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ロスを出発して六日が経った。
その日の午後四時過ぎに、隆史は、シカゴのダウンタウンに入った。
先を急いでいるわけではないが、一人では寄り道も少なかった。
この六日間は、ほとんどが車中泊だった。
そのほうが楽だったからだ。
大都市近郊であれば、車中泊は危険なことも多い。
しかし、ここまでのルートは、比較的安全な場所が多かった。
シカゴは、思い出の地だった。
啓一との旅でも、シカゴで長めの滞在をした。
せざるを得なかった、わけだが。
車を修理に出したのだ。
シリンダーの一つが完全にいかれていて、エンジンのオーバーホールが必要だった。
シカゴが、今回の旅では、最東端になる。
そういうこともあって、隆史は少し長く滞在するつもりでいた。
前の日、セントルイスのショッピングモールの駐車場で、ホテルをインターネット予約した。
前回、啓一と訪れた時は二週間の滞在だった。
その時はユースホステルに宿泊した。
足がなかったため、啓一と二人で歩いてどこへでも出かけていった。
その啓一と最後に会ったのはいつか、と隆史は記憶の糸を手繰ってみたが、はっきりと思い出せなかった。
隆史は、レンタカーをホテルのパーキングに入れ、午後五時過ぎにはチェックインした。
ホテルは、十九世紀に建設されたレンガ色のゴシック様式の建物だった。
部屋は一階で、天井は高く開放的な造りだった。
荷物整理の後、隆史はバスタブにお湯を溜めゆっくり三〇分ほど浸かり、入浴中にシンクにためた水道水で冷やしたビールを風呂上りに飲んだ。
気候がよく、爽やかで過ごしやすい夕暮れだった。
高さのある窓からは、傾きかけた柔らかい光が差し込んでいた。
隆史は、スマートフォンのラジオアプリを立ち上げ、カナダのジャズ専門FM曲にチューンした。
ゆったりしたトランペットのスタンダード曲が流れていた。
部屋は濃いブラウンと、白を基調とした落ち着いた内装だった。
窓辺には、マホガニーの丸いローテーブルと、ベージュの一人がけソファが置いてあった。
隆史は、手帳とノートパソコンをテーブルに置いて、作業に取り掛かった。
パソコンが立ち上がると、手帳のメモを見ながら文字入力をしていった。
儀式を実行した場所。
六月十五日(金) ベニスビーチ
六月十六日(土) マリナ・デル・レイのヨットハーバー
六月十七日(日) ロングビーチ地区のパーム・ビーチ・パーク
六月十八日(月) マリブのポイント・デュム・ステート・ビーチ
六月十九日(火) グリフィス・パーク
六月二〇日(水) マルホランド・ドライブ・ストップ、 バグダッド・カフェ駐車場、べラージオホテル噴水
六月二十一日(木) グランドキャニオン、ウェストリムのモハーベポイント
六月二十二日(金) サンタフェのセント・フランシス大聖堂
六月二十三日(土) オクラホマシティ、ブリックタウンの運河
六月二十四日(日) スプリングフィールド、フェローズ湖
六月二十五日(月) セントルイス、ゲートウェイアーチの下
記録してきた距離を足し上げてみた。
二八一六・三マイル、約四五〇〇キロ超を走ったことになっていた。
一日平均、七五〇キロは、どう考えても走りすぎだった。
二十年前は、この半分も走っていなかったと思う。
隆史と啓一は、毎日交代で運転し、助手席に座る者がナビを務める。
今回の旅はナビ役はいない。
それでも運転だけに専念できるのは、カーナビゲーション・システムのお陰だった。
そもそも車の性能の違いは歴然としていた。
速度、燃費。
二十年前の車は、十五年落ちくらいのアメ車で、エンジンがいかれていて、パワーもなく、オイル漏れもひどかった。
今回は、進化した正常なアメ車だ。
隆史は、あらかじめ大まかな全旅程を決めていたから、その日の目的地だけを朝インプットすれば、まず迷うことはない。
