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第14話・ターゲットを尾行せよ!③
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杉原と間堀の子分の男子生徒達が殺気を隠さずに詰め寄る中、高間は表情一つ変えずに言葉を放つ。
「別に杉原さんの面子とか俺には関係ないですし。さっきも言ったけどそっちが先に喧嘩売って来たんで買っただけっすから」
「言ってくれるねぇ、高間ちゃん。あくまで詫びる気はないって事だな?」
「必要性を感じないんで」
なんてあくまで冷静に答えるあたり、高間にはかなり余裕があるように見える。
いや、実際かなり喧嘩慣れしているのだろうとは思うんだけれど。
「おいおい、高間の奴大丈夫なのかよあれ」
「数が数だからなぁ」
「え?あれぐらいなら普通にいけるだろ」
「は?いけるって陽斗お前なに言って…って、そうだったわ。お前も普通にいける側だったわ」
「まあ、陽斗は昔から負け知らずだからなぁ。護身術に全ての武術習得しているし」
なんて会話を繰り広げている間にも、高間の状況は悪化していく。
「ならしかたねぇな。此処で落とし前付けさせてもらうぜぇ」
「それも遠慮したいんっすけど。俺暇じゃないんで」
「相手にしないってんなら仕方ねぇわな。じゃあ、代わりに高間ちゃんの可愛い幼馴染に責任取ってもらうかねぇ」
杉原の言葉に俺ははっとする。
もしかしてそれってと俺が考えるよりも早く、今日初めて高間が焦ったように声を荒げた。
「柚希は関係ないだろ!?」
ああ、やっぱりそうだ。
斎藤先輩のことも、こいつらは知っているのか。
「関係はないけどさぁ、高間ちゃんが相手してくれないなら仕方ないっしょ。幼馴染ちゃん美人で可愛いもんねぇ。獅童さんにプレゼントしたら大喜びしてくれそうだなぁ。あの人可愛ければ男も女も関係ないもんねぇ」
杉原の言葉に高間はぎりっと軽く歯ぎしりをしてから言った。
「やめろ、柚希には手を出すな!俺が相手をすればいいんだろう!?」
「分かってんじゃないのよ。そーいう事。ここで落とし前付けさせてくれれば高間ちゃんの大事な幼馴染みを巻き込んだりはしねぇから安心しなよ」
「分かった。気が済むまで相手してやる。その代わり柚希に何かしたらただでは済まさないからな」
完全に戦闘態勢に入った高間を見て、杉原はにやりといやらしい笑みを浮かべた。
それと同時に俺はまた何とも複雑な気分に陥る。
だってさ、高間のあの様子ってさ。
「なぁ、時雨さん」
「なんだい、陽斗君」
「高間のあれはどう見ます?黒ですかね?」
「あー、あれは完全に黒ですね。斎藤先輩に惚れ込んでると思われます」
「やっぱりかーっ」
時雨の言葉に俺は思わず項垂れてしまう。
完全に俺のライバルじゃないかと。
しかも相手は先輩の大事な幼馴染みで、先輩自身は恋愛感情はないって否定はしていたけれど、嫌われてしまったと思って一時は死まで考えてしまう辺り気が付いてない可能性も十分有り得る。
どう考えたって俺の方が分が悪すぎる。
それに先輩は自分が裏切ったから嫌われて距離を置かれてしまっているってあの後も言っていたけれど、高間のこの様子からして嫌っているようにはどうしたって見られない。
多分、俺の考え通りなら逆なんだろうと思う。
それにやっぱり、幼馴染って言うのは強いんだよな。
凄く、強いんだ。
そこまで考えて俺は慌てて頭を振った。
誰かの顔が一瞬脳裏をよぎった気がしたから。
まあでもまだ結ばれてないなら俺にだってまだチャンスはあるはず!
ワンチャンぐらいは!
