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その他
かつての恨みか恋か ②
しおりを挟む〈鳥喜視点〉
不運なことに小雨がぱらつき出す。体育で外に出てくる生徒は皆無だ。
「はあっはあっ。はあ……はあ」
触られてないのに身体が痙攣する。赤い乳首はピンと立ち、肌には汗が浮かんでいた。
「もう、あ。なん、で……」
「うわー。チョー先輩のこんな顔が見れるとはな」
「この人あほだなといつも思ってたけど。エロい顔出来んじゃ~ん」
とんがりを掠るように乳首を撫でられ、一際大きく跳ねる。
「んう」
下着はもうぐちゃぐちゃだった。受け止めきれなかった汁が、太ももを伝っている。
イく寸前で止められ、我慢できずに自分から腰を揺らしてしまう。
「ああ、ん、はあ……!」
ギッギッと跳び箱が音を立てる。
「うわ。見ろよ。自分から誘ってるぜ」
「気持ち良くなっちゃった、ってか?」
赤璃が下着をするっとずらす。独特なにおいが漂う。
「ビチャビチャだな。チョー先輩よぉ」
「うっ……。見る、な」
「こっちはギンギンじゃねぇか」
「んあ!」
ペニスを握られ、大きくのけ反った。瞳はもう虚ろだったと思う。
「ん、あっ」
「まずは一回、イかせてやるよ。そうしたら次はアンタが俺たちの言うことを聞く番だぜ? 鳥喜さん?」
小刻みに震えつつ首を横に振るが、赤璃が手を上下に動かすとあっという間だった。彼の大きな手に擦られると気持ちが、良い。
脳内で快感が炸裂する
「アッ、あ、あ……~~~ッああぁ……っぐ、ああ!」
人が見ている前で射精してしまう。疲労と無理な体勢に縛られている痛みから気を失ってしまいたかったが両乳首を抓られ、無理矢理目を開かされた。
「ひゃう!」
「いい声で鳴くようになったじゃないですか。どうします? このまま放置してもいいんですけど」
赤璃くんが顔を近づけてくる。何が楽しいのか、笑顔だ。だがその笑顔が恐ろしく感じる。
あんなに気のいい子だったのに。
「ぁ、あう」
「嫌ですよねー? 放置されたら。この醜態をたくさんの生徒に見られるかも知れないし? 写真撮られるかも知れないなあ?」
「んっ」
写真撮られると想像すると身体が熱くなった。いやだ。こんなところ。見られるなんて。
「……やだ」
「ですよね? じゃあ、俺たちの言うこと聞くって誓ってもらいましょうか。いま、ここで」
そ、そんな。
震え出す俺を見て、お仲間が笑っている。
なかなか返事しない俺に、赤璃くんが仲間に目線をやった。
「おい。鳥喜さんが返事しやすいようにしてやれ」
「「うす!」」
楽しいのか二人の返事が重なる。
「や、いやだ」
首を振るが何の意味も効力も無い。
「じゃ、これで遊びましょう」
隅っこに隠していた鞄を引っ張ってくる。その中には謎の器具がぎっしり詰まっていた。
「なに、それ……?」
「ローターですよ。知ってるでしょ?」
「これを乳首と股間にセットしてあげます。あ、もちろんナカにもね。俺たちの下僕になりたくなったらいつでも言ってください」
「……」
ガチガチと歯同士がぶつかる。
赤璃くんはひとつローターを受け取ると、ローションを指に塗りたくった。
「力抜いてくださいね」
「っあ!」
尻の穴にローションを塗り込んでいく。本当に、本当にローターとやらを入れる気なのか。
