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ついに、冬……?
番外編 ニケの宿 ②
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「……」
不意に、温羅は足を止める。
どうしたんだろうと見ていると嫌そうに顔を歪め、舌打ちすると無言で裏庭から出て行った。お化けの肉を全部持って。
「……? た、助かった?」
脱力したキミカゲがへたり込む。もしかしてフリー君が帰れと言ってくれたのかと振り返るが、薬が効いたのか彼は眠っていた。
では一体何が? 鬼が逃げるほどの何かが迫っているというのだろうか。
背筋が寒くなるが、それは待ってくれなかった。
勢いよく、ぱんっと戸が開く。
「こんばんはー。キミカゲさん。まだ起きてる?」
「……主。夜分遅いんですから、せめて声掛けしてから開けましょう」
この声は。
「アキチカあああああ!」
「え? うわ! 何?」
ビクッと跳ねた神使に抱きつく。
めちゃくちゃ怖かった。
神罰とかもうどうでも良くなりしがみつく。
「うわあああああ。怖かったよおおおぉ」
来てくれて嬉しい。鬼が逃げた理由が分かった。
おじいちゃんの抱擁にアキチカは狼狽える。
「は? 何? 何かした? ちょっとワイズ。見てないで助けて」
「その割には、嬉しそうですよ。主」
「ううううるさいよ!」
早くおじいちゃん剥がしてと地団太を踏む。
「何が怖かったの? だいたい、キミカゲさんの注射より怖い物なんかないでしょ?」
「神使殿!」
「おう?」
ぽーんと飛んできた赤犬族の小さい子も飛びついてくる。よろけた主の背を片手で支える。
「なに? どうしたの? 説明して早く」
説明している間、アキチカはフリーとイヤレスの傷の治療をしてくれた。実は我慢していた背中の痛みが一瞬で消え、イヤレスはまじまじと紫枝鹿族を見つめる。
「あ、ありがとう……。感謝するよ」
「大したことなかったからキミカゲさんの薬で治っただろうけど。ま、一応ね」
ばちこんとウインクする。しかしイヤレスの好みではないのか蝙蝠少年は反応しなかった。なんでや。フリーを諦めて神使殿にしろよ。なんか雰囲気似てるだろ? 似てない?
神使にイヤレスを押しつけようと思っている八歳児。
ほんのり光っている神使の周囲に自然と皆が集まる。怖い思いをしたばかりなので仕方がない。
「ちょ、近いって!」
近づくだけじゃなく、三人纏めてアキチカの両腕と背中にしがみつく。怖かったからね仕方ないね。
腕を抱きしめているキミカゲがほっと息を吐く。
「あー……。アキチカがそばにいると安心する」
背中にもたれているイヤレスが同意する。
「なんか心地いいね。このヒト」
もう片方の腕にコアラのようにしがみついているニケも頬をくっつける。怖い記憶が和らいでいく。
「たしかに……朝のさわやかな空気がします」
一家に一台欲しい。
「ちょっと!」
わずらわしそうに神使が叫ぶ。だがこれほどの人数に触れられたことがないのか、顔がにやけるのを堪えられていなかった。
「良かったですね。主」
今日のワイズは女性のような高い声だ。主を助けるでもなく、おじいちゃんに渡されたうちわでフリーを扇いでいる。
神パワーのおかげでフリーの首にくっきり残っていた紫の手形が、解呪されたように消えてなくなっていた。
「ありがとね。アキチカ。いい子だねぇ」
「やかましいよ。それより。キミカゲさんは怪我してないよね? なくなるよ? この街」
「怪我はないよ。それでアキチカは何用で来たわけ? まさか危機を察して……?」
都合の良い妄想をするおじいちゃんをへっと鼻で笑う。
「ンなわけないでしょ? 結界張ってるからお化けとかは入ってこれないけど、結界内で生まれる場合もある。今回のもそれだね」
「結界って……このヒト神使、なの?」
キョトンとするイヤレスに、フリーを除く全員が頷く。
「あ、失礼しました……」
