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第101章 飢餓で苦しむ子供達、サルバトール・ムンディは行方不明
国民の三分の一が飢餓で苦しむイエメン
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子どもたちを襲う「最悪の人道危機」~イエメン和平協議の行方~ | 国際報道2019 [特集] | NHK BS1
https://www.nhk.or.jp/kokusaihoudou/archive/2018/12/1212.html
中東・アフリカ
暮らし・社会
2018年12月12日(水)
子どもたちを襲う「最悪の人道危機」~イエメン和平協議の行方~
放送した内容をご覧いただけます
酒井
「特集は、『最悪の人道危機』と呼ばれている、中東イエメンの内戦についてです。」
3年半以上におよぶ内戦で、混乱が続くイエメン。
戦闘の犠牲になった民間人は、1万6,000人以上。
さらに、飢餓に瀕している人は、国民の3分の1に当たる、800万人以上と言われています。
事態を打開するため、およそ2年半ぶりに開かれている和平協議。
国連 グリフィス特使
「未来が損なわれてしまう前に行動しないといけない。」
「最悪の人道危機」は収束に向かうのか、その行方を読み解きます。
酒井
「中東・アラビア半島の南西部に位置するイエメンでは、ハディ大統領が率いる政権側と反政府勢力『フーシ派』との間で、内戦が長引いています。」
花澤
「先週、およそ2年半ぶりに国連が仲介する、双方の和平協議が始まりました。
飢餓に直面する市民が増え続ける中、人道状況を改善できるのか、大きな焦点となっています。」
松岡
「イエメンの内戦が始まったのは2015年。
『アラブの春(2011年)』で誕生した、ハディ政権に不満を募らせた反政府勢力『フーシ派』が首都サヌアを掌握し、ハディ大統領を追い出したことがきっかけでした。
こちらは、現在の勢力図です。
ハディ大統領率いる政権側は、イエメン第2の都市アデンを拠点に、南部から東部にかけての地域を支配。
サウジアラビアやUAE=アラブ首長国連邦などから軍事的な支援を受けて、空爆や地上戦を展開しています。
一方、反政府勢力『フーシ派』は、首都サヌアを中心とした地域を支配し、イランの支援を受けて、地上戦で対抗しています。
政権側は紅海に沿った沿岸部を北上し、支配地域を徐々に拡大。
特にこの半年間、戦闘が激しくなっているのが、反政府勢力の最大拠点の1つで、国内有数の港がある、ホデイダです。
この戦闘で食料品や支援物資の輸送が滞り、食糧難が深刻化しています。
イエメンの実態を取材しました。」
イエメン 長引く内戦 国民の3分の1が“飢餓”
リポート:吉永智哉支局長(ドバイ支局)
反政府勢力が支配する、首都サヌアです。
街なかでは、物乞いをする人たちの姿が目立ちます。
深刻な食糧不足により、5歳未満の子ども、8万5千人が栄養失調で死亡したという調査結果も出ています。
この病院では、今年(2018年)、栄養失調の患者が、去年と比べて3倍近くに増えたと言います。
その多くは乳幼児です。
看護師
「人々は困窮しています。
人々が追い詰められるほど、栄養失調の子どもは増えます。」
2か月前に入院した、1歳8か月のハズラジちゃんです。
入院当初は、平均的な体重の6割程度しかなく、命に関わる危険な状態でした。
長引く内戦で物価が高騰した上、支援物資の食糧も手に入らなくなり、栄養失調になったのです。
祖母のハビーバさんです。
暮らしていた村では、十分な食事にありつけない子どもたちがほかにも大勢いたと言います。
ハズラジちゃんの祖母 ハビーバさん
「今はみんな飢えています。
この戦闘に何の意味があるのか、私たちにはわかりません。」
加えて病院では、医療器具や薬も不足しています。
患者が急増する中、支援なしには十分な治療を行えなくなってきていると言います。
病院の責任者
「病院では医薬品が不足しています。
とにかく国際社会にこの危機を終わらせてほしい。」
これまで、食糧や医薬品を受け入れる窓口となってきたのが、イエメン有数の港湾都市・ホデイダです。
内戦が勃発してからは、国連機関などによる人道支援の拠点となり、支援物資を蓄える倉庫が設けられました。
さらに、この港は、反政府勢力がイランから武器を輸入する拠点になっているとも指摘されてきました。
およそ半年前、ホデイダは内戦の最前線となります。
反政府勢力へ海外からの補給路を断つために、政権側が激しい攻撃を仕掛けたのです。
国連機関の倉庫が被害を受け、職員も近づけなくなったため、人道支援物資の輸送が大きく滞るようになりました。
ホデイダで支援活動を行っている、WFP=世界食糧計画の山﨑和彦さんです。
この状況が続けば、飢餓がいっそう深刻さを増すと、危機感を強めています。
WFP(世界食糧計画) 山﨑和彦さん
「戦闘が最も激しい地域にWFPの保管倉庫が5か所あり、それらに一切近づけません。
