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第16話・ターゲットを尾行せよ!⑤
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「え、あ、いや。うん。大丈夫なのは…大丈夫だが…?」
「全く。元々は拳通しの喧嘩に鉄パイプはまだしも刃物なんて持ち込むなんてふざけた事する連中だな!喧嘩の道理っていうものを全く分かってない!」
なんて手にしたナイフを遠くに放り投げてから杉原達の方へと言い放つと。
「ふ、ふざけてるのはお前だあああ!!なんだその格好!?ふざけた格好しやがって!!」
「あ」
全力で指摘されて俺は初めて擬態したままだった事に気が付く。
道理で無事か聞いた時の高間の反応もおかしいと思った。
なんて思いながら、俺は仮面と手袋を脱ぎ捨てて本来の姿を露にする。
それと同時に斬られた左腕がじんじんと痛むが、まあ、これぐらいなら、後でつばでもつけておけば直る程度だろうと、軽く回して十分に動くのも確認しておいた。
「とりあえず、これ以上ルール違反な真似するつもりなら俺がまとめて相手にやってやろう」
「な、何なんだよ、てめぇは!急に出てきて関係ないのに格好つけてんじゃねぇぞ!!」
「関係なくはないんだよなぁ、それが。うちの生徒が危ない目にあっているのを見過ごすわけにはいかねぇんだよ。生徒会長としてはな」
「生徒会長?お前が?」
俺の言葉に杉原が怪訝そうな声を上げる中、生徒に一人が何かに気が付いたようにはっとして声を上げた。
「阿久津野学園の生徒会長…?って、まさか、お前、赤城陽斗か!?」
「そうだけど。なんだよ。俺の名前知ってるやつがいるとか、俺って結構有名なのか?」
なんて軽く首を傾げて問いかける俺に、声を上げた男子生徒は顔を青褪めさせると杉原に向けて告げる。
「杉原さん…!不味いっすよ、相手がやばすぎますって…!」
「はぁ?何だよ。阿久津野ならいいところのお坊ちゃんとかだろ?なら獅童さんに言ってバックにいる怖い人達に動いて貰えばいいだろうが」
「そんな、獅童さんの背後にいる人達レベルじゃどうこう出来る相手じゃないんですって!赤城陽斗と言えば国家を裏で操っている大富豪の1人である赤城大財閥の社長の息子で、その気になれば獅童さんの背後にいる組織なんて一捻りできる地位にいる人ですよ父親は!!俺の従兄弟があいつと同じ中学に通ってて色々と聞いてるんっすよ!」
「な、まじかよ…!」
いや、なんかすごい噂が立ってるな。
尾びれも背びれもつきまくりの。
確かにうちは大財閥だと言われてはいるけれど、そんな裏で国家を操るレベルではないんだけどな。
まあ、うちの親父は天皇陛下や現総理大臣と会食したことはあるらしいけれど。
それも親父だけじゃなくて何人もの富裕層の人達と一緒にってだけだし。
国の政に口を出して変えさせることなんてできる身分では決してないからな。
「しかも父親の地位だけじゃなくてあいつ本人も無茶苦茶喧嘩が強くて、中学時代はどこの中学の不良グループにも負けた事がなかったとか。それどころか、噂ではあの極悪非道で有名で警察もお手上げだった集団《ダーク・スネーク》を一晩で壊滅させた張本人だとか…!!」
「げぇっ!?俺達が敵に回したくなくて表立って行動できなかった原因のあいつらを!?まじかよ!?」
続いた情報に、杉原は目を大きく見開いて、俺の方を驚愕の表情で見てくる。
………うん。噂って怖いなぁ。
「とにかく、あいつに手を出すのは不味いですってぇ!学校ごと潰されるかもしれませんよ!?家も突き止められて一家全員消されるかも…!!」
「いやいやいや!俺の家、どれだけあくどい事してんだよ!?そんなことしないっての!」
流石にその言葉には反論したけれど、生徒のその言葉はかなりの効果があったらしい。
杉原までもが顔を青褪めさせて俺の方を見た後は。
「し、仕方ねぇ。此処は一旦退却するぞ!」