最後に、ここまで録音してきたボイスダイアリーをノートパソコンに取りこんだ。
隆史は、ビールの残りを飲みほした。
強い酒がほしかった。
隆史は、ボストンバックからバーボンのボトルを出してきて、グラスに多めに注いだ。
三口で飲み干す。
一気に疲れが出てきたようだった。
移動距離を計算したからかもしれなかった。
隆史はベッドに寝転んだ。
シカゴでは、どこを歩こうか。
自然と、昔の記憶が蘇ってくる。
あの時、ユースホステルでは、兵役を終えたばかりのドイツの青年と同室になった。
名前は、ホルガーといったはずだった。
優しい、純朴な青年だった。
隆史が、片言の英語で、どうしてシカゴへ、と聞いた。
ホルガーもドイツなまりの英語で返した。
「お母さんが、そうするように言った」
兵役を終えたばかりの息子にどうして、と啓一は疑問を投げた。
理解するのに時間がかかったが、こういうことだった。
ホルガーは、いつ自分が、湾岸戦争の前線に送られることになるか、恐怖に戦いていた。
しかし、実際には、それはないまま、兵役を終えた。
帰還しても、その恐怖は消えなかったのだ、とホルガーは言った。
それを見かねた母が旅に出ることを勧めたのだった。
「日本人の母親たちに、それができるか」
そう言って、隆史は啓一を見た。
啓一も同じことを考えていたようだった。
「でも、選んだ場所が悪かったよ」「ここは戦場よりも怖い」
その言葉で、笑いが起こった。
その頃、シカゴでは、物騒な事件が頻発していた。
つい最近も、誰かが道端でナイフで首を切られて死んだ、という事件があったばかりだった。
実際には笑えない話だった。
別の夜には、本場のブルースを聴きに行った。
有名なブルース・バーだった。
店の入り口には、黒人の大男が木の椅子に座って、チャージを取っていた。
正直、ブルースのライブ自体が初めての二人だった。
演奏も、店の雰囲気も明るかった。
帰りに、店のロゴが入った紺色のキャップを、二人とも買った。
以降、二人はこのキャップを被って旅をすることになった。
そのためか、行く先々で、「ツインズ」などと声をかけられたりした。
ミシガン湖は、海にしか見えなかった。
向こう岸が全く見えないこともさることながら、波が高く、それがほんとうに海のように打ち寄せていた。
十月の終わりごろだった。
「ウインディ・シティ」と言われるだけあって、風も強く、かなり寒かった記憶があった。
その夕べも、風が相当強かった。
夕方、ミシガン湖まで散歩できるだろうか。
なぜか、息子のことが頭に浮かんだ。
そうやって、ふと思い出すことがあった。
もう十一歳だ。
この旅のことを聞いたら、来たがっただろうか。
メールでも送ってみようか。写真付きで。
そんなことをしたら、別れた妻が怒るだろうか。
そんなことを考えているうちに、いつしか隆史は眠りに落ちていた。
隆史は不思議な夢を見た。
知らない男の子と、アメリカを大型バイクで旅している夢だった。
行く先々で、釣りをしたり、キャンプサイトに泊まったり。
啓一との旅に似ていた。
「息子とアメリカをバイクで旅してみるのもいいな」
そんなことを隆史は、啓一に話したことがあった。
しかし、夢の中の男の子は、息子ではないのだった。
それ以外は、リアル過ぎる夢だった。
ノースダコタだった。
農道を横切るクリークで、男の子がパイクをヒットさせた。
「よし、慌てるな、でもテンションだけ緩めるなよ」
パイクがジャンプした。
その瞬間に、隆史は目覚めた。
なぜか、心臓の鼓動が高鳴っていた。
隆史は、夢を振り返った。
そして、男の子の顔を想いだそうとしてみた。
ぼんやりとして、全く上手くいかなかった。
隆史は起きて行って、ソファに座った。
夢というのは、そういうものだ。
そう思いながら、残りのバーボンをグラスに注いだ。
そのお陰か、隆史の心は少しずつ落ち着いていった。
たった一度きりの夢だと、その時は思っていた。
しかし、その旅の間中、その男の子は、隆史の夢に度々現れることになった。