小さくなるが背中から離れない。いいけどね? 子どもみたいだし。でもおじいちゃんは離れて。最年長でしょ。
ワイズがさらっと暴露する。
「妖怪の気配を察した主が、キミカゲさんにだけでも報せようって神社を飛び出したんですよ。あぶね」
首を傾け、ひゅんと飛んできた扇子を躱す。投げた体勢のまま神使はガミガミと口の軽い従者に怒鳴る。
「いらんこと言うな。仮面割るよ! ……ま、お化けは退治された後だったようだけどね」
やっとキミカゲが離れる。
「妖怪なのかお化けなのか、どっちなんだい?」
「知らないよ。専門家に聞いてよ。どっちでもいいでしょうが」
「あれはなんの妖怪だったのです? ろくろ首……とは違うようでしたけど」
思い出して怖くなったのか、ニケの小さな身体が震え出す。
「……」
紫の瞳でじっと見つめると、アキチカはニケとイヤレスもまとめて抱きしめた。淡い光が大きくなり三人を繭のように包み込む。
アキチカの魔九来来第二神光・癒しの繭。
これは肉体の傷ではなく、心を重点的に癒すもの。怖い記憶を「好きなもの」で強制的に上書きする。布団で二度寝するような心地よさに包まれ、ニケたちはうとうとと目を閉じる。
お化けの恐ろしい外見はフリーの笑顔に。
鬼が化け物を食べている光景は花畑で遊んでいる姉ちゃんに。
フリーが首を絞められている光景はご飯を食べているキミカゲに。
他にもいろいろ思い出そうとするが、出てくるのはスミやリーン、ディドールといった好ましいヒトばかり。
何に怯えていたのかさえ、思い出せなくなっていた。
憑き物が落ちたようにツヤツヤになったお子様たちに、キミカゲはほっと肩の力を抜く。
「流石だねぇ」
「子どもには刺激が強かったみたいだからね。あのろくろ首とドッペルゲンガーが混ざったようなやつ」
ニケは「どっぺる?」と首を傾げる。
「……あーえっと」
せっかく恐怖心が鎮まったのに怖いお化けの説明なんかできない、とアキチカは首を振る。
「何でもないよ。疲れたでしょ? もう寝なさい」
神使モードになった青年の言葉に、子どもたちは素直に頷く。
キミカゲは寝間着を引っ張り出すと、イヤレスに渡した。
「はい。これに着替えて。もう遅いから泊っていきなさい」
「……急に来て上がり込んじゃったのに、いいの?」
もちろんおじいちゃんがそんなことを咎めるはずもなく。
「いいんだよ。ニケ君の友人なら私の友人のようなものだよ」
「友人じゃありません!」
ぎっとニケが睨んできたが、眠気に負けてこてんと横になる。今度はフリーの腕でコアラしながら。
「ちゃんとお礼はするからね。お医者さん」
「はいはい」
浴衣に着替えたイヤレスに苦笑し、さあさあと背中を押す。このヒトなんでこんな上機嫌なの? と思いながらも少年はフリーの布団に潜りこむ。布団に三人は狭くないかい?
家の主と神使と従者はそろそろと隣の部屋へと移動する。
「ワイズは扇いどいてあげなよ」
「ワイズ君。扇いでやってあげて?」
神使とおじいちゃんの声が重なる。この場合でもワイズは怒るのかなとちょっとドキドキしたが、従者は頷くと子どもたちの部屋へと戻った。
おじいちゃんは嬉しそうにぐっと拳を握る。
「ワイズ君もいい子だね。あとでなでなでしてあげなきゃ」
「よく二メートルを子ども扱いできるね……」
「それで? ドッペルゲンガーとか、不吉な言葉が聞こえたけど?」
自己像幻視(ドッペルゲンガー)。自分自身の幻の一種で本来はすぐに消えるが、魔獣化(ゴースト化)したものは厄介な特性を持つ。
影が実体を殺し、成り替わろうとするのだ。ゆえに、ドッペルゲンガーと出会うと死んでしまう。虫のように無感情で冷徹な魔獣だ。
「妖怪じゃなくて魔獣なの?」
「……地域によって違うっぽいけどね」
「じゃあ、フリー君は? ドッペルを倒したんだし、死なないよね?」
「相手を死に追いやる紫手の跡は消したんだし、明日にはけろっとしているはずだよ。ったく、本来なら「魔払い」としてお金請求するんだからね」
キミカゲはいそいそと箪笥から袋を持ってくる。
「いくらだい? 私が払うよ」
「……」
孫にお小遣いをあげたいおじいちゃんのようなほくほく顔をしている。
神使は表情を消した。
「いらない」
「何でっ?」
「私は何があってもキミカゲさんを喜ばせたりしない」
「そんな!」
逃げるアキチカにおじいちゃんがすがりついてくる。
「ええい。神衣がシワになる」
「私だって孫にお小遣いあげるのやってみたいんだよぉ。妹ばっかりお小遣い上げてずるい! 妹も妹の子も受け取ってくれないし。あ、間違えた。ちゃんと料金受け取らないとだめだよ? 「魔払い」は力を使うんだから。特定のヒトだけ贔屓するのは良くないよ」
「本音全部言った後でまともなこと言っても遅いんだよ」
ぺっとキミカゲを振り払うとさっさと帰ろうとする。ワイズは団扇を返却すると後を追った。
玄関で一度だけ振り返る。
「おやすみ。キミカゲさん」
「おやすみなさいませ」
「あったかくして寝るんだよ?」
「この季節にっ?」と喚き声が聞こえたがきちんと戸を閉めて行った。
籠っていたよどんだ空気や血の匂いがいつの間にかなくなっている。神使パワーか。週一くらいで遊びに来てほしい。
キミカゲは念のため家の中を見回ったのち、行灯の火を消してお布団で熟睡した。
満面の笑みでニケとイヤレスを抱きしめているのはフリーだ。起きてイヤレスの姿を見るなり奇声を上げていたのでよほど嬉しいらしい。喉に異常はなかった。
「えっへへへへ~。キミカゲさん見て~。イヤレスだよぉ~」
「あ、うん。良かったね」
このやり取りもう五回目なんだけど。よほど夢蝙蝠族の少年を自慢したいらしい。
ニケ君がもっと怒るかと思っていたが意外に大人しい。
友人に会いに来ていきなり幽霊騒動に巻き込まれた少年の表情は若干暗かった。しかし血色はいいので、よく眠れたのだろう。
ようやく満足したのかイヤレスだけを解放した。ニケは未だに抱っこされたまま。
「イヤレス。俺に会いに来てくれたの? また会えるって言葉を信じて良かったよ」
むっとした少年が顔を近づけ、ついっとフリーの顎を指でなぞる。
「そうだよ? フロリアに会いたかったんだ」
獲物を狙う猫のような蠱惑的な笑み。少年特有のちょっと心配になるくらいほっそりした身体は、その趣の者にはたまらないだろう。可愛い装飾で飾られたイヤレスは無法者に攫われそうな危うさに満ちている。
たまらずおじいちゃんは口を挟む。
「ねえ。イヤレス君。ここまで一人で来たの? そ、そんなわけないよね?」
フリーに枝垂れかかったまま、オッドアイをぱちくりさせる。
「一人だけど?」
「翁!」
泡拭いて倒れた。
真剣な顔でフリーはイヤレスの両肩をがっしり掴む。
「何してるの? 家のヒトは? 一人⁉ 誘拐されたらどうするの? 俺に!」
「……」
キミカゲの元へ行ったニケが真顔で振り返り、慌てて口を塞ぐ。
「あ、つい願望が。なんで一人で来たわけ?」
イヤレスは少しだけ寂しそうに笑う。
「家族はいないよ。だから、寂しさを埋めるためにハーレムを作ってたのさ」
「翁ああ!」
子どもの辛い過去が耳に入り、痙攣しておられる。
フリーの顔色を見て「気にしないで」と笑い、額で揺れる金の飾りを指で弾く。澄んだ音が鳴る。
「この街に引っ越してきたのさ」
フリーとニケが口を開けて固まる。おじいちゃんは笑顔で復活した。
「そうなんだ」
「翁。ご無事で」
よしよし心配かけたねと黒髪を撫でる。
「ももも、紅葉街で暮らすってこと⁉」
「なんでだよ」
白黒の声が重なる。
イヤレスは人差し指を立てる。
「そうだよ。大きな川あるじゃん? その近くに花屋敷あるでしょ? その隣」
「え? あのずっと改装工事してた屋敷、イヤレスのものだったの?」
職場のすぐ近く。ディドールのお家の隣。どんなヒトが引っ越してくるのかと思えば。
膝立ちになったフリーが天を仰いで人生に勝ったようなガッツポーズを決めている。差し込んだ光に照らされているように見えたがニケは無視した。
「えーー……? なんで?」
蝙蝠の羽を可愛くパタパタさせ、えへんとなんか嫌そうなニケに胸を張る。
「フロリアに会いたかったからね。ハーレムも解散宣言してきたし」
「解散? 連れてこなかったの?」
モフモフがいたかもしれなグハァと腹を押さえているフリーに微苦笑を浮かべる。
「まあね。好きな人ができちゃったからさ」
じっと腹を押さえている人を見て目を細める。少年とは思えない色香が溢れ、フリーの頬がわずかに染まる。フリーは慌てて顔を逸らした。
「そ、そうなんだね」
「でもハーレムのひとりに『こんなに尽くしたのに、俺を捨てるのか』って殴られちゃって、無理やりされそうになったから逃げてきたってのも、あるかな? ふふっ」
部屋の温度が氷点下まで下がった。
「……」
笑顔のままイヤレスに冷や汗が流れる。恐らく笑わせようと軽いノリで言ったのだろうが……
冷え切った金緑の瞳がまっすぐ見つめてくる。フロリアったら、そんな表情出来るんだね。
「ふーん? そのヒトの名前と特徴は?」
イヤレスはぶんぶんと両手を振る。
「ちょっと。深呼吸して? 一応、僕の愛したヒトなんだから」
「見かけ次第、第二形態で顎砕いておく」
「それ(第二)で殴ると首だけ飛んでいくぞ?」
「だから! 暴力は止めて。そのヒト、僕にたくさん優しくしてくれたんだよ!」
「でも手をあげたんでしょ? イヤレスに。そんな奴に人権などないわ」
助けを求めて振り返るもお医者さんは魂が抜けていた。
こりゃ駄目だと咳払いする。
「ごほん。……えー、そんなわけで引っ越し祝いに僕の屋敷に来ても良いよ? せいぜい僕をもてなしてね?」
「もてなしてね」の「ね」あたりで可愛くウインクをする。フリーに向かって飛んだハートを、ニケが叩き落とす。
ばしっ。
「引っ越してきた側が挨拶して回るんだよ。パタパタ野郎」
「パタパタ野郎ッ? さっきから僕のあだ名テキトー過ぎない?」
むぎぎっとほっぺの伸ばし合いが始まる。
「えへへっえへへっ。はあはあ可愛いはあはあ」
「「……」」
荒い息遣いが聞こえたので双方すぐにやめた。
イヤレスが去ると、脱水症状になるんじゃないかと心配になるほど泣いていたフリーだったが、やっと立ち直った。
ごくごくと塩水(ニケ作)を補給している。
「キミカゲさん。引っ越し祝いに何を送ればいいんですか? 愛ですか?」
「何それ怖い」
「うーん。お餅や小豆粥などがいいけれど、高価だからねぇ。無難に『お蕎麦』じゃないかな」
もちもちとニケのほっぺを揉む。餅と聞いたら脊髄反射で触ってきやがる(いいけど)。
「美味しいですけど、何故蕎麦なんです?」
「『おそばで末永く』って言葉遊びのようなものだけど、単純に美味しいし庶民の財布にもダメージが少なくて済むってのも大きいね」
「現実的ですね。お花とかは、どうですか?」
「そういうのはディドール君に聞いた方が良いよ。私より細かく教えてくれるはずさ」
「え? キミカゲさんも詳しいでしょ?」
百緑色の瞳が言いづらそうに泳ぐ。
「詳しいけど花には花言葉があってね。引っ越し祝いに適さない花もあるんだ。私は花言葉には本当に何の知識もないから……」
つまり興味なかったんですね。とは、言わないでおいた。
「おい、フリー。よそ見しながらほっぺ揉むとは良い度胸だ」
「あ、ごめんなさぐはっかわッ」
ちょっとほっぺ膨らませただけでこやつは……(いいけど)。
「フリーが引っ越し祝いにパタ野郎の屋敷に行きそうなんですけど、翁も一緒に行きます?」
さ、誘ってくれるなんて嬉しい!
でも、
「すごーく行きたいんだけど、仕事が……。あははは。あはは。楽しんでおいで?」
「泣かないでくださいよ」
背伸びしてよしよしと頭を撫でた。
♦
お疲れさまでした。
久しぶりのニケ宿メンツを書ける楽しさで、長くなってしまいました。
本人だと思って接していたら、別のところから本物が出てくるって展開がホラーで(私が)怖いと思ったので取り入れて見ました。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
よければ次も読んでってね!