「やめ、あっ」
そちらにばかり意識をやっていると、ペニスを掴まれる。ローターをテープで括りつけていく。先っぽと、根元に。ふたつ。
「こういうプレイ用のテープなんで、濡れたおちんちんにもくっつくんですよー。先輩のこの、びっちゃびちゃのおちんちんにも」
わざと言葉にされ、羞恥から聞きたくないと無意識で首を振った。
「やだ。やだ」
「お胸にもつけますよー」
「やだぁ!」
身をわずかに捩るが乳首に冷たいおもちゃを押し当てられ、ぺたっとテープで留められる。
「ん!」
「はい。こっちの乳首にも」
「もうやめ、て」
「まだスイッチも入れてませんよ? 鳥喜さん」
「う、アアッ!」
ぐちゅっと、ナカに玩具が入れられる。
「あ、あ。やだ。やだ。あ、赤璃くん、やめ」
「そんな先っぽから汁垂らされながら言われてもね。期待してるんでしょ? チョー先輩」
鼻で笑われ、にちゅにちゅとナカが押し広げられていく。
「んあ、はあ! あ、ああ」
「おい。入れただけでイかないでくださいよ? 出すモノなくなっちゃいますよ」
どっと笑いだす三人。
着実に、「準備」が整っていく。
「やだ。やめて。なんで? なんでこんなことすんだよ」
「さあー? 先輩がエロいからじゃないですかね?」
適当な返事しか返ってこなかった。
「んっ!」
勢いよく指を引き抜かれ、軽くイってしまう。
「あ、はあ、はあ……ぅう」
完全にイけなくてつま先まで震える。
「イくなっていっただろ? いけない先輩だな」
「こりゃあ躾けてやらないと駄目ですね」
「まったくだな。この倉庫は校舎から離れてる。……好きなだけ泣き喚いていいぜ? 鳥喜さん」
無情にも赤璃くんがスイッチを押した。
ブウウウと振動を始める玩具。両胸、先っぽと根元。ナカが同時に刺激され、あっけなくイった。ぱたたっと、腹の上と床に白い水滴が落ちる。
「んはあ! ああああーッ! とめ、どめでえええ」
「はは。良い悲鳴だぜ」
「うわー。めっちゃ身体動かしてるのに。意味ないのかわいそー」
視界が、チカチカと、点滅している。なにこれ?
イったばかりで敏感になった先っぽを、玩具が容赦なく刺激してくる。
「いや! いやあああああ! あかり、ああっ! んううう」
「すーげ。ビクンビクンしてるな」
気まぐれにツンッと脇腹をつつかれ、「きゃあっ」と悲鳴が上がる。俺の声、なのか……? 今の。
「うう、アアアッ! んく、んぐううう。いやあああ―――」
「『きゃあ』だって。先輩の癖に可愛いですね。先輩の癖に」
「二回言うなって」
「やめ、やめで! アッ、ん、きゅうううっ、んっはあ!」
「あ、またイった」
ぴゅぴゅっと、薄くなった液が発射してしまう。もう、自分の意志ではどうにもならなかった。叫ぶことしかできない。
「とめて! とめてもう嫌!」
「止めてほしかったら、なんて言うんでしたっけ?」
赤璃くんがローターの上から、胸をぐっと押してくる。
視界が、白に染まった。
「―――ッ、ああ、あ……」
「これで何回目だ? イきすぎですよ。先輩」
「……はっ、あ、あが、う、ぐ」
腰がガクガクと浮くが、スイッチはマットの上に放置されたままだ。
「意外としぶといっすね。全員でくすぐってあげましょうか」
「お。いいな、それ」
「いやー。先輩漏らしちゃうんじゃね?」
いやだいやだいやだいやだ!
拒みたいのに、俺の口はもう、意味のある言葉を発しなくなっている。
「う、あ……。あう、あう」
「あーあ。泣いちゃったな」
「もっと泣かせてやるよ」
涙が零れ落ちるが、それに同情してやめてくれるはずもなかった。
六つに増えた手が肌を這いまわる。
「ああっ! いやだああ。こわれ、ひゅう!」
「壊れても良いですよ」
「弱いのここでしたよね?」
首筋を指でツゥーッとなぞられ、身体をめちゃくちゃに捩る。
「やめてっ、いやあ!」
「脇腹も弱かったな」
「ああんぐっ、ああやだ。あああ! 壊れる! いやだいやだぁああっ」
耳の上に冷たい滴が流れていく。視界は滲み、自分を見下ろす三人の顔もよく見えない。
「あーあ。びちょびちょだな」
太ももを撫でているのは、赤璃くんだろうか。もう頭の中がぐちゃぐちゃで、なにも……。
気持ちいい。気持ち、いい。
「やめて! おねが、いやあああ! もう、いやっ、あああ! んん」
イったのに、何も出なかった気がする。ただ身体が壊れたように痙攣するだけ。
「あが。ん、んぐ。め、てぇ……」
「よだれまで垂らしちゃって。可愛いですね」
誰かがペニスに付いているローターを外していく。もしかして、これで終わってくれるのだろうか。ほのかに期待したが、現実は冷たくのしかかってくる。
「ローターは飽きたでしょうから、しゃぶってあげますよ。最後の一滴まで、吸いつくしてやる」
「……あがり、ぐん……?」
俺の左右にいる子たちが手を叩いて囃し立てている。たのしそう、だ。
「いただきます」
「やめ」
制止の言葉はなんの意味もなかった。ドロドロになったそれに誰かがしゃぶりつく。
ナカと身体の外に付いているローターに加え、じゅるるるっと強く吸われ、簡単に意識を手放した。
「…………チョー先輩?」
「気絶しちゃいましたね……」
☆
ふと目を覚ますと白い天井だった。明るい。
身体がすごくだるく、頭が痛い。
「?」
悪夢から解放されたのだろうか? 自分の肢体を確認すると、跳び箱に縛り付けられてなかった。肌触りの良い生地の寝間着に身を包み、ふわふわなシーツの上で横たわっている。
もしかして死んだのかと一瞬思ったが、縛られていた手足の痛みが現世だと教えてくれた。
「いてててて……」
身じろぎすると、数人が走ってきた。
「お。起きましたか、チョー先輩」
「体調はどうですか?」
「一応身体は拭いたんですけどー。気持ち悪いとこ、あります?」
赤璃くんとお仲間二名が覗き込んでくる。彼らの手に車のハンドルのようなものが握られていたので、リングフィッ〇アドベンチャーで遊んでいたのだと知れた。
俺が手を摩っているのを見て、お仲間が救急箱を持ってきてくれる。
「やっぱ縄は怪我させちまうか」
「ファー付きの手錠とかって、あるみたいっすよ?」
「へえ。いいじゃん」
なにやら、恐ろしいことを言いながら手当てしてくれた。下手くそな絆創膏を見て、少し痛みが和らぐ。
「あり、ありがと、ね」
「よくお礼言えましたね。……そんなとこも、好」
ガチャっと、ノックも無く扉が開いた。
入ってきた人物に、目を零さんばかりに開く。
「トリィ?」
「兄貴。具合はどう? ……手、怪我したんだ」
何かを含んだ瞳を向けられ、赤璃くん除く二人が青い顔で抱き合っている。
「どうして? ここ、どこ?」
「赤璃さんの家。倉庫で兄貴と彼らが宴してたから驚いたよ」
トリィが助けて、くれたんだろうか。じゃあ、あの痴態も見られたってことか。死にたくなるから考えないでおこう。
重い身体を起こす。
「ぐ、いでで」
「ああ。無理しないでいいよ。ずっと変な体勢? で縛られていたんだし? 痛むでしょ」
ベッドに腰掛け、トリィがそっと背中を支えてくれる。
「……赤璃くんの家。めっちゃキレイだね」
「今言う感想がそれかよ」
弟が呆れている。だって! 女子部屋並みの清潔感だよ。女子の部屋知らんけども。
「疲れた……」
弟の胸にもたれかかる。トリィのにおいに安心して泣きかけた。
俺の右隣に赤璃くんが座る。
「もうちょっとだったのに」
「鳥丸さん。現役時代の先輩みたいに怖かったっすよ」
「思い出したくねぇ」
赤璃くん以外は戦意喪失している。でもトリィと赤璃くんの間では火花が散ってる気がした。
「……兄貴」
「ふへ?」
気の抜けた返事をすると、顎を掴まれ目線を合わせられる。
「どうし、っ」
最後まで言えず、キスされる。
「……―――?」
なんで? なんでお前まで、こんなことするの?
