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鏡子 (きょうこ)

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第160章 神のまにまに 仰せのままに

鼓くらべ ② (今、レオナルド絵画が危機的状況であることを、若い人たちに知ってもらいたい。)

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鼓くらべ - 株式会社後藤商店 STAFF BLOG

https://www.5x10.jp/blog/2014/12/post-78.html

より転載。


『鼓くらべ』

進藤 (2014年12月24日 18:42)
「鼓くらべ」 というお話を御存知の方、いらっしゃいますか?
 
山本周五郎先生の短編で、私が中学生の頃の教科書に載っていた作品です。
 
 
江戸時代、鼓(肩にかつぐ小さな太鼓です)の演奏が盛んだった加賀藩で、
 
鼓の腕は確かな 大商人の娘がいました。
 
ただ、彼女はその生まれに相応しく、美しくまた非常に勝ち気な娘でもありました。
 
 
年に一度、加賀藩主の前で行われる鼓くらべで 頂点を極めることは、
 
鼓を持った者ならば 誰もが一度は夢見る栄誉。
 
主人公のお留伊もライバルに打ち勝つべく 日々鍛錬を積んでいたのですが、
 
ふとしたことから知り合った老人の言葉に、
 
自分の才能と本当にそれを向けるべき方向を見出していく・・・ というお話です。
 
 
一般的には、能力を競い、勝つことを目的とするあまり、
 
芸術の本当の価値や、めざすべき方向を見失うことへの戒めを
 
お留伊の変化を通じて描いた作品という解釈がなされているようです。
 
おそらく、教科書に載っていた理由も そのあたりの理由からでしょう。
 
 
しかし!
 
 
私は声を大にして言いたいことがあるのです。
 
その解釈では、この短く美しいお話の 一面しか見えていないと!
 
 
お留伊は富豪の娘に生まれ、音楽の才能にも恵まれた美少女で、
 
(作中でお留伊は15才とハッキリ書かれています。数え年とすると14歳!)
 
そういうキャラにありがちな自信に満ちて、物怖じしない性格です。
 
件の老人と出会った際にも、人生の大先輩に対してあくまで上から目線。
 
しかもライバル陣営のスパイ扱いというネイティブな失礼さ。
 
しかし、ただの音楽好きなおじいちゃん(住所不定、自称画家)とわかれば
 
ちょっと態度が軟化し、庭の外でなら聴いていいわと
 
高飛車な態度のままで見せるちょっとした優しさ。
 
鼓が「わかる」聴き手に出会えた嬉しさからか、
 
その老人が来ることを内心楽しみにしていたものの・・・
 
ある時ふっつりと老人が来なくなると、ちょっとそわそわ、
 
老人が病気で寝込んでいたと知ると、家の者にさえ悟られぬよう
 
内緒で みすぼらしい宿を訪ねて彼の身の上をしんみり聞いてしまいます。
 
そしてラストは加賀随一、いや日本全国でも屈指の技量と高い志を持つに至ったその鼓を
 
たった一人のためだけに演奏するのです。
 
 
さらりとネタバレしてますが、気にしちゃあいけません。
 
 
ツンとした態度の女性が、あるきっかけで特定の相手にだけ心を許して
 
デレデレするのを業界(どこの?)用語で 「ツンデレ」と言います。
 
深夜のアニメなんかで、よくやってる感じのやつです。
 
 
前述の木賃宿での演奏については
 
「べ、別にあなたのこと心配なんかじゃないんだから。
 
こんなキッタナイ場所でも動じないで演奏するためのメンタル強化なのよ」
 
と言いながら、顔真っ赤な感じですね。
 
(あのノリ、初見の気持ち悪さと裏腹に、一旦馴染んでしまうと結構ハマるから怖いです。
 
なお、すでにそういう空気にお馴染みの方には、美少女と老人の間に芽生えたのは
 
恋愛感情ではないことを申し添えて一安心いただこうと思います)
 
 
個人的に、現代的な解釈というか、アニメ調に直した脚本を書いてみたいぐらいなんですが、
 
小さなブログの記事すら安定して継続できない者が、
 
そんな大きなプロジェクトを完遂できるとは誰も思えませんよね。
 
 
私だって思えません。
 
 
 
ともかく。
 
 
ツンデレという言葉自体は比較的新しいものですが、
 
ツンとデレのギャップに萌えてしまう心理は、時代を超えて全国共通、
 
そしてそれを人情小説の大家である山本周五郎先生が書いた! 
 
言ってみれば、文学とツンデレの奇跡のコラボ。
 
そこにこの作品の価値があると思うのです。
 
 
機会がありましたらぜひとも、この一篇にお目通しを。
 
そして、お留伊のかわいさにキュンとしてください!
 
 
それにしても・・・
 
 
私は音楽センスゼロですし、小説というメディアからは音など出てくるはずもないのですが、
 
最後に演奏する「男舞」は、凛とした彼女の鼓が聴こえてくるような気がするのです。
 
そこまでに至る描写あってこそ、たった一行でその空気と音を表現できたのだろうと思うと、
 
山本文学のもつパワーにはただ感服するばかり。
 
できることなら、私も一生のうちに一度は、こんな文章を書けるようになりたいものです。
 
進藤 幹人






※  転載終わり



だんだん思い出した。

少女お留伊は、鼓を打つ名手だった。
年に一度、加賀藩主の前で行われる鼓くらべにも参加予定。

1人の老人との出会いで、「芸術とは何なんだろう?」と考えはじめた。

みすぼらしい家に住む、1人の老人の為に、お留伊は、鼓を打った。
 

「能力を競い合い、勝つ為に鼓を打つのではなく、心を込めて(魂を込めて)いかに美しく鼓を打つか?」

それが、いかに大切か?

そういうことがテーマのお話だった。


ブログを書かれた方は、文学とツンデレの奇跡のコラボを発見されたり、「最後に演奏する「男舞」は、凛とした彼女の鼓が聴こえてくるような気がする」と… 活字から音を読み取られたり、実に味わいのある感想だった。


以下、私なりの考えです。

 
お留衣は、芸術とは? 「勝つ為に存在するのではない。」ことを悟った。


“勝つ“の言葉を“お金儲け”に、変えてみた。


芸術とは?    「お金儲けの為に存在するのではない。」




今、レオナルド絵画が危機的状況であることを、若い人たちに知ってもらいたい。

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