不意に、温羅は足を止める。
どうしたんだろうと見ていると嫌そうに顔を歪め、舌打ちすると無言で裏庭から出て行った。お化けの肉を全部持って。
「……? た、助かった?」
脱力したキミカゲがへたり込む。もしかしてフリー君が帰れと言ってくれたのかと振り返るが、薬が効いたのか彼は眠っていた。
では一体何が? 鬼が逃げるほどの何かが迫っているというのだろうか。
背筋が寒くなるが、それは待ってくれなかった。
勢いよく、ぱんっと戸が開く。
「こんばんはー。キミカゲさん。まだ起きてる?」
「……主。夜分遅いんですから、せめて声掛けしてから開けましょう」
この声は。
「アキチカあああああ!」
「え? うわ! 何?」
ビクッと跳ねた神使に抱きつく。
めちゃくちゃ怖かった。
神罰とかもうどうでも良くなりしがみつく。
「うわあああああ。怖かったよおおおぉ」
来てくれて嬉しい。鬼が逃げた理由が分かった。
おじいちゃんの抱擁にアキチカは狼狽える。
「は? 何? 何かした? ちょっとワイズ。見てないで助けて」
「その割には、嬉しそうですよ。主」
「ううううるさいよ!」
早くおじいちゃん剥がしてと地団太を踏む。
「何が怖かったの? だいたい、キミカゲさんの注射より怖い物なんかないでしょ?」
「神使殿!」
「おう?」
ぽーんと飛んできた赤犬族の小さい子も飛びついてくる。よろけた主の背を片手で支える。
「なに? どうしたの? 説明して早く」
説明している間、アキチカはフリーとイヤレスの傷の治療をしてくれた。実は我慢していた背中の痛みが一瞬で消え、イヤレスはまじまじと紫枝鹿族を見つめる。
「あ、ありがとう……。感謝するよ」
「大したことなかったからキミカゲさんの薬で治っただろうけど。ま、一応ね」
ばちこんとウインクする。しかしイヤレスの好みではないのか蝙蝠少年は反応しなかった。なんでや。フリーを諦めて神使殿にしろよ。なんか雰囲気似てるだろ? 似てない?
神使にイヤレスを押しつけようと思っている八歳児。
ほんのり光っている神使の周囲に自然と皆が集まる。怖い思いをしたばかりなので仕方がない。
「ちょ、近いって!」
近づくだけじゃなく、三人纏めてアキチカの両腕と背中にしがみつく。怖かったからね仕方ないね。
腕を抱きしめているキミカゲがほっと息を吐く。
「あー……。アキチカがそばにいると安心する」
背中にもたれているイヤレスが同意する。
「なんか心地いいね。このヒト」
もう片方の腕にコアラのようにしがみついているニケも頬をくっつける。怖い記憶が和らいでいく。
「たしかに……朝のさわやかな空気がします」
一家に一台欲しい。
「ちょっと!」
わずらわしそうに神使が叫ぶ。だがこれほどの人数に触れられたことがないのか、顔がにやけるのを堪えられていなかった。
「良かったですね。主」
今日のワイズは女性のような高い声だ。主を助けるでもなく、おじいちゃんに渡されたうちわでフリーを扇いでいる。
神パワーのおかげでフリーの首にくっきり残っていた紫の手形が、解呪されたように消えてなくなっていた。
「ありがとね。アキチカ。いい子だねぇ」
「やかましいよ。それより。キミカゲさんは怪我してないよね? なくなるよ? この街」
「怪我はないよ。それでアキチカは何用で来たわけ? まさか危機を察して……?」
都合の良い妄想をするおじいちゃんをへっと鼻で笑う。
「ンなわけないでしょ? 結界張ってるからお化けとかは入ってこれないけど、結界内で生まれる場合もある。今回のもそれだね」
「結界って……このヒト神使、なの?」
キョトンとするイヤレスに、フリーを除く全員が頷く。
「あ、失礼しました……」
小さくなるが背中から離れない。いいけどね? 子どもみたいだし。でもおじいちゃんは離れて。最年長でしょ。
ワイズがさらっと暴露する。
「妖怪の気配を察した主が、キミカゲさんにだけでも報せようって神社を飛び出したんですよ。あぶね」
首を傾け、ひゅんと飛んできた扇子を躱す。投げた体勢のまま神使はガミガミと口の軽い従者に怒鳴る。
