目になって咳き込んだ。
「ごめん。いきなり、優弥が歯をたてるもんだから反応しちゃって」
咳き込む優弥の背中を擦りながら言った千歳の言葉に、優弥は真っ赤になって反論してきた。
「馬鹿っ! お前が急に撫でるからだろ」
「だから、ごめんって……優弥が舐めてくれただけで嬉しくて」
そう言ってさっきまで奉仕してくれていた優弥の唇や舌を労るように、優しく啄むようなキスを千歳は繰り返す。
0
スマホからの推敲作業を行っているため、1話分が4000字未満になっています。パソコン派の方には短いと思いますが、ご了承ください。
お気に入りに追加
48
あなたにおすすめの小説

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン彼氏は警察官!甘い夜に私の体は溶けていく。
すずなり。
恋愛
人数合わせで参加した合コン。
そこで私は一人の男の人と出会う。
「俺には分かる。キミはきっと俺を好きになる。」
そんな言葉をかけてきた彼。
でも私には秘密があった。
「キミ・・・目が・・?」
「気持ち悪いでしょ?ごめんなさい・・・。」
ちゃんと私のことを伝えたのに、彼は食い下がる。
「お願いだから俺を好きになって・・・。」
その言葉を聞いてお付き合いが始まる。
「やぁぁっ・・!」
「どこが『や』なんだよ・・・こんなに蜜を溢れさせて・・・。」
激しくなっていく夜の生活。
私の身はもつの!?
※お話の内容は全て想像のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※表現不足は重々承知しております。まだまだ勉強してまいりますので温かい目で見ていただけたら幸いです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
では、お楽しみください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる