🌟真理の扉

鏡子 (きょうこ)

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第92章 謎の根源は、どこにあるか?

仕組まれた。

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それにしても、親指の塗り直しがあったくらいで、よく、レオナルドの真作の根拠としたものだと思う。


親指の塗り直し部分は、《弟子の作品を、レオナルドが手直ししたのかもしれない》とは、思わないのか?


【はじめに結果ありき】である。


はじめから、その作品は、
レオナルドの真作として観る必要があった。


アイルワースのモナリザの時と同じように。


その絵を、レオナルドの真作としてデビューさせようとしていたのだから、科学的根拠は、どんな内容でも良かったのかもしれない。
世の人々が納得するように、科学的な何かを、見つけたかっただけなのかもしれない。




以下
『真作か?贋作か?弟子の作品か?徹底論争』より転載



サルバトール・ムンディは、ある意味で、来歴がハッキリと明確な絵画である。


「弟子の作品なら、レオナルド工房が出所だ!」

「きっとレオナルドの痕跡が見つかる!」

彼らは、確信していた。



レオナルドに繋がる何かが見つかることを、彼らは疑わなかった。


先ずはじめに、せねばならないこと。

それは、あまりにも、稚拙な印象を持つその絵を、少しでも見栄え良くしなければならない。


彼らは、その絵を、決して直ぐに専門家には見せようとは思わなかった。

専門家に見せれば、
誰もレオナルド作だと信じない。


それくらい、未熟な筆致の絵だった。

クックの孫は、その絵が気に入らなかったので、オークションに出したのだ……。

それを鑑みれば、その絵の稚拙さがどれほどなものか、よく解る。

その時の価格が45ポンド(約6000円)




いかに、レオナルドの筆致と異なる絵だったか…
想像にあまりある。



いきなり、鑑定に出そうとしなかった米画商組合の判断は、ある意味で賢明だった。



一流の修復師に、その絵を丁寧に修復してもらい、それから鑑定に出した。


絵は、そこそこ、レオナルドの雰囲気に近づいた。
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