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最後のステラ

16 敗者の末路

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※ 青年×青年です。ショタ受けでもショタ攻めでもありません。ショタ以外を読むと具合悪くなる方は飛ばしてください。飛ばしても大丈夫なようになっております。













 🌙









 陽光知らずの森。ブリザードですら平然としているモンスターたちが凍っている。

 あきらかな異常気象だが、それを引き起こした張本人は両手を縛り上げられ、木から吊り下げられている。足はつくが、自力で立つ体力が残っていない。皮膚も燕尾服もボロボロで、金薔薇の刺繍が赤薔薇になるほど血が滲んでいた。

 顎を掴まれると、噛みつくように唇を奪われる。

「んっ……く」

 指に力を入れ、口を閉じられないようにされると、分厚い舌が流水の勢いで入り込んでくる。その時、ぬるりと何かが喉を通った。

「ふっ、ん……」

 口内を舐め回され、舌を舌でからめとられる。足に力が入らないため、どんどん手首に体重がかかっていく。ただの紐ならいくらでも引き千切れたが、手首を縛っているのはシャドーリスの水だ。

「こら。しっかり立て」

 腰に手を回し、弟分の身体を支えてやる。

「そんなに気持ちがいいか?」

 手首の痛みは緩和したが、感謝の言葉など出るはずもない。

「いえ……。乱暴すぎてキスとは言えないです。獣ですか、貴方は」
「手厳しいな! だが気の強い奴は好きだぞ」

 シャドーの爪がコツコツとモノクルを叩く。

「これ邪魔だな! なんでカリス殿のように腕輪にしなかったのだ?」
「……似合いませんか?」
「ははは! 可愛い奴」

 はぐらかされても怒り出さないあたり、そこまで気になっていなかったのだろう。モノクルに当たるのも構わず、唇を唇に重ねる。

「んん」
「敗者は惨めだな。ん? そう思わないか?」
「あっ!」

 ビクッとキャットの身体が反応する。何かが直に肌を撫でたのだ。

(これは……)

 シャドーの水だ。スライムのように動き、服の中を這いずっている。

 ――戦いでは使わなかったのに、こんなところで!