悲しくなったが、じわじわと股間が反応し、身体が疼いてくる。
「んっ、ん」
「ん? キスだけで発情しちゃった?」
「ば、なにを……」
困惑していると後ろから手が伸びてくる。それに驚く暇もなく、両胸を揉まれた。
「ひゃうん!」
「あ。まだまだ感じてるっぽいっすね」
「ちょっと。俺の兄貴なんだけど」
腕を掴みトリィが引き寄せようとするが、赤璃くんは俺を抱き締めたままだ。
「「……」」
二人の火花が可視化されるほどに激しさを増し、お仲間二名はすみっコぐらししている。
「んあ、ん、あっ」
「すっかり胸で感じるようになっちゃいましたね。それとも、元から、ですか?」
「ちょ! 揉まな、揉むのやめ、ん」
手に力が入らない。
助けを求めて弟を見る。近づいてきてくれたトリィにホッとしかけ……
「! う」
唇を重ねられる。
「なん、で?」
トリィはぺろりと唇を舐め、妖艶に笑う。
「ごめん。兄貴が美味しそうで。うわ!」
赤璃くんの腕が、トリィごと抱きしめてくる。俺とトリィがぴったりと抱き合う形になった。
「「ちょっと!」」
「兄弟でハモらないでくださいよ。大丈夫です。俺、弟さんの方に興味ないんで」
それなら安心――とは、ならんのよ?
「俺にも興味、持たなくていいから!」
「そうはいきませんね」
「なんで? あっ、そんな、とこっ!」
脇腹をくすぐってくる。
いやだ。弟にこんな姿見せたくない。必死に赤璃くんの腕を掴む。
「やめろ!」
「兄貴の浮気者。俺以外に、そんな声聞かせるなんて」
「アアッ」
ぷくっと膨れてきた乳首を掴まれ、大きくのけ反る。赤璃くんに完全にもたれる形になってしまった。
「やめ、やめてぇ。なんで、こんな。ふたりして……うっ」
鳥丸が赤璃くんを睨みつける。
「泣かせるなんてサイテー」
「いやいや。鳥丸さんも同罪では?」
「とにかく、やめ! ンッ。触るの、やらああ」
二人はケンカしながら俺に触れるものだから、アンアン喘がされた。逃げようにも二人がかりで取り押さえられているので、ベッドの上でもがくしかない。
「とり、トリィ……。たす、けて……アッ」
「じゃあ。俺の方が好き?」
「へ?」
「いえいえ。俺ですよね? チョー先輩」
「は?」
「水分補給させてあげましょうよ~」
「お菓子も持ってきたっすよ」
お仲間が人数分のコップとお菓子を持って入ってくる。いつの間に。でも助かった。これで終わり……
「仕方ない。小休止をはさもうか。ね? 兄貴」
え? 終わりじゃないの?
「先輩。俺の家なんで、逃げられると思わないでくださいよ?」
ふえええ? おま、お前は何を言ってるんだ?
二人が飲み物を取りにベッドから降りる。
俺は一息ついて身を起こした。服がもうぐしゃぐしゃだよ。
「兄貴。ジュース。口移しで飲ませてやろうか?」
「お菓子も食べさせてあげますよ?」
「いらんいらんいらん! 普通にくれ!」
俺の要望は何一つ通らず、またもやベッドの上にひっくり返された。
【おしまい】
オマケ
兄貴の鳥喜は弟のトリィ君にバレずに観察しているつもりでしたが、兄が弟を観察している時、弟君も兄を観察していました(つまりとっくに尾行がバレてました)。
兄貴が倉庫に向かうのが見えたので、従業の終わりにすっ飛んできてくれました。
学校から近い赤璃くんの家にしぶしぶ運んで休ませることに(授業全員サボり)。
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