3,819 / 4,110
第177章 私の知らない世界
►「確信成立の条件と構造」を明らかにする思考ツール の続き
しおりを挟む現象学的還元 | Osamu Hasegawa Films
http://www.osamuhasegawa.com/phenomenology/
上記のサイトより、画像を省略して転載します。
繰り返しますと、現象学的還元とは、立ち現われてくる生活世界に対する「確信成立の条件と構造」を解明する思考行為です。
たとえば、アルコール。
ある人にとっては、飲むことで良い気分になるためのものに見え、ある人にとっては消毒するために有用なものに見え、ある人にとっては燃料に見えるかもしれません。
それは、それぞれの置かれている状況や環境や立場などが異なるからであり、現象学的に言えば各人の意識が異なる志向性を持っているからであり、それによって見える生活世界も異なってきます。そのようなとき、それは消毒剤である、それはドリンクである、それは燃料である、という認識の違いが生じます。
なぜ、当人にとってその対象が消毒剤として立ち現われてきたのか、なぜ燃料として立ち現われてきたのか、といった具合に、認識対象が自分の主観に立ち現われてくるその背景や条件や理由を考えるのが(確信の成立の条件と構造を問う)のが現象学的還元です。そのためにはまず、自然的態度で立ち現われてくる確信をひとまず取り払ってどこかに置いておきます。
これはしばしば“カッコに入れる”と表現され、専門用語では“エポケー(判断中止)”と言われます。
「燃料がある」と思ったとき、客観的実体のように思える「燃料」をカッコに入れ(エポケーし)、なぜその知覚対象が自分に「燃料」として妥当してきたのか、を考えるのです。これが現象学的還元です。
このような思考原理を働かせることで、志向性に支配された意識の世界によって色づけられた認識というものは、他者と共通のものではなく、自分独自の認識であるということが分かり、さらにはなぜ自分がそのように認識したかということを客観的に理解することができます。
それは、対立する認識や価値観があった場合に不毛な議論に陥ることを避け、それぞれの認識や確信が成立した経緯や理由を明らかにすることで、対立する議論を止揚しうることを意味します
それだけではありません。志向性に支配されている自然的態度による認識や確信を現象学的に還元することで、これまでは見えてこなかった可能性が見えてくる可能性が開かれてきます。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
56
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる