BL短編

水無月

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兄弟

彼女ともセフレとも上手くいかないので ①

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※ 兄弟ものです。攻め受けが入れ替わったりします。社会人、拘束、くすぐりを含みます。

・弟視点 年中黒い服着ている。適当に生きている。性欲ゴリラ。
・兄   兄弟喧嘩の原因の八割。姉と弟に優しい。性格のせいで友人が少ない。













「コーヒーとココア、どっちにする?」

 朝起きると、兄の鏡介(きょうすけ)はすでに台所に立っていた。お湯を沸かすついでにどちらがいいか聞いてくれる。

「んあ~。コーヒー」
「はいはい」
「それとお前も」

 兄の後頭部を掴むと、唇を押しつけた。俺の身長は平均以上あるが、兄は更に高く、俺が背伸びするとちょうど唇に届く。

「……」

 一瞬目を嫌そうに細めるも、腰に添える程度だが優しく抱いてくれる。その反応に俺は満足できない。

「嫌そうな顔をされると、気分悪いんだけど」
「作業を中断させられるのは嫌いだと言っているだろうが」

 兄の片手はインスタントコーヒーの瓶を持ったままだ。

「そーでしたね。はいはい……」

 ばりばりと腹を掻いて離れる。
 背中を向けた途端、兄の指が背筋をすうっとなぞった。

「ぅひいっ!」
「変な悲鳴」
「……なーにしてくれんだ。襲うぞボケ」

 背中を摩りながら睨むが、鏡介はどすっと俺の頭にチョップを落とす。

「お前のことが嫌いなわけじゃないからな? 火がついてるしコーヒーも淹れたいから、だからな?」
「分かってんよ。え? なんでチョップまでされたの? 俺」

 兄はそれには答えず、こぽぽぽっとカップにお湯を注ぐ。

「ったく。火がついてなかったらおっ始めてるからな?」
「やけに気が立ってるな。発情期の猿ってこんな感じか」

 俺の兄は人を怒らせるスキルレベルが高い。

「徹夜でエロゲしてたから。ふあ~あ。もう目に映る人物全てにムラムラする」

 大あくびする俺にため息をつく。

「顔洗ってこい」

 顔洗ってきた。




「エロゲはもう飽きたって言ってなかったか?」

 鏡介が作ってくれた目玉焼き乗せパンを齧る。

「ん~? いや、お前そっくりなヒロインを見つけてさぁ。でも声が女性の声だからすんごい集中できなかった」

 空から落ちてきた女の子のように目玉焼きだけ先に食べる。

「馬鹿なの?」
「だからさ。ミュートでゲームするから、喘ぎ声はお前が演じてくれない?」
「俺の弟が馬鹿だった。母さんに教えてやろう」

 薄い食パンも口の中にねじ込む。サクサクで美味しい。
 頬杖ついて弄っている兄のスマホを没収する。俺といるときにスマホに触るな。

「いいだろ別に。お、待ち受け画面変えたのか。……」

 兄のスマホ待ち受けがポムポ〇プリンだった時の弟の心境。

「ぶはっ! 可愛い過ぎる! 変更してやろっと」
「こら。スマホ返せ」
(お)

 追いかけてくるので、ソファーまで誘導する。
 スマホを返すふりをして油断したところを、腕を掴んでソファーに投げ飛ばしてやった。

 ぼっす。
 ソファーが跳ねる。

「いでで」
「はい。いただきまーす」

 パン一枚じゃ足りないなぁ。

「おい。香上(かがみ)」
「なにー?」

 ボタンを外していく。ったく、面倒な服を着やがって。

「あと一時間もすればねーちゃん帰ってくるから」
「じゃ、一時間で終わらすから」

 鏡介は腕を伸ばしてスマホをテーブルに置いた。

「香上、一回始めると長いじゃん。ねーちゃんにごみを見る目で見られるの、やなんだけど」
「お前は見られると興奮するタイプだろ?」

 話通じない、みたいな顔をされる。余裕ないんだよ。
 俺は兄の口に噛みついた。





 俺がこうなったのは両親が年がら年中いちゃついてたってのもあるが、それは建前で。人より性欲が強かっただけだ。
 手っ取り早く性欲を満たしたくて彼女を作るも、うまく大事に出来ない。セフレならいいんじゃないかと思いほどほどに仲良くなるが、「私とは遊びだったの⁉」と何故かいつもこじれる。
 エロゲで発散しようと考えつくも、人肌が恋しい。

