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第4話・事件は突然に③
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暫くの間、俯き迷うような様子を見せていた先輩だったが、やがてゆっくりと顔を上げて頷いてくれる。
「……迷惑かけて…ごめん…僕…」
「いえ、辛くてどうしようもない事は誰にでもある事は分かりますから」
そう、辛くてどうしようもなくて、死ぬことでしか救われないと思ってしまう事は誰にでもあるんだ。
『御免…御免な……陽斗…。御免…』
「…有り難う…」
そう言って先輩が俺の手を取ろうと手を側した時だった。
「あっ…!?」
「!?」
狭い足場でバランスを崩してしまった先輩は足を滑らせてしまい、体が横にふらついてしまう。
フェンスとは反対側に。
不味いと思った時には、俺の体は自然に動いていて横からも下からも悲鳴が上がる中、一気に距離を縮める様に先輩の側まで飛び何とか右手で落ちそうになっていた先輩の体を抱きとめる事に成功した。
左手はしっかりとフェンスの網の部分を掴んだまま。
「あっぶねぇ…!間一髪だったな…」
「あ……」
「大丈夫ですか、先輩?」
「あ、赤城君…?御免、また迷惑を…」
「いえ。今のは仕方ないですよ。少し待ってくださいね。今ちゃんと引き上げますから」
「う、うん。有り難う」
「一人でまた立てそうですか?」
「あ、うん…。それは大丈夫だと思う…」
「それならよかった。よっと…しっかりフェンスに捕まってくださいね」
「う、うん」
教師や生徒達が安堵の息をついて見守る中、そんな話をしながらなんとか先輩を引き上げて体勢を立て直させると近くに来ていた律樹に声を掛ける。
「律。先に先輩を登らせるから、無事にそっち側に回れるように見ててやってくれ」
「…ああ、分かった。陽斗、お前はどこも痛めたりしていないのか?」
「ああ、俺は大丈夫。なんともない」
「そうか。ならいいが、全く無茶をする…」
「悪いな。見過ごせなくてな。よし、じゃあ、先輩、先に登って戻ってください。俺はまた落ちないように見守ってるんで」
「…うん。分かった。有り難う」
俺の言葉に頷いて先輩が登ろうとフェンスに足をかけたその時だった。
一難去ってまた一難とはよく言ったものである。
バキンッ。
と、何かが俺てはじけ飛ぶような音を耳にして、え?と思った次の瞬間には、俺達の捕まっていたフェンスと隣のフェンスを止めていた、留め具か釘かは分からないが、それが弾け飛んで外れてしまい、結果俺達が捕まっていたフェンスが俺達の方へと倒れてしまう事になっていたんだ。
「ああっ!?」
「うおおっ!?」
結果的に俺達はフェンスに捕まった状態でなすすべもなく宙に放り出される事に。
おいおいおいおい、嘘だろ!?
フェンスの留め具って男子生徒二人の体重ぐらいで外れるものなのかよ!?
「うわああああっ、会長達が宙に…!!!」
「も、もう駄目だ、このままだと二人共…!!」
「陽斗!!!」
方々から絶望の悲鳴が上がる中、一瞬呆然としていた律樹がいち早く我に返りかけよってフェンスが倒れるのを引き戻そうと試みる。
それを見て、時雨や友成もすぐさま駆け付け律樹と共にフェンスを引っ張り上げてくれる。
「二人とも大丈夫か!?すぐに引き上げるからそれまでしっかり捕まっていてくれ!」
「ああ、分かった!先輩!大丈夫ですか!?しっかり網に捕まって両脚のつま先も網にかけててくださいね!大丈夫、皆が助けてくれますから!」
「う、うん!!」
俺の言葉通り、しっかりとフェンスから落ちないようにしがみつく先輩の姿を確認して、ほっと安堵の息をついてから俺も両手でしっかりと網に捕まり両脚のつま先を網の隙間に深めに差し込んでおいた。
「くっ…!中々に重いな!!」
「だが、早く引き上げないと反対側の留め具まで外れてしまっては陽斗達が…!!」
「おい、あんたたち何をぼけーっと見てるんだ!!?手伝ってくれ!!!」
流石に三人でもすでに傾きかけている大きなフェンスを引き上げるのは中々に厳しいと察してか、時雨が呆然と様子を見守っていた屋上にいる教師や生徒達に向かって声を張り上げる。
「はっ…!そ、そうだった!」
「会長!斎藤!!」
その声にようやく我に返った教師は生徒達が次々と律樹達の方へと駆け寄ってきてくれ、3人だった引き上げる人数が数10人になっていれば、流石に空中へとか折れて描けていたフェンスも屋上の方へと傾きを変えて行った。
傾きが、隣のフェンスとの間に人が通れるほどの空間ができる頃になると、律樹が俺達に向かって告げてきた。
「このまま完全に此方に倒してしまっても危ない。そこの隙間からこっちに戻ってきてくれ!」
「分かった!行きましょう、先輩。俺について来てくださいね!」
「うん、分かった!」
しっかりと頷いてくれる先輩を見て、大丈夫だと判断し、俺は横向きにフェンスを伝って隙間の方へとゆっくりと移動していく。
隣から先輩も同じように移動してくるのを確認しつつ、急がずに移動しながら隙間まで辿り着き、そこから体を滑り込ませて屋上のコンククリートの上へと二人共着地する事に成功する。
「……迷惑かけて…ごめん…僕…」
「いえ、辛くてどうしようもない事は誰にでもある事は分かりますから」
そう、辛くてどうしようもなくて、死ぬことでしか救われないと思ってしまう事は誰にでもあるんだ。
『御免…御免な……陽斗…。御免…』
「…有り難う…」
そう言って先輩が俺の手を取ろうと手を側した時だった。
「あっ…!?」
「!?」
狭い足場でバランスを崩してしまった先輩は足を滑らせてしまい、体が横にふらついてしまう。
フェンスとは反対側に。
不味いと思った時には、俺の体は自然に動いていて横からも下からも悲鳴が上がる中、一気に距離を縮める様に先輩の側まで飛び何とか右手で落ちそうになっていた先輩の体を抱きとめる事に成功した。
左手はしっかりとフェンスの網の部分を掴んだまま。
「あっぶねぇ…!間一髪だったな…」
「あ……」
「大丈夫ですか、先輩?」
「あ、赤城君…?御免、また迷惑を…」
「いえ。今のは仕方ないですよ。少し待ってくださいね。今ちゃんと引き上げますから」
「う、うん。有り難う」
「一人でまた立てそうですか?」
「あ、うん…。それは大丈夫だと思う…」
「それならよかった。よっと…しっかりフェンスに捕まってくださいね」
「う、うん」
教師や生徒達が安堵の息をついて見守る中、そんな話をしながらなんとか先輩を引き上げて体勢を立て直させると近くに来ていた律樹に声を掛ける。
「律。先に先輩を登らせるから、無事にそっち側に回れるように見ててやってくれ」
「…ああ、分かった。陽斗、お前はどこも痛めたりしていないのか?」
「ああ、俺は大丈夫。なんともない」
「そうか。ならいいが、全く無茶をする…」
「悪いな。見過ごせなくてな。よし、じゃあ、先輩、先に登って戻ってください。俺はまた落ちないように見守ってるんで」
「…うん。分かった。有り難う」
俺の言葉に頷いて先輩が登ろうとフェンスに足をかけたその時だった。
一難去ってまた一難とはよく言ったものである。
バキンッ。
と、何かが俺てはじけ飛ぶような音を耳にして、え?と思った次の瞬間には、俺達の捕まっていたフェンスと隣のフェンスを止めていた、留め具か釘かは分からないが、それが弾け飛んで外れてしまい、結果俺達が捕まっていたフェンスが俺達の方へと倒れてしまう事になっていたんだ。
「ああっ!?」
「うおおっ!?」
結果的に俺達はフェンスに捕まった状態でなすすべもなく宙に放り出される事に。
おいおいおいおい、嘘だろ!?
フェンスの留め具って男子生徒二人の体重ぐらいで外れるものなのかよ!?
「うわああああっ、会長達が宙に…!!!」
「も、もう駄目だ、このままだと二人共…!!」
「陽斗!!!」
方々から絶望の悲鳴が上がる中、一瞬呆然としていた律樹がいち早く我に返りかけよってフェンスが倒れるのを引き戻そうと試みる。
それを見て、時雨や友成もすぐさま駆け付け律樹と共にフェンスを引っ張り上げてくれる。
「二人とも大丈夫か!?すぐに引き上げるからそれまでしっかり捕まっていてくれ!」
「ああ、分かった!先輩!大丈夫ですか!?しっかり網に捕まって両脚のつま先も網にかけててくださいね!大丈夫、皆が助けてくれますから!」
「う、うん!!」
俺の言葉通り、しっかりとフェンスから落ちないようにしがみつく先輩の姿を確認して、ほっと安堵の息をついてから俺も両手でしっかりと網に捕まり両脚のつま先を網の隙間に深めに差し込んでおいた。
「くっ…!中々に重いな!!」
「だが、早く引き上げないと反対側の留め具まで外れてしまっては陽斗達が…!!」
「おい、あんたたち何をぼけーっと見てるんだ!!?手伝ってくれ!!!」
流石に三人でもすでに傾きかけている大きなフェンスを引き上げるのは中々に厳しいと察してか、時雨が呆然と様子を見守っていた屋上にいる教師や生徒達に向かって声を張り上げる。
「はっ…!そ、そうだった!」
「会長!斎藤!!」
その声にようやく我に返った教師は生徒達が次々と律樹達の方へと駆け寄ってきてくれ、3人だった引き上げる人数が数10人になっていれば、流石に空中へとか折れて描けていたフェンスも屋上の方へと傾きを変えて行った。
傾きが、隣のフェンスとの間に人が通れるほどの空間ができる頃になると、律樹が俺達に向かって告げてきた。
「このまま完全に此方に倒してしまっても危ない。そこの隙間からこっちに戻ってきてくれ!」
「分かった!行きましょう、先輩。俺について来てくださいね!」
「うん、分かった!」
しっかりと頷いてくれる先輩を見て、大丈夫だと判断し、俺は横向きにフェンスを伝って隙間の方へとゆっくりと移動していく。
隣から先輩も同じように移動してくるのを確認しつつ、急がずに移動しながら隙間まで辿り着き、そこから体を滑り込ませて屋上のコンククリートの上へと二人共着地する事に成功する。
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