🌟真理の扉

鏡子 (きょうこ)

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第141章 新しい季節

2017年の夏の思い出話と、昨日の朝、ムシを見つけた話

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2017年、夏の終わり、自宅近くで、一匹の雌のクワガタを発見した。


私達家族は、5階建てのビル3階に住んでいる。


1階の廊下灯の下、
隅っこの方に、そのクワガタはいた。


 最初は、死んでるかと思った。小さな小さな雌のクワガタ…


当時中3の長男に見せた。雌なので、興味を示さないと思ったら、意外な反応だった。


息子は、言った。

「嬉しい。嬉しい。

雌のほうが嬉しい。 

卵を産むかもしれないから。」


私は、質問した。

「たった1匹で、どうやって卵を産むの?」


息子は、質問に答えてくれた。


既に交尾済みの雌は、
持ち腹産卵で、卵を産む可能性があるというのだ。


虫大好き少年の長男は、産卵セットを作り、雌のクワガタは、無事に卵を産んだ。たった1匹で、24匹も卵を産んだ。


そのうち2匹は、育たなかったけど、22匹は、無事に育った。雄11匹、雌11匹、成虫になった。


子供を産むまで、何の種類のクワガタか分からなかったが、子供が生まれてはっきりした。雌のクワガタは、区別がつき難いが、雄だったら、明確な区別がつく。


その雌クワの正体は、ヒラタクワガタだった。元々死にかけだったお母さんは、頑張った。

ヒラタクワガタは、人気がある。
うちでは、育てきれないから、そのうちの何匹かを、ヤフオクに出品した。

死にかけだったお母さんの、子供達は、注目の的になり、ウォッチリストが凄い数になり、はげしい競争のもと、落札して下さった方の元へ(全国の数カ所に)旅立って行った。

勿論、我が家でも育てていた。

3cmのお母さんは、死んでしまったけど、その遺伝子は、ずっと続き、雌に生まれた子供達は、1年に1回の産卵を続けた。


昨年は、子供はあまり生まれなかったが、今年は、その幼虫の数、実に42匹…


2017年の夏

死にかけていた3cmのお母さん

その遺伝子が、今の42匹に繋がっている。


2019年の夏の終わり、

全く同じ場所で、私はまた、虫を拾った。


「同じ場所…また雌クワか?」
と思いながら、おそるおそる、私はその虫を手に取った。


真っ黒い虫。光沢のない黒…

ゴミムシにも似ているが、
形は、カナブンに一番似ている。

体の割に手足が長い。


何時もなら、写真撮影をして自然に帰してあげるけど、私は、“その虫の正体が、何者なのかを知りたくて”昆虫ゼリーと共に虫カゴに入れ、息子の帰りを待つことにした。








 
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