「んっ、ン!」

 ぷるぷるとした水が服の中を動き回る。それは複数の指のようなので、くすぐったい。

「はぁ……ぁ」
「色っぽい顔が出来るようになったな。見てて愉快だぞ!」
「んンッ」

 両手を縛られ腰を抱かれているせいで、満足に身を捩ることも出来ない。次第に水指の数は増えていき、声を押さえるのが困難となる。

 全身が粟立つ。

「あ、あ……あぁ」

 腕が振るえるが、紐は千切れない。

 水指が内またをくすぐり出す。足を閉じようとしたがシャドーリスの足がねじ込まれた。

 シャドーの太ももでぐっと股間を押し上げられ、ゾクッと腰が甘く痺れる。

「あ……。おやめ、ください」

 顔を見られたくなくて項垂れながら頼むも、即座に顎を掴まれ顔を持ち上げられる。

「っ」

 シャドーは何か言うでもなく、口角を上げた顔で眺めてくる。かなり密着しているので顔が熱くなった。顔を背けたいのに手を離してはくれない。

「ひ! ぁ……」

 水が胸に吸いついた。ぴりっと痛みが走る。反射的に腰を引くが腕があるので動かせない。

「あ、いや……。嫌だ……」
「んー? 胸が気持ちいいのか? そうかそうか」

 指の腹で胸の突起に小さな円を描かれる。右胸はツンツンとつつかれ、ビクッビクッと小さく跳ねてしまう。

 おかしい。約一名を除いて、少し触られただけでこんなに反応はしないはず。

「なにか……しましたか?」

 シャドーが髪を撫でてくる。

「媚薬だ。この前、医学部の者にぽんっともらってな」

 先ほど喉を通過したのは、それか。

「とりあえず医学部は今度潰すとしまして……。媚薬に頼らないと、自信ないのですか?」
「使えば気持ち良くなって楽しめるぞ! 媚薬は悪いものではない」

 そういう意味じゃないです。挑発に乗ってこないな。この御方。

 満面の笑みで尻を鷲掴んできた。

「いっ」

 もみもみと揉まれる。

「やめてくださ……。あ、はぁ……」

 胸をきゅっと摘まれ、もう片方は軽く引っ張られる。それ以外にもお腹を水指がくすぐり、身体に熱が籠っていく。何とか逃れようと、腰をくねくねと動かそうとする。

「んく、はあ、あ……。シャドー……うあ」

 薬のせいか、もう軽くイってしまいそうになる。

 だが水がペニスの根元にキュッと巻き付いた。たまらず叫んでしまう。

「――ああッ!」
「いい声だな! これでイけなくなっただろう。まだまだ、楽しもうな?」
「いや……です」

 声が震えていた。寒いからではない。吐息に熱が混じっている。

 胸を弄られ、全身をくすぐられその様子を観察される。

「ッ、見ないで、ください」
「いやいや! ここで別のものを見ていたら勿体ないだろう」

 強引に唇を奪われる。シャドーリスのことは嫌いではないが、恋愛感情とは全く違う「好ましい」なので、鳥肌が立ってしまう。

「ひぃっ!」

 ゆるりとペニスの先端を撫でられる。水は自由に形を変えると、なんと尿道から中に侵入してきたのである。

「な、なに……ッ⁉」

 戦士とはいえ男の弱点だ。流石に動揺を露わにするが半笑いのシャドーリスに宥められる。

「落ち着け。水だ。痛い思いはさせない。じっとしていれば気持ち良くなる!」
「……う」

 そう言われても素直に怖い。しかし頭の隅では「拷問に使えそうだな」と考えがあった。

 水は連なる玉。数珠のような形になり、ナカを上下に擦り始めた。

 ビリビリビリと、感じたことのない刺激が脳に走る。

「う、ああ! やめっ! ~~~ッ、あ、ああ! ひゃあ……ああッああ、ああーーー!」

 たまらず目を見開いた。

 小刻みに震えるのが止まらない。気持ちいいのかなんなのか分からず、頭が真っ白になる。

 コリコリと内壁を擦りながら、水は奥へと進んでいく。

「あ、あ……。いや。シャドーリス……さま。アッ。ああ。ああ!」

 奥に、奥へと数珠水は進む。

「か、あ。んうう! も、ひあああ、あああ! やめ、アアッ」

 意識を飛ばしてしまいたいほどだが、時折思い出したように腹をくすぐられ、ビクッと現実に引き戻される。

「いやあ! ああ、も、もう……」

 舌を出して喘ぐキャットに、にんまりと笑う。

「なんだ。誘うのが上手くなったか? そうか。後ろも同じようにしてほしいか」

 恐ろしいことを言われたが首を振ることも出来ない。

「あっ。ああ、いや……」
「お前は女のように喘ぐのだな。可愛くてペットにしたいが……怒るんだろうなぁ。カリス殿」

 面倒だと言うように頭部を掻いている。

 すると――ぴたっと、すべての水の動きが止まった。だが安堵できない。何か、嫌な予感がするのだ。

 今のうちに呼吸を整えようとする。

「どうだ? 気持ちがいいか? 気持ち良いですと言ってみろ」

 するりと頬を撫でられる。

 そんなこと言ってたまるか。弱々しく首を横に振ると、尿道の数珠水が激しく上下に動き始めた。

「う、うあああああ―――」

 意思とは関係なくのけ反ってしまうが、コリコリ、コリコリと速度は弱まらない。一定のリズムで液体以外通ったことのない道を擦り続ける。

「いやぁ! やめてっ、やめ、ああああーーーッ。いや、いやあああ!」
「おおっ。お前がそんな風に叫ぶとはな。酒でも持ってくればよかったか」

 兄貴分はのんきに自身の顎を撫でて見学する。

 キャットの抵抗に木の方が耐えきれず、ミシミシと裂けてきてしまうがシャドーはまったく気にしていない。

「ん、アアアッ! シャド……ああああ! 止めて、止めてくださ……ッ――ア。もう、ひいい! シャドーリス様アァ!」

 あまりの激しい刺激に痙攣が止まらないのに、脳はとろけそうで。

「擦らないで! いやあああッ」
「では素直に言えばよかろう」

 突っ立っているのに飽きてきたのか、悲鳴を上げる口を塞ぐ。

「んあっ、んぐ。ふ……ッんんん、んう。んううっ……」

 キスされていることにしばらく気づかないほど、脳内は刺激でいっぱいだった。

 イきたい。擦られ下半身は熱いほどなのに、根元に巻きついた紐が自由にしてくれない。

「ん……はあ。とめ、止めて!」

 紐を外したくて腰が勝手に動いてしまう。あろうことか、兄の股間に擦りつけていた。

「んー? イきたいのか? 今イってしまって大丈夫か? 薬で敏感になっているのに、ここでイってしまうともう、理性を失うぞ?」
「あうっ!」

 シャドーが何か言った気がした。その直後、数珠水が少し大きくなったように感じる。

 そのせいか余すとこなく、内壁に当たった。

「いや! やめて。シャドーリス……あああっ! おやめくださ……! お願、あ、あああ、ああああ!」

 満月の瞳に涙が滲む。

 ―ー変になってしまう!

