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鏡子 (きょうこ)

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第99章 人間ダ・ヴィンチ

Vol.06 万能人の自己PR術──レオナルド・ダ・ヴィンチの場合| ※無料で拝読出来る範囲で 2

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30歳、心機一転してミラノへ


ILLUSTRATION: MELI


レオナルド・ダ・ヴィンチは、フィレンツェ近郊のヴィンチ村で生まれ、若い頃はフィレンツェで画家としての修行を積みます。しかし30歳になる1482年頃、心機一転、フィレンツェを発ってミラノに行こうと決意しました。いまでこそフィレンツェもミラノもイタリアという一国の都市ですが、当時はそれぞれが国を形成していたので、それは外国に行くのと同じでした。

なぜ突然ミラノに行こうと思ったか、その理由は定かではありません。それまでフィレンツェで満足のいくような成果を上げられずにいたことも一因かもしれません。もらった注文は仕上げきれない。私生活でも男色の嫌疑をかけられる。とどめは、システィーナ礼拝堂装飾のために派遣された画家たちのなかに入れてもらえない……さんざんでした。

親方の工房を出てフリーの画家になったのにフィレンツェではうまくいかない、こうなったら外国で仕切り直し! と行動を起こしたとしても、不思議ではないでしょう。

市民が政治を担うフィレンツェ共和国と異なり、ミラノ公国は君主を国のトップに据える専制君主制。レオナルドは、ミラノを統治するルドヴィコ・スフォルツァに渡すための手紙をしたためます。


ルドヴィコ・スフォルツァへ宛てて書かれたレオナルドの自薦状

PHOTO: DEAGOSTINI / GETTY IMAGES

(※  分かりやすい漫画が描かれてあります)

手紙は実際に渡されたのか、現在見られるのは、レオナルドの手元に残されたと思われる下書きです。そこには、ルドヴィコを称える流麗なことばに続いて、レオナルドができること・作れるもののリストが箇条書きされています。その内容は次のようなものでした。

1. 非常に軽くて強固な橋を造る方法を知っております。

2. 戦闘に適したいかなる装置をも造る方法を知っております。

3. いかなる要塞や砦をも破壊する方法を知っております。

4. 私の大砲は容易に運ぶことができ、煙によって敵に甚大な被害と混乱を巻き起こします。

5. 望んだ地点に到達するための地下トンネルや秘密の通路を、音を立てずに掘る方法を知っております。

6. あらゆる攻撃に耐える装甲車を作りましょう。

7. 必要に応じて、大砲、追撃砲、軽砲を作りましょう。

8. 砲撃に適さない場所では、石弓、投石機、鉄菱を考案しましょう。

9. 海戦のためには、砲弾、火薬、煙の激しい攻撃にも耐える船を造ることができます。

なんと、ここまですべて軍事技術。まるで「戦いにしか興味がありません」といった具合です。

10. 平和時には、公私を問わず建物の設計ができます。また、大理石、ブロンズ、粘土の彫刻を作ることもでき、絵画においては、およそ可能なことすべてができます。お父上の立派な騎馬像も作れるでしょう。

ここでようやく芸術の話題。
しかし、軍事の話題に比べると淡白なものです。なぜレオナルドはここまで軍事技術にこだわったのでしょうか。

たとえ経験がなくても強みにする

レオナルドが芸術よりも軍事技術を前面に出した理由は、当時のミラノの状況を考えると理解できます。

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