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四十 名替え披露
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ながえひろう
「旦那さん、もう一つお頼みしてえことがありまして」
朝餉の後、居間に戻ろうとする利兵衛をハマが呼び止めた。
「ああ、そいだば、部屋で話すがな」
利兵衛にも、それが襲名式の事であることは察しがついた。
はたして、頼みとはまさに「出世名」のことであった。
「旦那さんが、半紙に書いてくんなせんか」
「いや、わっきゃまいね。手習いは、苦手だはんで。解った。上手なふとはなんぼでも知ってらはんで、頼んでみるべ」
「大変助かります。それで、その出世名なんですが」
いきなり、出世名を言おうとするハマを利兵衛は制した。
「わんつか待ってけ。何も書ぐものが無ぇはんで」
利兵衛は慌てて、小筆を出してきた。店の記録用に使っている帳簿に書き付けてしまうらしかった。
「はいよ」
ハマは小声になって説明を始める。
「まず、タキゾウの方から・・・」
こうして、最も大事な出世名についても最後に整い、その年は暮れ、明治二十六年(一八九三年)の正月を迎えた。
そして、松も取れ、あっという間に襲名披露の当日を迎えたのである。
明け方まで降った雪が、日に照らされ、照り返しの光が佐渡屋の大広間まで届いている。
招待客が皆揃って、利兵衛が挨拶を終えたのがちょうど十一時頃だった。
広間には、六十名近い人が集まった。
「本日は、豊川タキゾウ、立浪タケの両人襲名の披露にお越しいただき、大変ありがとう存じます。おこがましいことですが、私が師匠の勝帆でございます。私事ですみませんが、越後の柿崎という漁師村の生まれで、母は芸姑でした。五つの時、麻疹で目をやられまして、翌年から越後高田に瞽女の修行に出ました。そして十年。特別な事ですが、修行を終わらせてもらい、実家に戻り、今度は母の元で芸姑の修行を五年。私が勝帆を襲名したのは、瞽女修行の七年目のこと。「名替え」の儀式を経て、瞽女の親方と母が付けてくれたのが、この勝帆という出世名です。この後、タキゾウとタケの出世名を披露しますが、その前に私の方から、皆様へ御礼の唄を演ります。端唄ですが、『わがもの』」
わがものと 思えばかろし かさの雪
恋の重荷をかたにかけ
いもがりゆけば 冬の夜の
川風寒く千鳥なく
待つ身のつらき 置ごたつ
じつにやるせが ないわいな
「前置きはこれくらいにしまして、襲名を行いますが、まずはタキゾウのほうから。おユキさん、お願いします」
この日のために、鰺ヶ沢からユキが帰って来ていた。
ユキは前に進み出て、正座し頭を下げた。
「タキゾウ改め」
半紙を掲げた。
勝太郎
師匠のハマが出世名の説明を始める
「『勝』の字は、私の『勝帆』から取りました。『太郎』は、私の一番弟子、という意味を込めました。それでは、勝太郎より、襲名のご挨拶をいたします」
襖が開き、タキゾウが入ってくる。女中のイトが手を引いている。
そして、中央に正座し、辞儀をした。
新しい、黒の羽織袴が眩しい。
「本日、『勝太郎』の名をいただきました。これがらも、芸の道に精進して参ります。どうぞ変わらず、よろしくお願い申し上げます」
慣れない口上を何とか言い終え、ハマと合わせて、再び辞儀をすると、タキゾウはすぐに三味線の準備を始める。
「襲名にあたって、皆様に披露させていただく唄は、この勝太郎が自ら手を加えて、作った唄です。今では坊様の多くがこの唄を唄うようになって、知っている方も居なさると思いますが、元唄はこの勝太郎が、瞽女唄の『新保広大寺節』を替えて、前弾きと前口上を付けたものです」
やがて、準備が整った。
三の糸を二つ、ニの糸も二つ、そして一の糸を四つ。そのまま一気に前弾きに入った。
落ち着いていた。
その前弾きは、馬が駆けるようであった。
遠くから近づいてきては、力強く目の前を過ぎ、周りを駆け巡り、そしてまた離れ、再び駆けてくる。
わしのナァエー
生まれーわあー、津軽ヤァ蒔田ナァー
姓は十三ヤァナ ヤレサァ
その名は、勝太郎ナァエー
実はタキゾウ自身、出世名を、襲名式で初めて聞かされたのであった。
糸を調弦する間、タキゾウは頭に中で前口上の文句をこしらえた。
姓は「十三ヤ」、名は「勝太郎」とは、粋な即興であった。
まさに「十三家勝太郎」の華々しい誕生と言えた。
佐渡屋の大広間は、にわかに熱を帯び、活気付いていくのが解った。
馬はやがて、砂浜を、波間を駆け、また戻ってくる。そして、一つ最後に嘶き、手綱を引かれ、止まった。
勝太郎は、弾ききった。
広間は、一瞬静まり返る。みな芸の余韻に浸っているのだ。
そして興奮冷めやらぬ中、ざわつきが、やがて再び静まる頃、師匠のハマが前に進み出て正座し、辞儀をした。
「ご清聴、大変ありがとう存じます。勝太郎の『津軽じょんがら節』でした。続きまして、タケの襲名披露に入ります。
襖が開いた。
タケが入ってくる。
おお、という低い声が響く。
馬が駆け終わった、十三の砂潟に、一輪の花が咲いたようだった。
そのタケの後を、利兵衛が付いてくる。
中央に正座し、タケが辞儀をする。
左端のハマ、その手前に、二人に挟まれるように、利兵衛は座した。
「それでは、出世名を披露申し上げます。立浪タケ改め・・・」
利兵衛が半紙を出し、掲げる。
「立浪小春」
広間の全員が、半紙の字に見入り、少しの時が過ぎる。
その間、初めて自分の出世名を聞いた、タケは頭の中で繰り返し言い、その名を噛み締めた。
小春
「春の字は、タケの亡き父、春治から一文字取りました。不思議な話なのですが、今年は、故春治の十三回忌の年です。その記念すべき年の正月に、皆々様のご厚情のお陰を持ちまして、タケも名替えの披露をすることができました。改めまして、深く御礼を申し上げます。それでは、小春より、襲名の唄を披露いたします」
ユキが三味線を運んできて、小春は早速糸の調弦に入る。
「演目は、長唄『汐汲』でございます。この唄は、大変難しい唄で、私は母から教わったのですが、その母も、江戸で芸姑の修行した時に覚え、十八番にしていた唄です。私の覚えが合っていればですが、文化八年三月、江戸の市村座で三代目坂東三津五郎が演ったのが初演だそうです。この唄を春治も大変好んでおり、私が幼い頃、二人でタケの祖母が演る『汐汲』を良く盗み聴きをしたものでした」
そうして説明しているうちに、準備は整った。
タケ、いや小春は大きく息を吸って三味線の二上リの前弾きを始めた。
じょんがらとは、全く趣が違う。
松ひと木 変わらね色の印とて
今も栄えて在原や
形見の烏帽子狩衣 着つつ馴れにし俤を
うつし絵島の浦風に ゆかしきつても白浪の
寄する渚に世を送る
いかにこの身が蜑(海女)じゃと云うて 辛気辛気に袖濡れぬれて
いつか嬉しき逢瀬もと
君にや誰か柘植の櫛
さし来る汐を汲まうよ・・・
帝の勘気(怒り)に触れ、摂津の国、須磨に謫居の身であった在原行平と恋仲に落ちた、海女の村雨が、都に戻った行平に想いを馳せる唄である。
これをタケは、伸びやかに優しく歌い上げた。
まだ色気などは無いが、若さあふれる声には、情感がこもっていた。
それもそのはずで、タケは仕事の合間に、神明宮の工藤神官に「汐汲」の文句(歌詞)の意味を問い合わせ、何度か通い、教えをうけたのであった。
神明宮の工藤神官は、かつて十三小学校の首座教員を務めた人物で、村一番の博識者である。
その工藤神官も、この披露を観に来ていた。
「唄は、その意味解って唄わんばいけねえ」
終生、その考えを貫いたタケの姿勢は、この「汐汲」習得が原点であった。
(この唄の意味、おとっちゃは解ったったのだろうか)
幼かった頃の記憶におぼろげに残る父の姿を、タケはなぜか烏帽子に狩衣を着た在原行平に、いつしか重ねて唄うのであった。
「旦那さん、もう一つお頼みしてえことがありまして」
朝餉の後、居間に戻ろうとする利兵衛をハマが呼び止めた。
「ああ、そいだば、部屋で話すがな」
利兵衛にも、それが襲名式の事であることは察しがついた。
はたして、頼みとはまさに「出世名」のことであった。
「旦那さんが、半紙に書いてくんなせんか」
「いや、わっきゃまいね。手習いは、苦手だはんで。解った。上手なふとはなんぼでも知ってらはんで、頼んでみるべ」
「大変助かります。それで、その出世名なんですが」
いきなり、出世名を言おうとするハマを利兵衛は制した。
「わんつか待ってけ。何も書ぐものが無ぇはんで」
利兵衛は慌てて、小筆を出してきた。店の記録用に使っている帳簿に書き付けてしまうらしかった。
「はいよ」
ハマは小声になって説明を始める。
「まず、タキゾウの方から・・・」
こうして、最も大事な出世名についても最後に整い、その年は暮れ、明治二十六年(一八九三年)の正月を迎えた。
そして、松も取れ、あっという間に襲名披露の当日を迎えたのである。
明け方まで降った雪が、日に照らされ、照り返しの光が佐渡屋の大広間まで届いている。
招待客が皆揃って、利兵衛が挨拶を終えたのがちょうど十一時頃だった。
広間には、六十名近い人が集まった。
「本日は、豊川タキゾウ、立浪タケの両人襲名の披露にお越しいただき、大変ありがとう存じます。おこがましいことですが、私が師匠の勝帆でございます。私事ですみませんが、越後の柿崎という漁師村の生まれで、母は芸姑でした。五つの時、麻疹で目をやられまして、翌年から越後高田に瞽女の修行に出ました。そして十年。特別な事ですが、修行を終わらせてもらい、実家に戻り、今度は母の元で芸姑の修行を五年。私が勝帆を襲名したのは、瞽女修行の七年目のこと。「名替え」の儀式を経て、瞽女の親方と母が付けてくれたのが、この勝帆という出世名です。この後、タキゾウとタケの出世名を披露しますが、その前に私の方から、皆様へ御礼の唄を演ります。端唄ですが、『わがもの』」
わがものと 思えばかろし かさの雪
恋の重荷をかたにかけ
いもがりゆけば 冬の夜の
川風寒く千鳥なく
待つ身のつらき 置ごたつ
じつにやるせが ないわいな
「前置きはこれくらいにしまして、襲名を行いますが、まずはタキゾウのほうから。おユキさん、お願いします」
この日のために、鰺ヶ沢からユキが帰って来ていた。
ユキは前に進み出て、正座し頭を下げた。
「タキゾウ改め」
半紙を掲げた。
勝太郎
師匠のハマが出世名の説明を始める
「『勝』の字は、私の『勝帆』から取りました。『太郎』は、私の一番弟子、という意味を込めました。それでは、勝太郎より、襲名のご挨拶をいたします」
襖が開き、タキゾウが入ってくる。女中のイトが手を引いている。
そして、中央に正座し、辞儀をした。
新しい、黒の羽織袴が眩しい。
「本日、『勝太郎』の名をいただきました。これがらも、芸の道に精進して参ります。どうぞ変わらず、よろしくお願い申し上げます」
慣れない口上を何とか言い終え、ハマと合わせて、再び辞儀をすると、タキゾウはすぐに三味線の準備を始める。
「襲名にあたって、皆様に披露させていただく唄は、この勝太郎が自ら手を加えて、作った唄です。今では坊様の多くがこの唄を唄うようになって、知っている方も居なさると思いますが、元唄はこの勝太郎が、瞽女唄の『新保広大寺節』を替えて、前弾きと前口上を付けたものです」
やがて、準備が整った。
三の糸を二つ、ニの糸も二つ、そして一の糸を四つ。そのまま一気に前弾きに入った。
落ち着いていた。
その前弾きは、馬が駆けるようであった。
遠くから近づいてきては、力強く目の前を過ぎ、周りを駆け巡り、そしてまた離れ、再び駆けてくる。
わしのナァエー
生まれーわあー、津軽ヤァ蒔田ナァー
姓は十三ヤァナ ヤレサァ
その名は、勝太郎ナァエー
実はタキゾウ自身、出世名を、襲名式で初めて聞かされたのであった。
糸を調弦する間、タキゾウは頭に中で前口上の文句をこしらえた。
姓は「十三ヤ」、名は「勝太郎」とは、粋な即興であった。
まさに「十三家勝太郎」の華々しい誕生と言えた。
佐渡屋の大広間は、にわかに熱を帯び、活気付いていくのが解った。
馬はやがて、砂浜を、波間を駆け、また戻ってくる。そして、一つ最後に嘶き、手綱を引かれ、止まった。
勝太郎は、弾ききった。
広間は、一瞬静まり返る。みな芸の余韻に浸っているのだ。
そして興奮冷めやらぬ中、ざわつきが、やがて再び静まる頃、師匠のハマが前に進み出て正座し、辞儀をした。
「ご清聴、大変ありがとう存じます。勝太郎の『津軽じょんがら節』でした。続きまして、タケの襲名披露に入ります。
襖が開いた。
タケが入ってくる。
おお、という低い声が響く。
馬が駆け終わった、十三の砂潟に、一輪の花が咲いたようだった。
そのタケの後を、利兵衛が付いてくる。
中央に正座し、タケが辞儀をする。
左端のハマ、その手前に、二人に挟まれるように、利兵衛は座した。
「それでは、出世名を披露申し上げます。立浪タケ改め・・・」
利兵衛が半紙を出し、掲げる。
「立浪小春」
広間の全員が、半紙の字に見入り、少しの時が過ぎる。
その間、初めて自分の出世名を聞いた、タケは頭の中で繰り返し言い、その名を噛み締めた。
小春
「春の字は、タケの亡き父、春治から一文字取りました。不思議な話なのですが、今年は、故春治の十三回忌の年です。その記念すべき年の正月に、皆々様のご厚情のお陰を持ちまして、タケも名替えの披露をすることができました。改めまして、深く御礼を申し上げます。それでは、小春より、襲名の唄を披露いたします」
ユキが三味線を運んできて、小春は早速糸の調弦に入る。
「演目は、長唄『汐汲』でございます。この唄は、大変難しい唄で、私は母から教わったのですが、その母も、江戸で芸姑の修行した時に覚え、十八番にしていた唄です。私の覚えが合っていればですが、文化八年三月、江戸の市村座で三代目坂東三津五郎が演ったのが初演だそうです。この唄を春治も大変好んでおり、私が幼い頃、二人でタケの祖母が演る『汐汲』を良く盗み聴きをしたものでした」
そうして説明しているうちに、準備は整った。
タケ、いや小春は大きく息を吸って三味線の二上リの前弾きを始めた。
じょんがらとは、全く趣が違う。
松ひと木 変わらね色の印とて
今も栄えて在原や
形見の烏帽子狩衣 着つつ馴れにし俤を
うつし絵島の浦風に ゆかしきつても白浪の
寄する渚に世を送る
いかにこの身が蜑(海女)じゃと云うて 辛気辛気に袖濡れぬれて
いつか嬉しき逢瀬もと
君にや誰か柘植の櫛
さし来る汐を汲まうよ・・・
帝の勘気(怒り)に触れ、摂津の国、須磨に謫居の身であった在原行平と恋仲に落ちた、海女の村雨が、都に戻った行平に想いを馳せる唄である。
これをタケは、伸びやかに優しく歌い上げた。
まだ色気などは無いが、若さあふれる声には、情感がこもっていた。
それもそのはずで、タケは仕事の合間に、神明宮の工藤神官に「汐汲」の文句(歌詞)の意味を問い合わせ、何度か通い、教えをうけたのであった。
神明宮の工藤神官は、かつて十三小学校の首座教員を務めた人物で、村一番の博識者である。
その工藤神官も、この披露を観に来ていた。
「唄は、その意味解って唄わんばいけねえ」
終生、その考えを貫いたタケの姿勢は、この「汐汲」習得が原点であった。
(この唄の意味、おとっちゃは解ったったのだろうか)
幼かった頃の記憶におぼろげに残る父の姿を、タケはなぜか烏帽子に狩衣を着た在原行平に、いつしか重ねて唄うのであった。
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