 死んだように机で項垂れていたら一人暮らししていた兄が帰ってきた。一年ぶり。家に居た頃より背が伸び、そこそこ美人になっていた兄を見て俺の口角は吊り上がった。

「セフレとは……上手くいってないのか?」
「ん? あー……。最初はお互い遊びって割り切ってたはずなのに、粘着してくるんだよな。いっつもこの流れだぜ。俺ってセフレ作り下手なのかね?」
「お前は中身うんこだが、見た目はいいからな。好きになっちゃうんだろ」

 おい。ばっか。可愛い弟をうんこと言うんじゃねーよ。
 腹が立ったのでぐっと指を押し込む。

「あっ! ……ぁあ、そんな、強く、するな」

 顎をのけ反らせる兄に気を良くし、片足を自分の肩に乗せる。

「煽ってくるからだろ。ほら。もっと喘げ」
「や! め、あ、ああっ」

 ローションでてらてらになっている指を呑み込んでいる穴。指を二本に増やし、ぐちゅぐちゅとかき混ぜる。

「はっ、あ、あ! ちょ、激しいって……んあ! ううっ」

 動きを止める。
 まだ鏡介で遊び始めたばっかで、イイとことかもよく分かってないからな。あんまり無理をさせて相手してくれなくなってもめんど、嫌だ。

「激しいのは好きじゃないか?」
「ん……ばか。止まるな」
「どっちなんだよ」

 兄に抱かせてくれと頼んだ日、「何言ってんだこいつ」みたいな顔をされたのをハッキリ覚えている。救急に電話されそうになったこともな!
 しかし。あんなに狼狽えていた割にはあっさり許可をくれた。気まずそうな顔だったけど。兄として理解してやらなきゃ、とか、身内が味方になってやらないと、とか。そういう考えのお兄様で助かってるわ。
 たっぷり使わせてもらいます。
 ぐりぐりと指を回転させる。

「イイとこ教えてくれよ~」
「そんなん、自分でも、ッ、あ、分からん」
「だよね」

 乳首もペニスも、触ってほしそうに主張してくるが、今日はナカを虐めたい気分。

「……ンッ、くう……。あ、うあ、あ」

 苦しそうに喘ぐな、と不思議がっていたが。そうじゃん。兄は男に抱かれる経験も抱いた経験もないんだ、と思い出す。
 やっべ。セフレたちと同じ扱いしてたわ。

「苦しい?」
「……あ。あふ、あ。んっ、んん」

 ぎっと睨んでくる。ははっ。俺が指動かしてたら喋れねーか。

「なあなあ。どうなんだよ。苦しい? 乳首やチンコも触ってほしい?」

 返事できないと分かっていて、遊ぶようにぐちょぐちょと抜き差しする。

「はあ、あ! あ、う、ああ、ん。や、やだああ。あ、ああ」

 イイ感じに喘ぐからエロゲしようかと思ったが、手がべっとべとだわ。鏡介は俺の腕を掴んでくるが、全然力が入っていない。

「おーい。鏡介。なんか言えよ。怒っちゃうぞ」

 ニヤニヤしつつ、キュッとペニスの先端を摘むと、ガクンと身体が揺れた。

「―――ッ、アアッ! っく、うう……」
「あら。イっちゃった?」

 ぴゅぴゅっと白い液が放たれ、兄の腹や俺の頬に付着する。
 ぺろっと舐めてみるが青臭くてまずい。

「……ぁ、はあ……。はあ……ふう……」
「かわいっ」

 鼻や額に貼りついた前髪を小指で払ってやる。鏡介は俺の顔についた精液を見て、カァッと頬を染め顔を横に向けた。反応が生娘なんよ。

「はあ、あ……。ん、苦しいに決まってんだろ」
「ごめんごめん。乳首やチンコ触って中和させてやらなきゃいけないんだろうけど、面白くなっちゃって」

 指で乳首を弾いてやると、可愛い声を出した。

「痛いって」
「おっとすまん。舐めてやるよ」
「やめっ! イったばっかなの……あっ」

 乳首に舌を這わせると、ぴくぴくと鏡介は震える。感じてくれてるようで何よりだ。

「はあ。あ、か、香上。指」
「んー?」
「指抜けって……あ、ばか!」

 差し込んだままの指をくいっと曲げてやる。内側を擦られ、強制的に甘い声を上げさせられる。

「ひいっ。あ、あ、だめ……」
「お? 二回目イきそう?」
「う、うう。ん」

 後ろしか弄らない俺に焦れたのか、鏡介が自身のソレに手を伸ばしてくる。

「あー駄目駄目。じっとしてな?」

 手を握ってソファーに押し付ける。力は兄の方が強いけど、流石にナカに指が入っている状況じゃ押し勝てないよな。

「だって……後ろだけじゃ、ああ、あ、ああ!」
「後ろだけでもイけるようになっとこうぜー?」
「お、お前のそういう、意地悪なとこが……ッ」
「なんだよ。言いたいことあるなら言えよ」