その日の午後四時過ぎに、隆史は、シカゴのダウンタウンに入った。
先を急いでいるわけではないが、一人では寄り道も少なかった。
この六日間は、ほとんどが車中泊だった。
そのほうが楽だったからだ。
大都市近郊であれば、車中泊は危険なことも多い。
しかし、ここまでのルートは、比較的安全な場所が多かった。
シカゴは、思い出の地だった。
啓一との旅でも、シカゴで長めの滞在をした。
せざるを得なかった、わけだが。
車を修理に出したのだ。
シリンダーの一つが完全にいかれていて、エンジンのオーバーホールが必要だった。
シカゴが、今回の旅では、最東端になる。
そういうこともあって、隆史は少し長く滞在するつもりでいた。
前の日、セントルイスのショッピングモールの駐車場で、ホテルをインターネット予約した。
前回、啓一と訪れた時は二週間の滞在だった。
その時はユースホステルに宿泊した。
足がなかったため、啓一と二人で歩いてどこへでも出かけていった。
その啓一と最後に会ったのはいつか、と隆史は記憶の糸を手繰ってみたが、はっきりと思い出せなかった。
隆史は、レンタカーをホテルのパーキングに入れ、午後五時過ぎにはチェックインした。
ホテルは、十九世紀に建設されたレンガ色のゴシック様式の建物だった。
部屋は一階で、天井は高く開放的な造りだった。
荷物整理の後、隆史はバスタブにお湯を溜めゆっくり三〇分ほど浸かり、入浴中にシンクにためた水道水で冷やしたビールを風呂上りに飲んだ。
気候がよく、爽やかで過ごしやすい夕暮れだった。
高さのある窓からは、傾きかけた柔らかい光が差し込んでいた。
隆史は、スマートフォンのラジオアプリを立ち上げ、カナダのジャズ専門FM曲にチューンした。
ゆったりしたトランペットのスタンダード曲が流れていた。
部屋は濃いブラウンと、白を基調とした落ち着いた内装だった。
窓辺には、マホガニーの丸いローテーブルと、ベージュの一人がけソファが置いてあった。
隆史は、手帳とノートパソコンをテーブルに置いて、作業に取り掛かった。
パソコンが立ち上がると、手帳のメモを見ながら文字入力をしていった。
儀式を実行した場所。
六月十五日(金) ベニスビーチ
六月十六日(土) マリナ・デル・レイのヨットハーバー
六月十七日(日) ロングビーチ地区のパーム・ビーチ・パーク
六月十八日(月) マリブのポイント・デュム・ステート・ビーチ
六月十九日(火) グリフィス・パーク
六月二〇日(水) マルホランド・ドライブ・ストップ、 バグダッド・カフェ駐車場、べラージオホテル噴水
六月二十一日(木) グランドキャニオン、ウェストリムのモハーベポイント
六月二十二日(金) サンタフェのセント・フランシス大聖堂
六月二十三日(土) オクラホマシティ、ブリックタウンの運河
六月二十四日(日) スプリングフィールド、フェローズ湖
六月二十五日(月) セントルイス、ゲートウェイアーチの下
記録してきた距離を足し上げてみた。
二八一六・三マイル、約四五〇〇キロ超を走ったことになっていた。
一日平均、七五〇キロは、どう考えても走りすぎだった。
二十年前は、この半分も走っていなかったと思う。
隆史と啓一は、毎日交代で運転し、助手席に座る者がナビを務める。
今回の旅はナビ役はいない。
それでも運転だけに専念できるのは、カーナビゲーション・システムのお陰だった。
そもそも車の性能の違いは歴然としていた。
速度、燃費。
二十年前の車は、十五年落ちくらいのアメ車で、エンジンがいかれていて、パワーもなく、オイル漏れもひどかった。
今回は、進化した正常なアメ車だ。
隆史は、あらかじめ大まかな全旅程を決めていたから、その日の目的地だけを朝インプットすれば、まず迷うことはない。
最後に、ここまで録音してきたボイスダイアリーをノートパソコンに取りこんだ。
隆史は、ビールの残りを飲みほした。
強い酒がほしかった。