「いらんこと言うな。仮面割るよ! ……ま、お化けは退治された後だったようだけどね」
やっとキミカゲが離れる。
「妖怪なのかお化けなのか、どっちなんだい?」
「知らないよ。専門家に聞いてよ。どっちでもいいでしょうが」
「あれはなんの妖怪だったのです? ろくろ首……とは違うようでしたけど」
思い出して怖くなったのか、ニケの小さな身体が震え出す。
「……」
紫の瞳でじっと見つめると、アキチカはニケとイヤレスもまとめて抱きしめた。淡い光が大きくなり三人を繭のように包み込む。
アキチカの魔九来来第二神光・癒しの繭。
これは肉体の傷ではなく、心を重点的に癒すもの。怖い記憶を「好きなもの」で強制的に上書きする。布団で二度寝するような心地よさに包まれ、ニケたちはうとうとと目を閉じる。
お化けの恐ろしい外見はフリーの笑顔に。
鬼が化け物を食べている光景は花畑で遊んでいる姉ちゃんに。
フリーが首を絞められている光景はご飯を食べているキミカゲに。
他にもいろいろ思い出そうとするが、出てくるのはスミやリーン、ディドールといった好ましいヒトばかり。
何に怯えていたのかさえ、思い出せなくなっていた。
憑き物が落ちたようにツヤツヤになったお子様たちに、キミカゲはほっと肩の力を抜く。
「流石だねぇ」
「子どもには刺激が強かったみたいだからね。あのろくろ首とドッペルゲンガーが混ざったようなやつ」
ニケは「どっぺる?」と首を傾げる。
「……あーえっと」
せっかく恐怖心が鎮まったのに怖いお化けの説明なんかできない、とアキチカは首を振る。
「何でもないよ。疲れたでしょ? もう寝なさい」
神使モードになった青年の言葉に、子どもたちは素直に頷く。
キミカゲは寝間着を引っ張り出すと、イヤレスに渡した。
「はい。これに着替えて。もう遅いから泊っていきなさい」
「……急に来て上がり込んじゃったのに、いいの?」
もちろんおじいちゃんがそんなことを咎めるはずもなく。
「いいんだよ。ニケ君の友人なら私の友人のようなものだよ」
「友人じゃありません!」
ぎっとニケが睨んできたが、眠気に負けてこてんと横になる。今度はフリーの腕でコアラしながら。
「ちゃんとお礼はするからね。お医者さん」
「はいはい」
浴衣に着替えたイヤレスに苦笑し、さあさあと背中を押す。このヒトなんでこんな上機嫌なの? と思いながらも少年はフリーの布団に潜りこむ。布団に三人は狭くないかい?
家の主と神使と従者はそろそろと隣の部屋へと移動する。
「ワイズは扇いどいてあげなよ」
「ワイズ君。扇いでやってあげて?」
神使とおじいちゃんの声が重なる。この場合でもワイズは怒るのかなとちょっとドキドキしたが、従者は頷くと子どもたちの部屋へと戻った。
おじいちゃんは嬉しそうにぐっと拳を握る。
「ワイズ君もいい子だね。あとでなでなでしてあげなきゃ」
「よく二メートルを子ども扱いできるね……」
「それで? ドッペルゲンガーとか、不吉な言葉が聞こえたけど?」
自己像幻視(ドッペルゲンガー)。自分自身の幻の一種で本来はすぐに消えるが、魔獣化(ゴースト化)したものは厄介な特性を持つ。
影が実体を殺し、成り替わろうとするのだ。ゆえに、ドッペルゲンガーと出会うと死んでしまう。虫のように無感情で冷徹な魔獣だ。
「妖怪じゃなくて魔獣なの?」
「……地域によって違うっぽいけどね」
「じゃあ、フリー君は? ドッペルを倒したんだし、死なないよね?」
「相手を死に追いやる紫手の跡は消したんだし、明日にはけろっとしているはずだよ。ったく、本来なら「魔払い」としてお金請求するんだからね」
キミカゲはいそいそと箪笥から袋を持ってくる。
「いくらだい? 私が払うよ」
「……」
孫にお小遣いをあげたいおじいちゃんのようなほくほく顔をしている。
神使は表情を消した。
「いらない」
「何でっ?」
「私は何があってもキミカゲさんを喜ばせたりしない」
「そんな!」
逃げるアキチカにおじいちゃんがすがりついてくる。