 唇でかぷっと乳首を挟んでやる。びくんと反応した鏡介が可愛くてつい虐めてしまう。

「は、っぐ。あ、ああ。駄目! イ、イク……」
「へえ? 後ろだけでイけるの?」

 ピタッと指の動きを止めた。

「ッ! なんで」

 鏡介が嫌そうに見てくるが、お構いなしにずるぅっと指を引き抜く。

「ああっ」
「いや、そろそろ俺も挿れたくなってな」
「もう一時間経つって!」
「オメーがさっさと穴緩めないのが悪いんだろが!」

 パァンと尻をぶっ叩く。
 自分のブツを取り出し、震えている兄の穴に先端を押し当てる。

「ん……」
「あ? ごめん怒鳴って。怒ってないからな」

 にこりと笑ってから、ずぶっと差し込んだ。

「ッ! ああああ!」
「あー。ぬくい」

 鏡介の悲鳴が心地好い。
 兄の指が、がりりっとソファーを引っ掻く。

「か、あ! ああ、やめ、ゆっくり……。あああ!」

 ずぶずぶと奥へ進んでいく。ソファーの上で喘ぐことしかできない兄を見下ろし、いい眺めだと下唇を舐める。

「や、やめ! もっと、ゆっく……んあああっ」
「ああ? 姉貴が帰ってくるから早くシてほしいんだろ?」
「あア、ああ!」

 ブンブンと首を横に振っているが、そんなことされるともっと虐めたくなる。
 わざと挿入を遅くして、指先でペニスの先端をこね回す。

「んっ! やだ、ああ。あ、そんな。ああ」
「ヤダって何だよ。自分から股開くって決めたくせに。被害者面かぁ?」

 強めに根元を握ると、ビクンと腰が跳ねた。

「ああ。ちが……。見られたく、ないだけ、で」

 涙を拭うように、手で顔を隠す。

「ふーん? エロいし、見てもらえば? つか、顔見えない。邪魔」

 手を払い、ズンっと腰を突き出す。
 ドピュッと白い液が飛んだ。

「――――ッ! アッ……ああ、ああああ……」
「おお。イけたじゃん」

 目を見開く兄を見て、俺も腰の動きを速める。
 俺がまだイけてないんだもん。
 しかし当然。イったばかりの鏡介はナカを擦られるのに耐えられない。

「ああー! アッ、あ、ああ! ばかっ。か、がみ! やめ、止めええ! やら、あっあ、あひっ! あ、かがみ! あああ」
「うわー。ナカまでビクビクしてて気持ち良いな。もうちょい奥まで刺し込んでいい?」
「あひぃ。ひい! んああああ。ああ、やあああ!」

 言葉を発せなくなっている。大きく開かれた目から涙が滲み、口からは唾液が伝ってくる。視覚的にエロいことをされ、腰の動きがさらに速くなってしまう。

「アア! か、ああ! がみ! ああ、ああん、ああん」
「いやー。これはお前のせいだろ……ッ出すぞ」
「かっ……!」

 ぐちぐち、ぐちぐちと水音が響き、俺と兄は同時に精を放った。





 お湯で拭き掃除をしていると姉貴が帰ってくる。

「ただいまー」
「おう。おかえり」

 俺の顔を見るなり舌打ちする。

「彼女?」

 彼女連れ込んでる? と言いたげな目だ。拭いたけど、においがまだ残ってたか。

「いや。鏡介」
「また? 実の兄でするとか。気ぃ狂ってんの?」
「俺は別に、姉貴でも良いけど?」

 ニヤニヤ顔を近づけるとアッパーが飛んできた。





「大丈夫か?」
「頭跳ね上げられた」

 氷嚢を作ると手渡してくれる。

「あんがと……」

 礼を言いながら顎に当てる。ぴりっと痛みが走った。

「ねーちゃんに喧嘩売るなよ……。仕事帰りは気が立ってるのに」

 鏡介はあきれ顔で隣に座る。が、尻に違和感があるのかすぐに立ち上がった。

「痛む?」
「いや。落ち着かないだけ」
「俺のチンコ銜えてたし、当然か」

 チョップが落ちてくる。

「いってぇ! 姉兄で末っ子虐めんなよ!」
「虐めてたのはお前だ。罰として香上の待ち受けもポムポムにしてやる」

 奪い取った俺のスマホ画面を開くと、姉貴と鏡介と俺が並んだ写真だった。

「……お前のこーいうとこ、ズルいと思う」
「何が?」

 スマホを返却されたが、待ち受けはポムポムになっていなかった。


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