🌟真理の扉

鏡子 (きょうこ)

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第144章 新しい価値観、新しい世界観

世の人々(世論)が絵の価値を変えていった。

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ロシアの画家、イワン・クラムスコイ

『見知らぬ人(忘れえぬ人)』の絵画が、受けた憂き目と、
マグダラのマリアが受けた憂き目とよく似ている。


娼婦だと言われる時代を経て、“その素晴らしさが、見直される。”


そのシンクロもまた、嬉しい。



※  下記は、ウィキペディアより転載



彼の仕事ははじめから美術界の傍流におけるいわば反抗的なものであり、ロシアの美術アカデミーから追放されるまでに時間はかからなかった。

※  中文略

「見知らぬ女」は娼婦であると決めつけられ、無数の批判を浴びた。

「馬車にのったコケット」の絵だと言う評者がいれば、「全身をビロードと毛皮でつつみ、華美な馬車の上から冷笑的で、訴えかけるようなまなざしをこちらに向ける、挑発的なまでに美しい女。

路上で売りさばいた貞操の対価を装いとして身にまとう卑しい女を野放しにするような大都市の残りかすではないか」とまで言うものもいた。


クラムスコイ自身はこう言っている。

「いったいどんな女性なのかわからないと言う人もいます。慎ましやかなのか、それとも自分を売り物にしているのか。しかし彼女のうちには、あらゆるものがある」

パーヴェル・トレチャコフでさえ、はじめはこの作品を自身のコレクションに加えることをこばんでいたが、「見知らぬ女」の人気はすぐに不動のものとなっていった。


※  転載ここまで






「いったいどんな女性なのかわからないと言う人もいます。慎ましやかなのか、それとも自分を売り物にしているのか。しかし彼女のうちには、あらゆるものがある」


クラムスコイ の言葉が、印象に残った。


“彼女のうちには、あらゆるものがある”


当時の人々は、毛皮に身を包み、馬車から見下ろすスタイルである、彼女の身なりから、きっと娼婦に違いないと見られた。

当時の世を生きていない私は、上流階級の貴婦人のようにも見える。

クラムスコイは、彼女の外見から受ける印象や、彼女の顔立ちとかではない

…そういう美とは別の次元、

彼女の内面の光、その輝きにスポットライトを当てた。



見知らぬ人は、最初は蔑まれるような絵画だったが、時代と共に、だんだんと人気が出てきて、ついにその人気は、不動のものになった。


世の人々(世論)が、その価値を見直していった絵ともいえる。


現代では、ロシアの至宝とされている。









パーヴェル・トレチャコフ…

ロシアの実業家・美術蒐集家・篤志家。ロシア美術の保護者として知られ、トレチャコフ美術館やモスクワのトレチャコフスキー大通りに名を遺す。



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