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第3章 「眠る女」鏡の真実
生まれたばかりの紋白蝶
しおりを挟む私は泣きながら先生に
メールをしていた。
泣くつもりはないのに
自然に涙が出た。
何故?
『眠る女』は
絵画評論家によるフェルメール絵画批評において
高い評価を得ていない。
比較的初期の作品で
ある評論家には
『鏡』を試行錯誤の表れと評されていた。
あまり有名でもない。
そんな作品に
私は
何故?
こんなにも
心を捕らえられてしまったのか?
私は
様々な経験を通して
フェルメールの娘だったことを
意識するようになった。
私は
先生に、長いメールを
明け方早く
送信した後で
玄関先に出た。
娘が、青虫のときから育てていた
ビンに入った蛹
昨日までは堅いカラに
覆われていた、
紋白蝶の蛹
その日は違ってた。
柔らかな
絹(シルク)のような
透き通る羽
生まれたばかりの
かよわい羽
その羽を
ぷるぷると
震わせていた。
私は、紋白蝶をビンから
出してあげた。
蝶は
天使の羽ような
真っ白な
羽で
ひらひらと
舞った。
きらきらと
舞った。
私のからだの周りを
舞いながら
嬉しそうにしていた。
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