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第5話・事件は突然に④
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「はぁぁ、助かった。今回ばかりはまじで死ぬかと終わった…」
安全な場所に移動してしまえば、流石の俺も力が抜けてコンクリートの上にへたり込む。
「陽斗!」
「大丈夫か、陽斗!」
そんな俺の元へ律樹達が駆けつけてくる姿を見て軽く笑みを浮かべる。
「ああ。なんとかな。お前達のおかげで助かった」
「全くお前は…!戻ってくるのが遅いと思えばとんでもない事をしているのだからな」
「流石にあれは俺も肝が冷えたぞ…」
「はは、悪い悪い。心配かけたな。財布取りに戻った時に飛び降りようとしているのを見つけて、放っておけなかったんだ。それに…」
『御免…御免な……陽斗…御免…』
微かに苦笑して俺は3人に告げた後、自分の手へと視線を落とす。
「救えたはずの人間を救えずに後悔するのは…もう、嫌だったから…」
『俺が…弱かったから…弱くて負けてしまったから……御免、陽斗…』
そう。
あの時のような後悔は、もう二度としたくはないから。
「っ……!」
「………………」
「………………」
静かに零した俺の言葉に、律樹は小さく息を飲んだ後悲しげに目を伏せた。
時雨と友成もまた複雑な表情を浮かべて沈黙を保つ。
少しの間重い空気がその場に流れたが、断ち切ったのは俺自身だった。
「ま、今回はちゃんと救えたんだし、結果オーライってやつだな!律、悪いけど、手かしてくれるか自力ではまだうまく立てなくてな」
「あ、ああ」
告げながら差し出した手を律樹に引っ張って立ち上がらせてもらい、軽く息をついて、制服についたほこりなどを払っていると、青い顔をした学園長達が走り寄って来た。
「赤城君!!大丈夫かね!?怪我などは…!?」
「ああ、学園長。大丈夫です。どこも怪我はしていないですから、俺も先輩も」
「そ、そうか!良かった…本当に良かった!生徒を救ってくれたのは有り難いが、君に万が一の事でもあれば赤城さんにどう詫びていいものか…!!本当に申し訳なかった!」
今にもコンクリートに頭をこすりつけて土下座しそうな勢いの学園長達を見て俺は苦笑しつつ、首を横に振って言った。
「いや、本当に大丈夫ですから。それに学園長達のせいじゃありませんし。俺が勝手にやった事ですから。ああ、でもフェンスはもう少し強化してもらえると有り難いかもです」
流石にいつ取れるかも分からない留め具では安心できないと告げると、学園長はしっかりと首を縦に振った。
「ああ、勿論だとも!先日業者に点検してもらって問題ないと報告を受けたばかりだったのだが、どうやら問題ある業者だったらしい。すぐに手を切ってもっと信頼出来る業者に補強してもらうとしよう。すぐに!」
「はい。宜しくお願いします」
学園長達がこんなに必死になるのは、うちの親父がこの学園の卒業生であり、今は多額の融資をして学園の資金源を支えている理事長でもあるからなんだよな。
まあ、あの親父の事だから、俺に万が一のことがあったとしてもだ。
「あいつが自分の意志で行動して起こった結果ならば仕方がない」
と、学園長達を責めたり、融資を切ったりする事はないだろうけれど。
常日頃から、お前ももう高校生になったのだから、自分の行動には自分で責任を取れるようにならなくてはならないと言われているしな。
何とか学園長達を宥め切ってから改めて辺りを見回すと、少し離れた場所で心配するクラスメート達に囲まれ謝罪の言葉を告げている先輩の姿を発見する。
あの様子だとクラスで虐められててそれを苦にしてと言う訳でもないようだし、そこは良かったとほっと安堵の息をついて見守っていると、先輩と目が合うのを確認して軽く会釈して見せる。
先輩は、クラスメート達に何か言葉をかけてから俺達の方へと駆け寄ってきた。
安全な場所に移動してしまえば、流石の俺も力が抜けてコンクリートの上にへたり込む。
「陽斗!」
「大丈夫か、陽斗!」
そんな俺の元へ律樹達が駆けつけてくる姿を見て軽く笑みを浮かべる。
「ああ。なんとかな。お前達のおかげで助かった」
「全くお前は…!戻ってくるのが遅いと思えばとんでもない事をしているのだからな」
「流石にあれは俺も肝が冷えたぞ…」
「はは、悪い悪い。心配かけたな。財布取りに戻った時に飛び降りようとしているのを見つけて、放っておけなかったんだ。それに…」
『御免…御免な……陽斗…御免…』
微かに苦笑して俺は3人に告げた後、自分の手へと視線を落とす。
「救えたはずの人間を救えずに後悔するのは…もう、嫌だったから…」
『俺が…弱かったから…弱くて負けてしまったから……御免、陽斗…』
そう。
あの時のような後悔は、もう二度としたくはないから。
「っ……!」
「………………」
「………………」
静かに零した俺の言葉に、律樹は小さく息を飲んだ後悲しげに目を伏せた。
時雨と友成もまた複雑な表情を浮かべて沈黙を保つ。
少しの間重い空気がその場に流れたが、断ち切ったのは俺自身だった。
「ま、今回はちゃんと救えたんだし、結果オーライってやつだな!律、悪いけど、手かしてくれるか自力ではまだうまく立てなくてな」
「あ、ああ」
告げながら差し出した手を律樹に引っ張って立ち上がらせてもらい、軽く息をついて、制服についたほこりなどを払っていると、青い顔をした学園長達が走り寄って来た。
「赤城君!!大丈夫かね!?怪我などは…!?」
「ああ、学園長。大丈夫です。どこも怪我はしていないですから、俺も先輩も」
「そ、そうか!良かった…本当に良かった!生徒を救ってくれたのは有り難いが、君に万が一の事でもあれば赤城さんにどう詫びていいものか…!!本当に申し訳なかった!」
今にもコンクリートに頭をこすりつけて土下座しそうな勢いの学園長達を見て俺は苦笑しつつ、首を横に振って言った。
「いや、本当に大丈夫ですから。それに学園長達のせいじゃありませんし。俺が勝手にやった事ですから。ああ、でもフェンスはもう少し強化してもらえると有り難いかもです」
流石にいつ取れるかも分からない留め具では安心できないと告げると、学園長はしっかりと首を縦に振った。
「ああ、勿論だとも!先日業者に点検してもらって問題ないと報告を受けたばかりだったのだが、どうやら問題ある業者だったらしい。すぐに手を切ってもっと信頼出来る業者に補強してもらうとしよう。すぐに!」
「はい。宜しくお願いします」
学園長達がこんなに必死になるのは、うちの親父がこの学園の卒業生であり、今は多額の融資をして学園の資金源を支えている理事長でもあるからなんだよな。
まあ、あの親父の事だから、俺に万が一のことがあったとしてもだ。
「あいつが自分の意志で行動して起こった結果ならば仕方がない」
と、学園長達を責めたり、融資を切ったりする事はないだろうけれど。
常日頃から、お前ももう高校生になったのだから、自分の行動には自分で責任を取れるようにならなくてはならないと言われているしな。
何とか学園長達を宥め切ってから改めて辺りを見回すと、少し離れた場所で心配するクラスメート達に囲まれ謝罪の言葉を告げている先輩の姿を発見する。
あの様子だとクラスで虐められててそれを苦にしてと言う訳でもないようだし、そこは良かったとほっと安堵の息をついて見守っていると、先輩と目が合うのを確認して軽く会釈して見せる。
先輩は、クラスメート達に何か言葉をかけてから俺達の方へと駆け寄ってきた。
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