なんて相変わらずの恋愛運の無さぶりに落ち込みそうになるのを勇気づけて様子を見守る方に専念する事にする。
「よーし、お前ら!相手は1人だ!遠慮なくボコボコにしてやんなぁ!」
「「「「「「おおおおおおおおおおおっ!!」」」」」」
大きく杉原が声を張り上げるのと同時に唸るように声を上げる男子生徒達。
しかもその数は、またどこから湧いて出たのか、先程の倍以上になっていた。
「おいおいおい、これは流石に多いだろ…!」
「え?そうか?あれぐらいならうまく立ち回ればそんなに難しくないと思うけどな」
「いや、お前の意見は聞いてないからな陽斗」
俺達がそんな会話を繰り広げている間に喧嘩は始まってしまっていたりするんだが。
「別に杉原さんの面子とか俺には関係ないですし。さっきも言ったけどそっちが先に喧嘩売って来たんで買っただけっすから」
「言ってくれるねぇ、高間ちゃん。あくまで詫びる気はないって事だな?」
「必要性を感じないんで」
なんてあくまで冷静に答えるあたり、高間にはかなり余裕があるように見える。
いや、実際かなり喧嘩慣れしているのだろうとは思うんだけれど。
「おいおい、高間の奴大丈夫なのかよあれ」
「数が数だからなぁ」
「え?あれぐらいなら普通にいけるだろ」
「は?いけるって陽斗お前なに言って…って、そうだったわ。お前も普通にいける側だったわ」
「まあ、陽斗は昔から負け知らずだからなぁ。護身術に全ての武術習得しているし」
なんて会話を繰り広げている間にも、高間の状況は悪化していく。
「ならしかたねぇな。此処で落とし前付けさせてもらうぜぇ」
「それも遠慮したいんっすけど。俺暇じゃないんで」
「相手にしないってんなら仕方ねぇわな。じゃあ、代わりに高間ちゃんの可愛い幼馴染に責任取ってもらうかねぇ」
杉原の言葉に俺ははっとする。
もしかしてそれってと俺が考えるよりも早く、今日初めて高間が焦ったように声を荒げた。
「柚希は関係ないだろ!?」
ああ、やっぱりそうだ。
斎藤先輩のことも、こいつらは知っているのか。
「関係はないけどさぁ、高間ちゃんが相手してくれないなら仕方ないっしょ。幼馴染ちゃん美人で可愛いもんねぇ。獅童さんにプレゼントしたら大喜びしてくれそうだなぁ。あの人可愛ければ男も女も関係ないもんねぇ」
杉原の言葉に高間はぎりっと軽く歯ぎしりをしてから言った。
「やめろ、柚希には手を出すな!俺が相手をすればいいんだろう!?」
「分かってんじゃないのよ。そーいう事。ここで落とし前付けさせてくれれば高間ちゃんの大事な幼馴染みを巻き込んだりはしねぇから安心しなよ」
「分かった。気が済むまで相手してやる。その代わり柚希に何かしたらただでは済まさないからな」
完全に戦闘態勢に入った高間を見て、杉原はにやりといやらしい笑みを浮かべた。
それと同時に俺はまた何とも複雑な気分に陥る。
だってさ、高間のあの様子ってさ。
「なぁ、時雨さん」
「なんだい、陽斗君」
「高間のあれはどう見ます?黒ですかね?」
「あー、あれは完全に黒ですね。斎藤先輩に惚れ込んでると思われます」
「やっぱりかーっ」
時雨の言葉に俺は思わず項垂れてしまう。
完全に俺のライバルじゃないかと。
しかも相手は先輩の大事な幼馴染みで、先輩自身は恋愛感情はないって否定はしていたけれど、嫌われてしまったと思って一時は死まで考えてしまう辺り気が付いてない可能性も十分有り得る。
どう考えたって俺の方が分が悪すぎる。
それに先輩は自分が裏切ったから嫌われて距離を置かれてしまっているってあの後も言っていたけれど、高間のこの様子からして嫌っているようにはどうしたって見られない。
多分、俺の考え通りなら逆なんだろうと思う。
それにやっぱり、幼馴染って言うのは強いんだよな。
凄く、強いんだ。
そこまで考えて俺は慌てて頭を振った。
誰かの顔が一瞬脳裏をよぎった気がしたから。
まあでもまだ結ばれてないなら俺にだってまだチャンスはあるはず!
ワンチャンぐらいは!
なんて相変わらずの恋愛運の無さぶりに落ち込みそうになるのを勇気づけて様子を見守る方に専念する事にする。
「よーし、お前ら!相手は1人だ!遠慮なくボコボコにしてやんなぁ!」
「「「「「「おおおおおおおおおおおっ!!」」」」」」
大きく杉原が声を張り上げるのと同時に唸るように声を上げる男子生徒達。
しかもその数は、またどこから湧いて出たのか、先程の倍以上になっていた。
「おいおいおい、これは流石に多いだろ…!」
「え?そうか?あれぐらいならうまく立ち回ればそんなに難しくないと思うけどな」
「いや、お前の意見は聞いてないからな陽斗」
俺達がそんな会話を繰り広げている間に喧嘩は始まってしまっていたりするんだが。
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