と、どこか震えた声でそう告げて、その場を走り出してげ去ってしまう。
残っていた生徒達も同様に、杉原の後を追う様に走り去っていった。
「全く。元々は拳通しの喧嘩に鉄パイプはまだしも刃物なんて持ち込むなんてふざけた事する連中だな!喧嘩の道理っていうものを全く分かってない!」
なんて手にしたナイフを遠くに放り投げてから杉原達の方へと言い放つと。
「ふ、ふざけてるのはお前だあああ!!なんだその格好!?ふざけた格好しやがって!!」
「あ」
全力で指摘されて俺は初めて擬態したままだった事に気が付く。
道理で無事か聞いた時の高間の反応もおかしいと思った。
なんて思いながら、俺は仮面と手袋を脱ぎ捨てて本来の姿を露にする。
それと同時に斬られた左腕がじんじんと痛むが、まあ、これぐらいなら、後でつばでもつけておけば直る程度だろうと、軽く回して十分に動くのも確認しておいた。
「とりあえず、これ以上ルール違反な真似するつもりなら俺がまとめて相手にやってやろう」
「な、何なんだよ、てめぇは!急に出てきて関係ないのに格好つけてんじゃねぇぞ!!」
「関係なくはないんだよなぁ、それが。うちの生徒が危ない目にあっているのを見過ごすわけにはいかねぇんだよ。生徒会長としてはな」
「生徒会長?お前が?」
俺の言葉に杉原が怪訝そうな声を上げる中、生徒に一人が何かに気が付いたようにはっとして声を上げた。
「阿久津野学園の生徒会長…?って、まさか、お前、赤城陽斗か!?」
「そうだけど。なんだよ。俺の名前知ってるやつがいるとか、俺って結構有名なのか?」
なんて軽く首を傾げて問いかける俺に、声を上げた男子生徒は顔を青褪めさせると杉原に向けて告げる。
「杉原さん…!不味いっすよ、相手がやばすぎますって…!」
「はぁ?何だよ。阿久津野ならいいところのお坊ちゃんとかだろ?なら獅童さんに言ってバックにいる怖い人達に動いて貰えばいいだろうが」
「そんな、獅童さんの背後にいる人達レベルじゃどうこう出来る相手じゃないんですって!赤城陽斗と言えば国家を裏で操っている大富豪の1人である赤城大財閥の社長の息子で、その気になれば獅童さんの背後にいる組織なんて一捻りできる地位にいる人ですよ父親は!!俺の従兄弟があいつと同じ中学に通ってて色々と聞いてるんっすよ!」
「な、まじかよ…!」
いや、なんかすごい噂が立ってるな。
尾びれも背びれもつきまくりの。
確かにうちは大財閥だと言われてはいるけれど、そんな裏で国家を操るレベルではないんだけどな。
まあ、うちの親父は天皇陛下や現総理大臣と会食したことはあるらしいけれど。
それも親父だけじゃなくて何人もの富裕層の人達と一緒にってだけだし。
国の政に口を出して変えさせることなんてできる身分では決してないからな。
「しかも父親の地位だけじゃなくてあいつ本人も無茶苦茶喧嘩が強くて、中学時代はどこの中学の不良グループにも負けた事がなかったとか。それどころか、噂ではあの極悪非道で有名で警察もお手上げだった集団《ダーク・スネーク》を一晩で壊滅させた張本人だとか…!!」
「げぇっ!?俺達が敵に回したくなくて表立って行動できなかった原因のあいつらを!?まじかよ!?」
続いた情報に、杉原は目を大きく見開いて、俺の方を驚愕の表情で見てくる。
………うん。噂って怖いなぁ。
「とにかく、あいつに手を出すのは不味いですってぇ!学校ごと潰されるかもしれませんよ!?家も突き止められて一家全員消されるかも…!!」
「いやいやいや!俺の家、どれだけあくどい事してんだよ!?そんなことしないっての!」
流石にその言葉には反論したけれど、生徒のその言葉はかなりの効果があったらしい。
杉原までもが顔を青褪めさせて俺の方を見た後は。
「し、仕方ねぇ。此処は一旦退却するぞ!」
と、どこか震えた声でそう告げて、その場を走り出してげ去ってしまう。
残っていた生徒達も同様に、杉原の後を追う様に走り去っていった。
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