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第110章 全ては、一つ
サルバトール・ムンディが、この世の中に登場した意味
しおりを挟む目覚めるように思った。
《例え、偽物でも、サルバトール・ムンディが、この世の中を賑わせたのは良いことだった。》
サルバトール・ムンディが6000円から始まって、最終的に約510億なったのは、美術作品におけるマネーロータリグの氷山の一角だ。
それが、レオナルド・ダ・ヴィンチの名が付いているから、ちと目立ち過ぎた。
今のような風潮が続けばどうなるか?
まさしく、芸術の崩壊だ。
芸術は、優美なるもの。
その写実や、内容の良さで、真価を見極めるもの。
それなのに、マネーでその価値を動かされたりなんかしたら、たまったもんじゃない。
そんなことをしていたら、
未来に引き継いでいく、芸術性の真価は総崩れになる。
マネーに価値を置くようになれば、
何の価値もないものが、何億、何百億になる。
サルバトール・ムンディ は、
その身を削って
この世に現れた。
剥がされ、加筆され、ぼろぼろになって
この世に現れた。
私たちに、大切なことを教えてくださる為に……。
やはり、世の中に無駄なことなどない。
今こそ“価値観”を見直す時である。
何が大切かを、未来に引き継ぐ為に…。
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