 気恥ずかしさもプライドもかなぐり捨てていた。壊れることを恐れたのだ。

「気持ち……良い。気持ち良いですから! うあああああ! もう、ああああいやだああ!」
「可愛い奴。もっと泣かせたいな」
「止めて! 言ったでしょう! ああああ! 壊れる! んあ、ああああっ」

 訴えをシャドーはほぼ聞いていなかった。

 もっと泣かせて、すました顔を涙でぐちゃぐちゃにしてやりたい。その後に魔王城の広場にでも設置して、その光景を四天王全員で楽しんでやりたいほどだ。

 しかし捕虜でもない上に、キャットは自分より上の立場だ。流石に許されないだろう。……いや、魔王様ならオーケーしてくださる気もする。

「ああ、そうだ。よく言えたな。褒美にイかせてやろうな」

 褒めるような口ぶりだが、サメのように獰猛に笑っている。

 分厚い燕尾服の上からきゅうっと乳首を摘まれた。途端に電流が走り、絶頂に似た甘い快感が駆け抜ける。

「――――ッ⁉ ―――ッ……アッ……う、ッああぁああ……」

 喉の奥から絞り出すような声がする。

 イったのだろうか。だがまだきつく根元を縛られたままだ。射精は出来ていない。それなのに。これは、なんだ……?

「は……。う、あ」

 ようやく余韻が消える。

 水の動きも止まり、キャットは完全に脱力した。疲労感が凄まじく、全身が重い。

「はあ……。う……」
「甘イキしたか? はは! その様子からして……初めてか。射精なしのドライのことだが。気持ち良かったんじゃないか?」

 ブツッと手首を縛っていた水が切れ、座り込んだキャットは木の根もとにもたれかかる。

「……」

 回復は早いが今は動けない。

 ナカにまだ水が残っており、動いていなくても異物があるだけで熱が下がらなかった。しかもこれは兄の操る水。自分ではまず取り出せない。

「さて。どうするか。ごっちん様にあまり虐めるなと言われているからな」

 まだ何かされるのかとぼやけた頭で考えるが、シャドーは片膝をついた。

「?」

 どうしたのだろうと顔を上げると、吹雪の中、黒髪の少年が突っ立っていた。

「――ごっ」

 すぐさま冷気を引っ込める。気温が「上がり」、氷点下まで戻る。シャドーは内心ホッと息を吐いていた。

「ごっちん様」
「すまないが戻ってきてくれ。カリスが若干暴走気味でな。怖いのだ」

 さくさくと雪を踏んで近づいてくる。

 寒いのか、座り込んだままのキャットに抱きついた。固まっているとはいえ、血で汚れてしまうと言う前に、小さな手が心臓の上を撫でる。

「んっ」
「ずいぶん可愛がってもらったようだな」
「ごっ……ごっちん様?」

 顔が赤く染まっていく。まだ私に慣れないのかこの子は。

「何をされたんだ。私に教えてくれないか?」

 小悪魔の笑みでとんでもない要求をしてくる。

「へ? ……へ?」

 言えと? 自分の口から。シャドーに何をされたかを。愛しい主に?

 笑みが引きつり、ぐるぐると目が回っていく。

「お……。お許しを」
「ほほーう。ジュリス! ごっちん様の命令……頼みが聞けないと?」

 嬉しそうな笑みでシャドーも混ざってくる。うわああ。貴方様はどっか行け!

「悪い子だな。キャット。まだお仕置きが足りないと見える」
「へ? あ、あ、いえ。あの、その」
「シャドー。続きをしてやるがいい」

 キャットは魂が出そうな顔だったが、兄貴分は元気いっぱいに立ち上がるとどんと胸を叩いた。

「はっは! お任せを」
「え、やだ……! ひうっ」

 ごっちんにはむっと、耳を甘噛みされる。一気に熱がぶり返した。

「お許しを」

 ほぼ涙目だったが、ごっちんは猫のようにぺろぺろと耳を舐めてくる。そして――ちらりとシャドーを横目で見つめた。

「シャドー。ついでだ。(カリスにやられた腹いせに)お前も、可愛がってやろう」
「へ?」

 まさかの言葉にシャドーの動きが止まった。仕掛け人からドッキリにかけられる側に回されたような――。













 後日。

「息子とシャドーリスのアホに無言で殴られたんだけど。ごっちん様、何か知らない?」
「知らないな」
「そっか。反抗期かぁ?」


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