「ええい。神衣がシワになる」
「私だって孫にお小遣いあげるのやってみたいんだよぉ。妹ばっかりお小遣い上げてずるい! 妹も妹の子も受け取ってくれないし。あ、間違えた。ちゃんと料金受け取らないとだめだよ? 「魔払い」は力を使うんだから。特定のヒトだけ贔屓するのは良くないよ」
「本音全部言った後でまともなこと言っても遅いんだよ」
ぺっとキミカゲを振り払うとさっさと帰ろうとする。ワイズは団扇を返却すると後を追った。
玄関で一度だけ振り返る。
「おやすみ。キミカゲさん」
「おやすみなさいませ」
「あったかくして寝るんだよ?」
「この季節にっ?」と喚き声が聞こえたがきちんと戸を閉めて行った。
籠っていたよどんだ空気や血の匂いがいつの間にかなくなっている。神使パワーか。週一くらいで遊びに来てほしい。
キミカゲは念のため家の中を見回ったのち、行灯の火を消してお布団で熟睡した。
満面の笑みでニケとイヤレスを抱きしめているのはフリーだ。起きてイヤレスの姿を見るなり奇声を上げていたのでよほど嬉しいらしい。喉に異常はなかった。
「えっへへへへ~。キミカゲさん見て~。イヤレスだよぉ~」
「あ、うん。良かったね」
このやり取りもう五回目なんだけど。よほど夢蝙蝠族の少年を自慢したいらしい。
ニケ君がもっと怒るかと思っていたが意外に大人しい。
友人に会いに来ていきなり幽霊騒動に巻き込まれた少年の表情は若干暗かった。しかし血色はいいので、よく眠れたのだろう。
ようやく満足したのかイヤレスだけを解放した。ニケは未だに抱っこされたまま。
「イヤレス。俺に会いに来てくれたの? また会えるって言葉を信じて良かったよ」
むっとした少年が顔を近づけ、ついっとフリーの顎を指でなぞる。
「そうだよ? フロリアに会いたかったんだ」
獲物を狙う猫のような蠱惑的な笑み。少年特有のちょっと心配になるくらいほっそりした身体は、その趣の者にはたまらないだろう。可愛い装飾で飾られたイヤレスは無法者に攫われそうな危うさに満ちている。
たまらずおじいちゃんは口を挟む。
「ねえ。イヤレス君。ここまで一人で来たの? そ、そんなわけないよね?」
フリーに枝垂れかかったまま、オッドアイをぱちくりさせる。
「一人だけど?」
「翁!」
泡拭いて倒れた。
真剣な顔でフリーはイヤレスの両肩をがっしり掴む。
「何してるの? 家のヒトは? 一人⁉ 誘拐されたらどうするの? 俺に!」
「……」
キミカゲの元へ行ったニケが真顔で振り返り、慌てて口を塞ぐ。
「あ、つい願望が。なんで一人で来たわけ?」
イヤレスは少しだけ寂しそうに笑う。
「家族はいないよ。だから、寂しさを埋めるためにハーレムを作ってたのさ」
「翁ああ!」
子どもの辛い過去が耳に入り、痙攣しておられる。
フリーの顔色を見て「気にしないで」と笑い、額で揺れる金の飾りを指で弾く。澄んだ音が鳴る。
「この街に引っ越してきたのさ」
フリーとニケが口を開けて固まる。おじいちゃんは笑顔で復活した。
「そうなんだ」
「翁。ご無事で」
よしよし心配かけたねと黒髪を撫でる。
「ももも、紅葉街で暮らすってこと⁉」
「なんでだよ」
白黒の声が重なる。
イヤレスは人差し指を立てる。
「そうだよ。大きな川あるじゃん? その近くに花屋敷あるでしょ? その隣」
「え? あのずっと改装工事してた屋敷、イヤレスのものだったの?」
職場のすぐ近く。ディドールのお家の隣。どんなヒトが引っ越してくるのかと思えば。
膝立ちになったフリーが天を仰いで人生に勝ったようなガッツポーズを決めている。差し込んだ光に照らされているように見えたがニケは無視した。
「えーー……? なんで?」
蝙蝠の羽を可愛くパタパタさせ、えへんとなんか嫌そうなニケに胸を張る。
「フロリアに会いたかったからね。ハーレムも解散宣言してきたし」
「解散? 連れてこなかったの?」
モフモフがいたかもしれなグハァと腹を押さえているフリーに微苦笑を浮かべる。
「まあね。好きな人ができちゃったからさ」
じっと腹を押さえている人を見て目を細める。少年とは思えない色香が溢れ、フリーの頬がわずかに染まる。フリーは慌てて顔を逸らした。
「そ、そうなんだね」
「でもハーレムのひとりに『こんなに尽くしたのに、俺を捨てるのか』って殴られちゃって、無理やりされそうになったから逃げてきたってのも、あるかな? ふふっ」
部屋の温度が氷点下まで下がった。
「……」
笑顔のままイヤレスに冷や汗が流れる。恐らく笑わせようと軽いノリで言ったのだろうが……
冷え切った金緑の瞳がまっすぐ見つめてくる。フロリアったら、そんな表情出来るんだね。
「ふーん? そのヒトの名前と特徴は?」
イヤレスはぶんぶんと両手を振る。
「ちょっと。深呼吸して? 一応、僕の愛したヒトなんだから」
「見かけ次第、第二形態で顎砕いておく」
「それ(第二)で殴ると首だけ飛んでいくぞ?」
「だから! 暴力は止めて。そのヒト、僕にたくさん優しくしてくれたんだよ!」
「でも手をあげたんでしょ? イヤレスに。そんな奴に人権などないわ」
助けを求めて振り返るもお医者さんは魂が抜けていた。
こりゃ駄目だと咳払いする。
「ごほん。……えー、そんなわけで引っ越し祝いに僕の屋敷に来ても良いよ? せいぜい僕をもてなしてね?」
「もてなしてね」の「ね」あたりで可愛くウインクをする。フリーに向かって飛んだハートを、ニケが叩き落とす。
ばしっ。
「引っ越してきた側が挨拶して回るんだよ。パタパタ野郎」
「パタパタ野郎ッ? さっきから僕のあだ名テキトー過ぎない?」
むぎぎっとほっぺの伸ばし合いが始まる。
「えへへっえへへっ。はあはあ可愛いはあはあ」
「「……」」
荒い息遣いが聞こえたので双方すぐにやめた。
イヤレスが去ると、脱水症状になるんじゃないかと心配になるほど泣いていたフリーだったが、やっと立ち直った。
ごくごくと塩水(ニケ作)を補給している。
「キミカゲさん。引っ越し祝いに何を送ればいいんですか? 愛ですか?」
「何それ怖い」
「うーん。お餅や小豆粥などがいいけれど、高価だからねぇ。無難に『お蕎麦』じゃないかな」
もちもちとニケのほっぺを揉む。餅と聞いたら脊髄反射で触ってきやがる(いいけど)。
「美味しいですけど、何故蕎麦なんです?」
「『おそばで末永く』って言葉遊びのようなものだけど、単純に美味しいし庶民の財布にもダメージが少なくて済むってのも大きいね」
「現実的ですね。お花とかは、どうですか?」
「そういうのはディドール君に聞いた方が良いよ。私より細かく教えてくれるはずさ」
「え? キミカゲさんも詳しいでしょ?」
百緑色の瞳が言いづらそうに泳ぐ。
「詳しいけど花には花言葉があってね。引っ越し祝いに適さない花もあるんだ。私は花言葉には本当に何の知識もないから……」
つまり興味なかったんですね。とは、言わないでおいた。
「おい、フリー。よそ見しながらほっぺ揉むとは良い度胸だ」
「あ、ごめんなさぐはっかわッ」
ちょっとほっぺ膨らませただけでこやつは……(いいけど)。
「フリーが引っ越し祝いにパタ野郎の屋敷に行きそうなんですけど、翁も一緒に行きます?」
さ、誘ってくれるなんて嬉しい!
でも、
「すごーく行きたいんだけど、仕事が……。あははは。あはは。楽しんでおいで?」
「泣かないでくださいよ」
背伸びしてよしよしと頭を撫でた。
♦
お疲れさまでした。
久しぶりのニケ宿メンツを書ける楽しさで、長くなってしまいました。
本人だと思って接していたら、別のところから本物が出てくるって展開がホラーで(私が)怖いと思ったので取り入れて見ました。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
よければ次も読んでってね!
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西条ネア
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