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第110章 全ては、一つ
その絵が、何百億になろうが、皆を虜にするような作品でなければ、絵画芸術としては、何の価値もないのだ。
しおりを挟むサルバトール・ムンディの内容は、色々なサイトで取り上げられているけど、
所有者、来歴、テクノロジーによる調査結果、オークション結果、いかに貴重であるか…
それで、埋め尽くされている。
その絵のクオリティの高さを賞賛する記載はないし、どの描写が素晴らしいとかも記されはいない。
例えば、フェルメールの『レースを編む女』には、下記のような解説がされている。
ヨハネス・フェルメール-レースを編む女
http://www.salvastyle.com/menu_baroque/vermeer_kantklosster.html
Work figure (作品図)
■ レースを編む女 (Kantklosster) 1670年頃
23.9×20.5cm | 油彩・画布 | ルーヴル美術館(パリ)
フェルメール後期の作品の中でも特に傑作とされる代表作のひとつ『レースを編む女』。これまでに発見されている画家の作品の中で最も寸法の小さい作品でもある本作に描かれるのは、当時としては描かれることの少なくない風俗的主題である≪レースを編む女≫で、制作の詳しい意図や目的は不明であるも、その非常に高度な技巧的表現や描写手法から傑作として広く知られている。小寸法ながら綿密に描かれる女の手元や、俯く顔面の繊細ながらやや強い明暗対比による光彩表現、特徴的な粒状の光の描写なども特筆に値するが、本作において観る者を最も惹きつけるのは白い三本のラインが入る青いクッション状の針山から垂れ下がる赤糸と白糸の驚くべき表現にある。まるで飴が溶け滴るかのように描写される流々とした二色の糸の描写は、それまでの作品にも示される画家の卓越した表現技巧の中でも特に秀逸な出来栄えであり、その斬新性や近代性は他作品の追随を許さない。当時のフェルメールは全体の調和性を重んじていた作風から、自身の技巧的な顕示がみられる作風へと変化させていた過渡期であり、本作もその一例と位置付けられるものの、この類稀な赤糸と白糸の表現によって、それらの作品とは決定的な魅力や完成度の差が生じている。また全体的には対象を細密というより流動的かつ大まかに描写していることなどから、その表現技法は明らかに様式化を示しており、このような点からも本作は画家の作風の変化を考察する上で、欠かせない作品としても重要視されている。
「どうだ!
これが絵画芸術の極みだ!」
とばかりに褒めている。
『サルバトール・ムンディ 』はどうだ?
あの絵に褒める要素はあるのか?
MUSEYでは、右手の描写と、顔の輪郭しか褒めていなかった。
所有者、来歴、テクノロジーによる調査結果、オークション結果、いかに貴重であるか…
私たちは、絵画芸術とは関係のない、情報に振り回されている。
その絵が、何百億になろうが、皆を虜にするような作品でなければ、絵画芸術としては、何の価値もないのだ。
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