一刻も早く、食糧にアクセスできるよう、強く求めたい。」
事態を打開するため、2年半ぶりに始まった和平協議。
イエメンの人々は協議の進展を、固唾を飲んで見守っています。
花澤
「ここからは、取材に当たっているドバイ支局の吉永支局長に聞きます。
和平協議は今どういう状況なんでしょうか?」
吉永智哉支局長(ドバイ支局)
「協議は7日目を迎えましたが、一筋縄ではいかない状況なんです。
焦点のホデイダについて、打開策が見いだせていないからです。
人道支援の拠点であることを踏まえ、港の管轄権を国連が一時的に預かるという案が協議されているのですが、港や市街地に残る反政府勢力の戦闘員を撤退させるのかどうかや、国連管理の下、港の警備をどちらが担うかなど、双方の思惑も入り乱れていまして、交渉は難航しています。
ただ、前向きな動きもあります。
政権側、反政府側が互いに拘束している、1万人以上の捕虜を釈放する方向で調整が進められていて、双方の信頼関係を醸成する一歩と受け止められているんです。
対立する双方が、何らかの妥協点を見いだし、戦闘の鎮静化に向けた道筋を描けるのか、協議は山場を迎えています。」
酒井
「内戦終結には、サウジアラビアなど周辺国の対応も鍵を握っていますが、どうなりそうですか?」
吉永記者
「ご指摘のとおり、そもそもこの内戦がここまで泥沼化したのは、サウジアラビアやイランなど、周辺国の代理戦争の舞台になってきたからにほかなりません。
サウジアラビアにとっては、イランの影響力を受けたフーシ派の存在は、のど元に刺さったとげのようなもので、特に国境地帯の安全が確保できることが最低ラインといえると思います。
ただ、ジャーナリスト殺害事件の影響で国際的な批判を浴びる中、外交的な強硬策を取りづらい状況にあり、サウジアラビアから妥協を引き出せる可能性もあります。
今回の協議で、何らかの合意が達成できなければ、戦闘は一層激しさを増し、さらなる犠牲は避けられないおそれも出ています。
内戦の当事者だけでなく、国際社会も、イエメンが『最悪の人道危機』から脱することができるよう、和平に向けた協議を後押しする必要があると思います。」
酒井
「衰弱した子どもたちが大勢いるという、深刻な状況ですね。」
花澤
「そうですね。
食料や物資を届けるためにホデイダでの戦闘を鎮めること、これが不可欠ですよね。
カショギ氏の殺害事件をきっかけにつかんだこの機会を生かせるのか、重大な局面を迎えています。
そして、国際社会にもサウジアラビアやイランなど、関係国に対して、強く働きかけていくことが求められています。」
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人道危機
中東情勢
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子どもたちを襲う「最悪の人道危機」~イエメン和平協議の行方~
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酒井
「特集は、『最悪の人道危機』と呼ばれている、中東イエメンの内戦についてです。」
3年半以上におよぶ内戦で、混乱が続くイエメン。
戦闘の犠牲になった民間人は、1万6,000人以上。
さらに、飢餓に瀕している人は、国民の3分の1に当たる、800万人以上と言われています。
事態を打開するため、およそ2年半ぶりに開かれている和平協議。
国連 グリフィス特使
「未来が損なわれてしまう前に行動しないといけない。」
「最悪の人道危機」は収束に向かうのか、その行方を読み解きます。
酒井
「中東・アラビア半島の南西部に位置するイエメンでは、ハディ大統領が率いる政権側と反政府勢力『フーシ派』との間で、内戦が長引いています。」
花澤
「先週、およそ2年半ぶりに国連が仲介する、双方の和平協議が始まりました。
飢餓に直面する市民が増え続ける中、人道状況を改善できるのか、大きな焦点となっています。」
松岡
「イエメンの内戦が始まったのは2015年。
『アラブの春(2011年)』で誕生した、ハディ政権に不満を募らせた反政府勢力『フーシ派』が首都サヌアを掌握し、ハディ大統領を追い出したことがきっかけでした。
こちらは、現在の勢力図です。
ハディ大統領率いる政権側は、イエメン第2の都市アデンを拠点に、南部から東部にかけての地域を支配。
サウジアラビアやUAE=アラブ首長国連邦などから軍事的な支援を受けて、空爆や地上戦を展開しています。
一方、反政府勢力『フーシ派』は、首都サヌアを中心とした地域を支配し、イランの支援を受けて、地上戦で対抗しています。
政権側は紅海に沿った沿岸部を北上し、支配地域を徐々に拡大。
特にこの半年間、戦闘が激しくなっているのが、反政府勢力の最大拠点の1つで、国内有数の港がある、ホデイダです。
この戦闘で食料品や支援物資の輸送が滞り、食糧難が深刻化しています。
イエメンの実態を取材しました。」