隆史は、ボストンバックからバーボンのボトルを出してきて、グラスに多めに注いだ。
三口で飲み干す。
一気に疲れが出てきたようだった。
移動距離を計算したからかもしれなかった。
隆史はベッドに寝転んだ。
シカゴでは、どこを歩こうか。
自然と、昔の記憶が蘇ってくる。
あの時、ユースホステルでは、兵役を終えたばかりのドイツの青年と同室になった。
名前は、ホルガーといったはずだった。
優しい、純朴な青年だった。
隆史が、片言の英語で、どうしてシカゴへ、と聞いた。
ホルガーもドイツなまりの英語で返した。
「お母さんが、そうするように言った」
兵役を終えたばかりの息子にどうして、と啓一は疑問を投げた。
理解するのに時間がかかったが、こういうことだった。
ホルガーは、いつ自分が、湾岸戦争の前線に送られることになるか、恐怖に戦いていた。
しかし、実際には、それはないまま、兵役を終えた。
帰還しても、その恐怖は消えなかったのだ、とホルガーは言った。
それを見かねた母が旅に出ることを勧めたのだった。
「日本人の母親たちに、それができるか」
そう言って、隆史は啓一を見た。
啓一も同じことを考えていたようだった。
「でも、選んだ場所が悪かったよ」「ここは戦場よりも怖い」
その言葉で、笑いが起こった。
その頃、シカゴでは、物騒な事件が頻発していた。
つい最近も、誰かが道端でナイフで首を切られて死んだ、という事件があったばかりだった。
実際には笑えない話だった。
別の夜には、本場のブルースを聴きに行った。
有名なブルース・バーだった。
店の入り口には、黒人の大男が木の椅子に座って、チャージを取っていた。
正直、ブルースのライブ自体が初めての二人だった。
演奏も、店の雰囲気も明るかった。
帰りに、店のロゴが入った紺色のキャップを、二人とも買った。
以降、二人はこのキャップを被って旅をすることになった。
そのためか、行く先々で、「ツインズ」などと声をかけられたりした。
ミシガン湖は、海にしか見えなかった。
向こう岸が全く見えないこともさることながら、波が高く、それがほんとうに海のように打ち寄せていた。
十月の終わりごろだった。
「ウインディ・シティ」と言われるだけあって、風も強く、かなり寒かった記憶があった。
その夕べも、風が相当強かった。
夕方、ミシガン湖まで散歩できるだろうか。
なぜか、息子のことが頭に浮かんだ。
そうやって、ふと思い出すことがあった。
もう十一歳だ。
この旅のことを聞いたら、来たがっただろうか。
メールでも送ってみようか。写真付きで。
そんなことをしたら、別れた妻が怒るだろうか。
そんなことを考えているうちに、いつしか隆史は眠りに落ちていた。
隆史は不思議な夢を見た。
知らない男の子と、アメリカを大型バイクで旅している夢だった。
行く先々で、釣りをしたり、キャンプサイトに泊まったり。
啓一との旅に似ていた。
「息子とアメリカをバイクで旅してみるのもいいな」
そんなことを隆史は、啓一に話したことがあった。
しかし、夢の中の男の子は、息子ではないのだった。
それ以外は、リアル過ぎる夢だった。
ノースダコタだった。
農道を横切るクリークで、男の子がパイクをヒットさせた。
「よし、慌てるな、でもテンションだけ緩めるなよ」
パイクがジャンプした。
その瞬間に、隆史は目覚めた。
なぜか、心臓の鼓動が高鳴っていた。
隆史は、夢を振り返った。
そして、男の子の顔を想いだそうとしてみた。
ぼんやりとして、全く上手くいかなかった。
隆史は起きて行って、ソファに座った。
夢というのは、そういうものだ。
そう思いながら、残りのバーボンをグラスに注いだ。
そのお陰か、隆史の心は少しずつ落ち着いていった。
たった一度きりの夢だと、その時は思っていた。
しかし、その旅の間中、その男の子は、隆史の夢に度々現れることになった。
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