イエメン 長引く内戦 国民の3分の1が“飢餓”
リポート:吉永智哉支局長(ドバイ支局)
反政府勢力が支配する、首都サヌアです。
街なかでは、物乞いをする人たちの姿が目立ちます。
深刻な食糧不足により、5歳未満の子ども、8万5千人が栄養失調で死亡したという調査結果も出ています。
この病院では、今年(2018年)、栄養失調の患者が、去年と比べて3倍近くに増えたと言います。
その多くは乳幼児です。
看護師
「人々は困窮しています。
人々が追い詰められるほど、栄養失調の子どもは増えます。」
2か月前に入院した、1歳8か月のハズラジちゃんです。
入院当初は、平均的な体重の6割程度しかなく、命に関わる危険な状態でした。
長引く内戦で物価が高騰した上、支援物資の食糧も手に入らなくなり、栄養失調になったのです。
祖母のハビーバさんです。
暮らしていた村では、十分な食事にありつけない子どもたちがほかにも大勢いたと言います。
ハズラジちゃんの祖母 ハビーバさん
「今はみんな飢えています。
この戦闘に何の意味があるのか、私たちにはわかりません。」
加えて病院では、医療器具や薬も不足しています。
患者が急増する中、支援なしには十分な治療を行えなくなってきていると言います。
病院の責任者
「病院では医薬品が不足しています。
とにかく国際社会にこの危機を終わらせてほしい。」
これまで、食糧や医薬品を受け入れる窓口となってきたのが、イエメン有数の港湾都市・ホデイダです。
内戦が勃発してからは、国連機関などによる人道支援の拠点となり、支援物資を蓄える倉庫が設けられました。
さらに、この港は、反政府勢力がイランから武器を輸入する拠点になっているとも指摘されてきました。
およそ半年前、ホデイダは内戦の最前線となります。
反政府勢力へ海外からの補給路を断つために、政権側が激しい攻撃を仕掛けたのです。
国連機関の倉庫が被害を受け、職員も近づけなくなったため、人道支援物資の輸送が大きく滞るようになりました。
ホデイダで支援活動を行っている、WFP=世界食糧計画の山﨑和彦さんです。
この状況が続けば、飢餓がいっそう深刻さを増すと、危機感を強めています。
WFP(世界食糧計画) 山﨑和彦さん
「戦闘が最も激しい地域にWFPの保管倉庫が5か所あり、それらに一切近づけません。
一刻も早く、食糧にアクセスできるよう、強く求めたい。」
事態を打開するため、2年半ぶりに始まった和平協議。
イエメンの人々は協議の進展を、固唾を飲んで見守っています。
花澤
「ここからは、取材に当たっているドバイ支局の吉永支局長に聞きます。
和平協議は今どういう状況なんでしょうか?」
吉永智哉支局長(ドバイ支局)
「協議は7日目を迎えましたが、一筋縄ではいかない状況なんです。
焦点のホデイダについて、打開策が見いだせていないからです。
人道支援の拠点であることを踏まえ、港の管轄権を国連が一時的に預かるという案が協議されているのですが、港や市街地に残る反政府勢力の戦闘員を撤退させるのかどうかや、国連管理の下、港の警備をどちらが担うかなど、双方の思惑も入り乱れていまして、交渉は難航しています。
ただ、前向きな動きもあります。
政権側、反政府側が互いに拘束している、1万人以上の捕虜を釈放する方向で調整が進められていて、双方の信頼関係を醸成する一歩と受け止められているんです。
対立する双方が、何らかの妥協点を見いだし、戦闘の鎮静化に向けた道筋を描けるのか、協議は山場を迎えています。」
酒井
「内戦終結には、サウジアラビアなど周辺国の対応も鍵を握っていますが、どうなりそうですか?」
吉永記者
「ご指摘のとおり、そもそもこの内戦がここまで泥沼化したのは、サウジアラビアやイランなど、周辺国の代理戦争の舞台になってきたからにほかなりません。
サウジアラビアにとっては、イランの影響力を受けたフーシ派の存在は、のど元に刺さったとげのようなもので、特に国境地帯の安全が確保できることが最低ラインといえると思います。
ただ、ジャーナリスト殺害事件の影響で国際的な批判を浴びる中、外交的な強硬策を取りづらい状況にあり、サウジアラビアから妥協を引き出せる可能性もあります。
今回の協議で、何らかの合意が達成できなければ、戦闘は一層激しさを増し、さらなる犠牲は避けられないおそれも出ています。
内戦の当事者だけでなく、国際社会も、イエメンが『最悪の人道危機』から脱することができるよう、和平に向けた協議を後押しする必要があると思います。」
酒井
「衰弱した子どもたちが大勢いるという、深刻な状況ですね。」
花澤
「そうですね。
食料や物資を届けるためにホデイダでの戦闘を鎮めること、これが不可欠ですよね。
カショギ氏の殺害事件をきっかけにつかんだこの機会を生かせるのか、重大な局面を迎えています。
そして、国際社会にもサウジアラビアやイランなど、関係国に対して、強く働きかけていくことが求められています。」
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